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コラム2014年09月01日 【SCOPE】 循環取引を巡る裁決、税務上の取扱いはどうなる?(2014年9月1日号・№560)

審判所、「無償による資産の譲受け」に該当
循環取引を巡る裁決、税務上の取扱いはどうなる?

 架空取引の1種である循環取引だが、この循環取引を巡る裁決事例が明らかとなった。国税不服審判所は循環取引による架空の取引によって得た金員は法人税法22条2項に規定する「無償による資産の譲受け」に該当すると判断。請求人の所得の金額の計算上益金の額に算入すべきものし、請求人の主張を棄却した(平成25年9月30日、熊裁(法)平成25-3)。循環取引に該当することになれば、当然、重加算税の賦課要件を満たすことになるとともに、青色申告の承認の取消要件にも該当することになる。

循環取引による金員は益金の額に算入すべきか否か
 今回の事案は、①請求人が行った売買取引が架空の取引(循環取引)であったか否か、②本件各金員は益金の額に算入すべきか、③本件取引をそれぞれ益金の額及び損金の額に算入して法人税の確定申告書を提出したことは重加算税の賦課要件を満たすか否かなどが争点となったものである。なお、循環取引とは、商品の転売など、複数の会社間で相互に発注を繰り返すことで、架空の売上高を計上する取引手法のことをいう。
 原処分庁は、請求人が行った売買取引は架空のものであり何ら対価性を有せずに得た金員であるから益金の額に該当するとして、法人税の青色申告の承認の取消処分、法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った。これに対して請求人は架空の取引はないとしてこれらの処分の全部の取消しを求めたものである。
 請求人は、本件取引は循環取引の中に組み込まれた取引であるが、循環取引であることを知らないまま通常の取引の認識として行ったものであると主張した。


取引先の社内調査委員会は弁護士等の社外委員も
 審判所は、①取引先の社内調査報告書には、同社が請求人に対する売掛金を回収するために、A社等を経由して請求人に資金を回し、本件各金員により本件売掛金を回収したという循環取引の詳細が記載されており、本件報告書は、同社の代表取締役等の主要な役員及び弁護士等の社外委員を構成員とした社内調査委員会による調査結果として公表されたこと、②請求人をはじめ本件循環取引に関係した各社の担当者も、本件循環取引が行われたことを否定しない答述等を行っていること、③実際にA社から請求人に本件各金員が支払われ、請求人は本件各金員を本件売掛金の支払に充てていること等からすると、本件報告書の記載内容は信用することができ、本件循環取引は本件売掛金を回収するために行われた架空取引であると認められると認定した。
 その上で請求人が得た金員は、本件循環取引による架空の各取引によって得た金員であり、「無償による資産の譲受け」(法法22②)に該当することから請求人の益金の額に算入すべきものと認められるとした。

重加算税の賦課決定要件を満たす
 重加算税の賦課要件を満たすかどうかは、国税通則法68条1項に規定する「事実を隠ぺいし」は課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠ぺいし又は故意に脱漏することをいい、また、「事実を仮装し」とは所得、財産あるいは取引上の名義等に関し、あたかもそれが真実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲することをいうものと解されるとした。
 その上で請求人が金員の供与を受けるために行った一連の取引は架空取引と認められ、請求人があたかもこれらの取引が真実であるかのように装うことは、「事実を仮装し」に該当することは明らかであると指摘。したがって、請求人が本件取引を仮装し、各金員を益金の額に算入せず法人税の確定申告書を提出したことは、国税通則法68条1項に規定する重加算税の賦課要件を満たすというべきと判断している。

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