解説記事2013年09月30日 【ニュース特集】 新・投資減税の全容が明らかに(2013年9月30日号・№517)
新規設備投資促進税制、幅広い資産が特例対象に
新・投資減税の全容が明らかに
政府・与党が今秋の成長戦略第二弾で打ち出す3つの新投資減税の全容が9月24日の自民党税調小委員会(額賀福志郎小委員長)で明らかとなった。
新たに創設される「生産性向上設備等投資促進税制」では、企業が投資した“先端的設備”について即時償却や税額控除が可能となる。先端的設備には、機械装置や器具備品だけでなく、建物やその付属設備など幅広い資産が含まれる見込みだ(最新モデルかつ生産性向上が要件)。また、「ベンチャー投資促進税制」や「事業再編促進税制」では、投資額の一定割合が損金算入される仕組みとなっている。
本特集では、投資に積極的な企業にかなり手厚い内容となった“新投資減税”の全容を図表を用いて詳説する。
機械装置、ソフトウェアなどが「即時償却・税額控除」の対象
成長戦略第二弾として新たに創設される投資減税は、①生産性向上設備投資促進税制、②ベンチャー投資促進税制、③事業再編促進税制の3つ。
このうち、生産性向上設備投資促進税制は、製造業だけでなく、サービス業を始めとする「非製造業」が行う設備投資も適用対象となる見込みであるため、新規の設備投資を考えている企業にとっては、かなり使い勝手がよい制度ということができそうだ。
具体的にみると、生産性向上設備投資促進税制の適用対象となる設備は、「先端的設備」と「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に分けることができる(図1参照)。
「先端的設備」には、最新モデルかつ生産性向上要件(旧モデル比で年平均生産性1%以上向上)を満たす機械装置、器具備品、建物および建物付属設備などで一定金額以上のものが適用対象となる(図1(1)参照)。
ただし、一定のソフトウェア(生産性向上要件なし)やサーバーについては、中小企業者等のみが税制優遇措置の適用対象となる見込みだ。
また、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」は、投資計画上の投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%以上)であることを経済産業局により確認された機械装置、建物および建物付属設備、ソフトウェアが適用対象となる(図1(2)参照)。
平成29年3月末までに取得した資産が対象 なお、同税制の適用を受けるためには、「日本再興戦略(6月14日閣議決定)」を踏まえた「産業競争力強化法(仮称)」の施行日から平成29年3月31日までに「先端的設備」を取得等する必要がある。
具体的な優遇措置は、「特別償却(即時償却)」と「税額控除」が用意されている。税額控除の控除率は、平成25年度税制改正で新設された生産等設備投資促進税制において措置された「3%」が予定されている。
ベンチャー企業への投資額が損金に!
新たに創設される「ベンチャー投資促進税制」は、「産業競争力強化法(仮称)」の認定を受けたベンチャーファンドへ出資する企業に税制上の優遇措置を設けるもの。
具体的には、ベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)に対して出資をした法人が、そのベンチャーファンドが出資をする新事業開拓事業者(仮称)(ベンチャー企業)の株式等を取得した場合に、株式等(帳簿価額)の一定割合が損金として認められる(図2参照)。
損金計上額の全額が翌期の益金に 損金計上のためには、取得した株式等の帳簿価額の一定割合を「新規事業開拓事業者投資損失準備金」として積み立てることが要件となる。
また、この準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度に全額を取り崩し、益金に算入することが求められる。
このように、投資した事業年度の損金計上額が翌事業年度には全額が益金に算入されるため、ベンチャー投資促進税制はいわゆる“課税の繰延べ措置”ということができる。
出資の一定割合を損金計上、益金への戻し入れは最長10年後
3期連続黒字のケース、翌期から益金戻入れ 3つめの新投資減税である「事業再編促進税制」も、ベンチャー投資促進税制と同様に、いわゆる“課税の繰延べ措置”といえるものだ。
具体的には、特定事業再編(仮称)によって設立された共同設立会社の株式等を取得した出資法人に対して、その株式等の帳簿価額の一定割合を損金計上することができるが、損金計上するためには、特定事業再編投資損失準備金を積み立てることが要件とされている(図3参照)。
この準備金は、一定の期間(10年または3期連続営業黒字達成年のいずれか早い期間)積み立てられた後、均等額(積立額÷5年)が取り崩されたうえ、益金の額に算入される。
なお、事業再編促進税制は、産業競争力強化法(仮称)の施行日から平成29年3月31日までに同法に基づく認定を受けた法人に限り、特定事業再編により設立された子会社等へ投資した株式等について、適用が認められる。
増加割合5%超のケースでさらなる税額控除が可能に!
研究開発税制については、平成25年度末で期限切れとなる「上乗せ措置(増加型・高水準型)」の適用期限を平成29年3月31日までに開始する事業年度まで3年間延長する。
また、今回の税制改正では、現行の試験研究費の増加額の5%を税額控除できる制度について、増加割合が5%を超えるケースで税額控除割合をさらに増加させる新たな仕組みが導入される。
この新たな仕組みは、研究開発税制の総額型(総額の8%~10%の税額控除)とは別枠で利用することが可能となる。
新・投資減税の全容が明らかに
政府・与党が今秋の成長戦略第二弾で打ち出す3つの新投資減税の全容が9月24日の自民党税調小委員会(額賀福志郎小委員長)で明らかとなった。
新たに創設される「生産性向上設備等投資促進税制」では、企業が投資した“先端的設備”について即時償却や税額控除が可能となる。先端的設備には、機械装置や器具備品だけでなく、建物やその付属設備など幅広い資産が含まれる見込みだ(最新モデルかつ生産性向上が要件)。また、「ベンチャー投資促進税制」や「事業再編促進税制」では、投資額の一定割合が損金算入される仕組みとなっている。
本特集では、投資に積極的な企業にかなり手厚い内容となった“新投資減税”の全容を図表を用いて詳説する。
機械装置、ソフトウェアなどが「即時償却・税額控除」の対象
成長戦略第二弾として新たに創設される投資減税は、①生産性向上設備投資促進税制、②ベンチャー投資促進税制、③事業再編促進税制の3つ。
このうち、生産性向上設備投資促進税制は、製造業だけでなく、サービス業を始めとする「非製造業」が行う設備投資も適用対象となる見込みであるため、新規の設備投資を考えている企業にとっては、かなり使い勝手がよい制度ということができそうだ。
具体的にみると、生産性向上設備投資促進税制の適用対象となる設備は、「先端的設備」と「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に分けることができる(図1参照)。
「先端的設備」には、最新モデルかつ生産性向上要件(旧モデル比で年平均生産性1%以上向上)を満たす機械装置、器具備品、建物および建物付属設備などで一定金額以上のものが適用対象となる(図1(1)参照)。
ただし、一定のソフトウェア(生産性向上要件なし)やサーバーについては、中小企業者等のみが税制優遇措置の適用対象となる見込みだ。
また、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」は、投資計画上の投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%以上)であることを経済産業局により確認された機械装置、建物および建物付属設備、ソフトウェアが適用対象となる(図1(2)参照)。

平成29年3月末までに取得した資産が対象 なお、同税制の適用を受けるためには、「日本再興戦略(6月14日閣議決定)」を踏まえた「産業競争力強化法(仮称)」の施行日から平成29年3月31日までに「先端的設備」を取得等する必要がある。
具体的な優遇措置は、「特別償却(即時償却)」と「税額控除」が用意されている。税額控除の控除率は、平成25年度税制改正で新設された生産等設備投資促進税制において措置された「3%」が予定されている。
ベンチャー企業への投資額が損金に!
新たに創設される「ベンチャー投資促進税制」は、「産業競争力強化法(仮称)」の認定を受けたベンチャーファンドへ出資する企業に税制上の優遇措置を設けるもの。
具体的には、ベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)に対して出資をした法人が、そのベンチャーファンドが出資をする新事業開拓事業者(仮称)(ベンチャー企業)の株式等を取得した場合に、株式等(帳簿価額)の一定割合が損金として認められる(図2参照)。

損金計上額の全額が翌期の益金に 損金計上のためには、取得した株式等の帳簿価額の一定割合を「新規事業開拓事業者投資損失準備金」として積み立てることが要件となる。
また、この準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度に全額を取り崩し、益金に算入することが求められる。
このように、投資した事業年度の損金計上額が翌事業年度には全額が益金に算入されるため、ベンチャー投資促進税制はいわゆる“課税の繰延べ措置”ということができる。
出資の一定割合を損金計上、益金への戻し入れは最長10年後
3期連続黒字のケース、翌期から益金戻入れ 3つめの新投資減税である「事業再編促進税制」も、ベンチャー投資促進税制と同様に、いわゆる“課税の繰延べ措置”といえるものだ。
具体的には、特定事業再編(仮称)によって設立された共同設立会社の株式等を取得した出資法人に対して、その株式等の帳簿価額の一定割合を損金計上することができるが、損金計上するためには、特定事業再編投資損失準備金を積み立てることが要件とされている(図3参照)。

この準備金は、一定の期間(10年または3期連続営業黒字達成年のいずれか早い期間)積み立てられた後、均等額(積立額÷5年)が取り崩されたうえ、益金の額に算入される。
なお、事業再編促進税制は、産業競争力強化法(仮称)の施行日から平成29年3月31日までに同法に基づく認定を受けた法人に限り、特定事業再編により設立された子会社等へ投資した株式等について、適用が認められる。
増加割合5%超のケースでさらなる税額控除が可能に!
研究開発税制については、平成25年度末で期限切れとなる「上乗せ措置(増加型・高水準型)」の適用期限を平成29年3月31日までに開始する事業年度まで3年間延長する。
また、今回の税制改正では、現行の試験研究費の増加額の5%を税額控除できる制度について、増加割合が5%を超えるケースで税額控除割合をさらに増加させる新たな仕組みが導入される。
この新たな仕組みは、研究開発税制の総額型(総額の8%~10%の税額控除)とは別枠で利用することが可能となる。
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