資料2013年06月20日 【税務通達等】 乗船中の船員が支給を受ける航海日当に対する所得税の取扱いについて(文書回答事例)(平成25年6月17日)

乗船中の船員が支給を受ける航海日当に対する所得税の取扱いについて

取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)

〔照会〕

紹介者 ①団体の名称
②代表者等
一般社団法人日本船主協会外航労務部会
 部会長 五十嵐 誠
一般社団法人大日本水産会
 会長 白須 敏朗
船主団体内航労務協会
 会長 石井 繁礼
船主団体一洋会
 会長 佐藤 國臣
船主団体全内航
 会長 垰野 廣文
一般社団法人日本長距離フェリー協会労海務部会
 部会長 阿部 哲夫
全日本海員組合
 組合長 藤澤 洋二
照会の内容 ③照会の趣旨(法令解釈・適用上の疑義の要約及び照会者の求める見解の内容) 別紙の1のとおり
④照会に係る取引等の事実関係(取引等関係者の名称、取引等における権利・義務関係等) 別紙の2のとおり
⑤ ④の事実関係に対して照会者の求める見解となることの理由 別紙の3のとおり
⑥関係する法令条項等 所得税法第9条第1項第4号
⑦添付書類  

〔回答〕

⑧回答年月日 平成25年6月17日 ⑨回答者 国税庁課税部審理室長
 
⑩回答内容

標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
(1) この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
(2) この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容等を拘束するものではありません。

別紙 乗船中の船員が支給を受ける航海日当に対する所得税の取扱いについて

1 照会の趣旨
 乗船中の船員が受ける航海日当については、乗船中の船員は居住地を離れて昼夜を通じて航海に従事するという特殊性を踏まえ、これまで所得税法第9条第1項第4号に規定する旅費に準じて非課税所得として取り扱われていたところです(昭和29年10月15日直所2-141)。
 この航海日当の額については、消費者物価の上昇等を参考に順次改定してきたところですが、海運業界の不況、遠洋漁業の漁場縮小等により船員費が抑制されていたことから、航海日当の額は平成4年の改定以降据え置かれていました。
 今般、平成24年度の労働協約改定交渉において、各船主団体(日本船主協会・外航労務部会、内航労務協会、一洋会及び全内航)、大型カーフェリー各社、水産部門の各団体並びに個別の会社に対し、航海日当額の改定に関する要求を行い、別途協議会を設置した上で労使協議を重ねた結果、現行の航海日当の額を約8%引き上げることについて労使合意に至りました。
 この改定後の航海日当についても、引き続き所得税法第9条第1項第4号に規定する旅費に準じて非課税所得として取り扱うこととしてよろしいか照会します。

2 照会に係る取引等の事実関係
 航海日当は、自己の居住地を離れ航海中に生じる諸費用に充てることを目的として、乗船期間1日につき、内航又は外航の別、外航にあっては外国最遠目的地の所在区域、及び職務の等級等に応じ、所定の金額を支給するものです。
 また、水産部門にあっては、鯨類捕獲調査船・海洋調査船・大型遠洋トロール漁船・冷凍運搬船等の大型漁船又はその他の地区漁船の別、それぞれ最遠操業区域及び職務の等級等に応じ、乗船期間1日につき所定の金額が支給されます。
 今般、この航海日当の金額について、別表のとおり改定することとなりました。
 なお、改定後の航海日当の額(別表)の実施時期は、本照会の回答内容を踏まえた上で改めて労使協議を行い、決定することとしています。

3 事前照会者の求める見解となることの理由
 所得税法第9条第1項第4号では、給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるものについては、所得税を課さない旨規定しています。
 船員は陸上労働者と異なり、船舶に乗船中は、船員法、船舶安全法等の拘束を受け、昼夜を通じて航海に従事するものであり、乗船中は自己の居住地を離れることが強制されます。
 航海日当は、航海中の追加的支出、入港時の追加的支出、家族との連絡費など、船内生活の特殊性に基因する諸費用に充てるため支給されるものであり、実費弁償的な性質を有するものです。また、その金額は、改定後においても、国土交通省に勤務する船員等に対する職務旅費支給規則に定められている航海日当の額及び防衛省の職員の給与等に関する法律で定められている航海手当の日額と概ね同水準となっており、これらの航海日当等は非課税となる旅費ないしこれに準ずるものとして取り扱われています(昭和38年12月17日直審(源)77)。
 したがって、今般の改定後の航海日当についても、所得税法第9条第1項第4号に規定する旅費に準じて非課税所得として取り扱われるものと考えます。

別表
①外航・国内部門

 
区分
職務の等級
外航
職員
特1等級
1等級
2等級
3等級
4等級
5等級
6等級
 
 
部員
 
特1等級
1等級
2等級
3等級
4等級
5等級
 
内航
 
 
 
1等級
2等級
3等級
4等級
5等級
6等級
 
 
 
 
 
内航職長
1600以上
内航職長
1600未満
役付・員級
A以上
員級
未経験
第1区
現行
1,120円
1,010円
900円
775円
700円
655円
590円
525円
改定
1,210円
1,090円
970円
835円
755円
705円
635円
565円
第2区
現行
1,795円
1,615円
1,440円
1,250円
1,125円
990円
890円
 
改定
1,940円
1,745円
1,555円
1,350円
1,215円
1,070円
960円
 
第3区
現行
2,035円
1,835円
1,635円
1,420円
1,280円
1,130円
1,015円
 
改定
2,200円
1,980円
1,765円
1,535円
1,380円
1,220円
1,095円
 
第4区
現行
2,425円
2,195円
1,970円
1,710円
1,545円
1,375円
1,245円
 
改定
2,620円
2,370円
2,130円
1,840円
1,670円
1,485円
1,345円
 

水産部門
<大型漁船>

 
区分
職務の等級
 
 
船・機長
    1等級 2等級 3等級 4等級
内国
現行
455円
455円
455円
455円
改定
490円
490円
490円
490円
第1区
現行
1,370円
1,370円
1,370円
1,370円
改定
1,480円
1,480円
1,480円
1,480円
第2区
現行
2,400円
2,230円
2,060円
2,000円
改定
2,590円
2,410円
2,230円
2,160円
第3区
現行
2,900円
2,730円
2,570円
2,490円
改定
3,130円
2,950円
2,780円
2,690円
第4区
現行
3,230円
3,190円
3,150円
3,020円
改定
3,490円
3,450円
3,400円
3,260円
南氷洋区
現行
3,980円
3,860円
3,740円
3,610円
改定
3,980円
3,980円
3,980円
3,900円

 
区分
職務の等級
 
 
通信長,一航・機
    1等級 2等級 3等級 4等級
内国
現行
455円
455円
455円
455円
改定
490円
490円
490円
490円
第1区
現行
1,370円
1,370円
1,370円
1,370円
改定
1,480円
1,480円
1,480円
1,480円
第2区
現行
2,230円
2,060円
2,000円
1,780円
改定
2,410円
2,230円
2,160円
1,920円
第3区
現行
2,730円
2,570円
2,490円
2,190円
改定
2,950円
2,780円
2,690円
2,370円
第4区
現行
3,190円
3,150円
3,020円
2,540円
改定
3,450円
3,400円
3,260円
2,740円
南氷洋区
現行
3,860円
3,740円
3,610円
3,150円
改定
3,980円
3,980円
3,900円
3,400円

 
区分
職務の等級
 
 
航・機・通士
    1等級 2等級 3等級 4等級 5等級
内国
現行
455円
455円
455円
455円
455円
改定
490円
490円
490円
490円
490円
第1区
現行
1,370円
1,370円
1,370円
1,370円
1,370円
改定
1,480円
1,480円
1,480円
1,480円
1,480円
第2区
現行
2,060円
2,000円
1,780円
1,700円
1,450円
改定
2,230円
2,160円
1,920円
1,840円
1,570円
第3区
現行
2,570円
2,490円
2,190円
1,960円
1,700円
改定
2,780円
2,690円
2,370円
2,120円
1,840円
第4区
現行
3,150円
3,020円
2,540円
2,280円
1,960円
改定
3,400円
3,260円
2,740円
2,460円
2,120円
南氷洋区
現行
3,740円
3,610円
3,150円
2,870円
2,460円
改定
3,980円
3,900円
3,400円
3,100円
2,660円

 
区分
職務の等級
 
 
職長
    1等級 2等級 3等級 4等級
内国
現行
455円
455円
455円
455円
改定
490円
490円
490円
490円
第1区
現行
1,370円
1,370円
1,370円
1,370円
改定
1,480円
1,480円
1,480円
1,480円
第2区
現行
2,060円
2,000円
1,780円
1,700円
改定
2,230円
2,160円
1,920円
1,840円
第3区
現行
2,570円
2,490円
2,190円
1,960円
改定
2,780円
2,690円
2,370円
2,120円
第4区
現行
3,150円
3,020円
2,540円
2,280円
改定
3,400円
3,260円
2,740円
2,460円
南氷洋区
現行
3,740円
3,610円
3,150円
2,870円
改定
3,980円
3,900円
3,400円
3,100円

 
区分
職務の等級
 
 
部員
    1等級 2等級 3等級 4等級 5等級
内国
現行
455円
455円
455円
390円
350円
改定
490円
490円
490円
420円
380円
第1区
現行
1,370円
1,370円
1,370円
1,210円
1,030円
改定
1,480円
1,480円
1,480円
1,310円
1,110円
第2区
現行
2,000円
1,780円
1,700円
1,450円
1,240円
改定
2,160円
1,920円
1,840円
1,570円
1,340円
第3区
現行
2,490円
2,190円
1,960円
1,700円
1,420円
改定
2,690円
2,370円
2,120円
1,840円
1,530円
第4区
現行
3,020円
2,540円
2,280円
1,960円
1,650円
改定
3,260円
2,740円
2,460円
2,110円
1,780円
南氷洋区
現行
3,610円
3,150円
2,870円
2,460円
2,020円
改定
3,900円
3,400円
3,100円
2,660円
2,180円

<地区漁船>

 
区分
職群
    員級B・C 員級A・冷凍助手・操舵手 二航機・冷凍長・操機長・司厨長 一航機・甲板長 船長・通信長・機関長 漁労長(船長兼漁労長)
内国
現行
650円
720円
820円
920円
1,000円
1,100円
改定
700円
780円
890円
1,080円
1,080円
1,190円
第1区
現行
1,070円
1,240円
1,420円
1,580円
1,770円
1,940円
改定
1,160円
1,340円
1,530円
1,910円
1,910円
2,100円
第2区
現行
1,320円
1,540円
1,790円
1,890円
2,090円
2,190円
改定
1,430円
1,660円
1,930円
2,260円
2,260円
2,370円
第3区
現行
1,520円
1,790円
2,080円
2,310円
2,610円
2,750円
改定
1,640円
1,930円
2,250円
2,820円
2,820円
2,970円
第4区
現行
1,740円
2,080円
2,450円
2,670円
3,160円
3,400円
改定
1,880円
2,250円
2,650円
3,410円
3,410円
3,670円
第5区
現行
2,160円
2,610円
3,060円
3,330円
3,830円
3,980円
改定
2,330円
2,820円
3,310円
3,980円
3,980円
3,980円

(注)航海日当に適用される航海区域表は、以下のとおりです。

 
最遠目的地の所在範囲
第1区
日本各港間
第2区
自東経90度至東経170度と南緯11度との線に囲まれた区域
第3区
東経60度以東、西経80度以西、南緯50度以北の線に囲まれた区域
ただし、第1区、第2区および本区域内の大西洋区域を除く。
第4区
第1区、第2区、第3区に含まれない区域

※1 就航区域の適用について、予定航海日数が40日を超え80日以内の場合は、操業区域が外国1区または2区であっても外国第3区が適用され、予定航海日数が80日を超える場合は、操業区域が外国3区であっても外国4区が適用されます。
 ただし、予定航海日数には操業の途中における船体の修理などに要する日数は含んでいません。

※2 内地出航(または内地出発)の日から内地帰着の日までの期間が通常6ヶ月を超える場合、および南氷洋(沖あみ事業など)に出漁する場合、航海日当には南氷洋区が適用されます。

※3 マグロ漁業、大型いか釣り漁業における予定出漁期間(内地最初の出航の日から内地最初の港に帰着までの期間)が6ヶ月を超える場合の航海日当は、外国5区が適用されます。

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