カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

解説記事2018年06月25日 【税務マエストロ】 タックスヘイブン対策税制関連のQ&Aについて③(2018年6月25日号・№744)

税務マエストロ 税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
タックスヘイブン対策税制関連のQ&Aについて③

#216 品川克己
PwC税理士法人

略歴 89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロースクールにて客員研究員として日米租税条約について研究。97年より00年までOECD租税委員会に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財務省を辞職し現職。

次回のテーマ
#217
免税(3)~国際運輸等とその関連取引
税理士 熊王征秀 消費税率引上げ、それに伴う課税の適正化など、消費税法の改正が続く。消費税マエストロが実務ポイントを解説する。

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
 ta@lotus21.co.jp

3 部分適用対象金額に係る合算課税
(1)受動的所得の範囲の拡大
 部分適用対象金額とは、外国関係会社が得る所得のうち、「受動的所得」という特定の性質を有する種類の所得の金額であり、これはたとえ経済活動基準を満たしていたとしても合算課税の対象となる所得の金額である。平成29年度改正以前は、「資産性所得の合算課税」といわれていた制度であるが、平成29年度改正においては、租税回避リスクを外国子会社の所得や活動の内容により把握するという方向性に沿って、改正されたものである。具体的には、特定の資産性所得を、いわゆる「受動的所得」としてその範囲を拡大し、同時に合算対象所得の計算方法等の見直しが行われた。また、受動的所得であっても、外国関係会社の行う事業の性質上重要で欠くことができない業務から生じた一定の所得等については、合算課税の対象から除外されることとなる。これは、部分合算課税の対象となる所得の範囲の見直しに伴い、租税回避リスクを所得類型ごとに判断し、外国関係会社にその所得を得るだけの実質を備えていると考えられるものを、事務負担も考慮して、個別に除外することとされたものである。特に受取利子等については、多国籍企業のグループファイナンス実態、重要性に配慮し、Q&Aにおいても詳しく説明されている。
(2)受動的所得に関するQ&A
Q1:「受動的所得」である受取利子等のうち、活動の実体がある場合として除外されるグループファイナンスに係る利子の要件における「通常必要と認められる業務」の範囲
 内国法人であるP社は、F国を本店所在地国とするS社の株式を保有している。S社は物品販売業を主たる事業として行っているが、部分対象外国関係会社(措置法第66条の6第6項各号列記以外の部分に規定する部分対象外国関係会社)に該当する。S社は、物品販売業とは別に、関連者等(措置法令第39条の17の3第8項第2号イからハまでに掲げる者をいう。)に金銭の貸付けを行っており、当該貸付け業務を遂行するために、F国において事務所を設け、F国においてS社の役員及び使用人が、財務業務及び貸付業務に従事している。
 このような場合において、S社の役員又は使用人は、同号に規定する金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることになるか。また、上記貸付業務に係る業務の一部を委託している場合はどう判断されるのか。
(回答)  平成29年度改正において、本店所在地国において実体のあるグループファイナンス事業を行っていると認められる部分対象外国関係会社が、関連者等に対して行う金銭の貸付けによって得る利子については、部分合算課税の対象から除外することとされている(措置法66の6⑥二、措置法令39の17の3⑧二)。これは、多数の外国関係会社を構えて国際的に事業展開する多国籍企業グループは、各事業会社の資金需給を調整し、グループ全体での資金効率の最適化を図るといった、いわゆるグループファイナンス機能を有する外国関係会社を設立する場合も多く、こうしたグループファイナンス機能から生じる利子には租税回避のリスクが見いだせないという認識に基づくものだと考えられる。
 この部分合算課税の対象から除外されるグループファイナンスに係る利子とは、部分対象外国関係会社のうち、「その本店所在地国においてその行う金銭の貸付けに係る事務所、店舗その他の固定施設を有し、かつ、その本店所在地国においてその役員又は使用人が金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものが、その関連者等に対して行う金銭の貸付けに係る利子の額」とされている。なお、グループファイナンス事業は、通常、グループ各社において、次のような財務業務及び貸付業務を行っているとされている。
A:財務業務 (ア)自社の投資計画や負債の返済見通し等をもとにした資金計画の作成、資金需要の予測等の親会社又は資金管理会社への報告など。多国籍企業グループは、グループファイナンスを実施する際に、通貨・為替、時差、法令・規制等の観点からグループをいくつかの範囲に分割し、その範囲の資金管理を統括する資金管理会社を設立して事業を進めることがある。また、地域統括会社が兼務している場合もある。
(イ)グループ各社から報告された情報に基づくキャッシュ残高や予測情報に基づくグループ全体又は資金管理会社の管理する単位の資金計画の策定、金利設定など。資金計画の策定にあたっては、グループ内の余剰資金の有効活用のほか、外部からの資金調達をすることも考えられる。
(ウ)資金計画に基づく具体的なグループファイナンス方法の検討。例えば、自社の資金計画や貸付時点の外部環境等を踏まえ、貸付方法(長期又は短期のロールオーバー)、貸付条件(変動又は固定)等について経済性を踏まえた検討を行うことが該当するとされている。
B:貸付業務  上記A(ウ)に基づき、実際に貸付けを実行すること。具体的には、契約事務、入金管理・回収等が該当する。
 次のようにS社の役員又は使用人が、上記Aの財務業務及びBの貸付業務の「いずれにも従事している場合に、当該部分対象外国関係会社の役員又は使用人は金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していると考えられる」とされている。なお、上記Aの財務業務をグループ内で分担して行っているような場合であっても、上記Aの財務業務の(ア)から(ウ)までのいずれかの業務及びBの貸付業務に従事している場合には、当該通常必要と認められる業務の全てに従事していると考えられるとされている。
 また、S社が銀行等の金融機関ではない場合、上記Bの貸付業務については、次のように委託されることがあることも想定されている。
イ)銀行等の金融機関の提供するキャッシュ・マネジメント・システムを利用し、上記A(ウ)で決定した貸付先・貸付金額・貸付期間を設定して会社間貸借を適時自動的に実施すべく銀行等に委託する場合
ロ)上記B貸付業務の入金管理・回収等を代行会社に委託する場合
 なお、部分対象外国関係会社の役員又は使用人が通常必要と認められる業務の全てに従事していることとなるためには、補助業務を除き、業務委託に当たって、その外国関係会社が仕様書等を作成し、又は指揮命令していることが必要であるとされている。この点、グループファイナンスに関しては、上記財務業務及び貸付業務が行われることが前提となっており、上記A(ウ)で貸付先・貸付金額・貸付期間等が設定され、それに基づき会社間で金銭消費貸借契約が結ばれることとなっている。その上で、上記A(ウ)で設定された条件等に従って上記イ)及びロ)の業務委託が実施されるものであれば、通常は、外国関係会社が仕様書等を作成し、それに沿って業務委託をしているものと考えられるとされている。
Q2:グループファイナンスに係る利子の要件における「通常必要と認められる業務の全て」が当該事業年度内に行われていない場合において、役員又は使用人が業務の全てに従事しているかどうかの判定  上記Q1のケースにおいて、前期にグループファイナンスに係るA財務業務は行ったものの、B貸付業務については当期以降に行うことが見込まれている。このような場合において、S社の役員及び使用人は措置法令第39条の17の3第8項第2号に規定する金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることになるか。
(回答)  上記Q1において、「グループファイナンス事業を行う会社における金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているかどうかの判定に当たって、A財務業務及びB貸付業務について、それぞれの業務の一部をグループ内で分担している場合であっても外国関係会社がいずれの業務も実施していなければならないとしているところです。」とされている。しかしながらQ1においては、同時に、「なお、上記Aの財務業務をグループ内で分担して行っているような場合であっても、上記Aの財務業務の(ア)から(ウ)までのいずれかの業務及びBの貸付業務に従事している場合には、当該通常必要と認められる業務の全てに従事していると考えられる。」とされている。
 こうした前提のもと、Q2では、外国関係会社がA財務業務及びB貸付業務のいずれも実施しているものの、いずれか一方の業務が前期において実施され、当期以降にもう一方の業務が行われる場合には、「いずれも実施している」といえるかという問題点と考えられる。
 回答では、部分合算課税の対象から除外されるグループファイナンスに係る利子の要件における通常必要と認められる業務の全てに従事しているかどうかの判定に当たっては、例えば、貸付業務については利子を収受しつつ、最終的に全てを回収するまでには長期間を要することが見込まれるところであり、上記Q1のAの財務業務の(ア)から(ウ)までで貸付期間等が決定された上で、それに基づきBの貸付業務が実施されているのであれば、その金銭の貸付けに係る財務業務と貸付業務とは一体として実施されたものと考えられ、仮にBの貸付業務が当期以降に実施されたとしても、金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していると考えられるとされている。
 タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)における合算対象となるかどうかという判定は、原則、事業年度ごとに行うこととされているが、グループファイナンスに係る利子の除外の要件における「通常必要と認められる業務の全てに従事している」かどうかの判定については、事業年度ごとに判定する必要がないということであろう。



この記事に関するご意見・お問合せは ta@lotus21.co.jp にお寄せください。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

ログイン/新規会員登録

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • 書籍以外の商品
  • 法苑
  • 裁判官検索