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解説記事2019年01月28日 【税務マエストロ】 消費税率に関する経過措置の取扱いQ&A(2)(2019年1月28日号・№772)

税務マエストロ
税務における第一人者“税務マエストロ”による税実務講座

今週のマエストロ&テーマ
消費税率に関する経過措置の取扱いQ&A(2)

#223 熊王征秀(税理士)

略歴 学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。
現在
東京税理士会会員相談室委員
東京税理士会調査研究部委員
東京地方税理士会税法研究所研究員
日本税務会計学会委員
大原大学院大学教授

マエストロの解説  経過措置の取扱いQ&Aの【具体的事例編】では、平成26年4月1日の8%税率への増税時に実務家から疑問が寄せられた歯の矯正治療やインプラント治療など、より実務的な事例が追加されている。今月は、この【具体的事例編】の内容を紹介する。

2 平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A(30年10月)【具体的事例編】
(31年施行日を含むゴルフ場の年会費)
問9 当社は、ゴルフ場を経営しており、優先・割引利用を受けることができる会員に対して、ゴルフ場の優先・割引利用といった役務提供を受ける資格を維持させることを目的とする年会費を、年に1回請求しています。この年会費は、年額として1月1日に在籍する会員から受領することとしており、受領した年会費に対して当社は返還義務を負わないこととしています。
   今回、平成31年1月から12月までの年会費を平成30年12月に請求するのですが、年会費の全額に対して旧税率(8%)が適用されますか。

【答】  照会の年会費は、ゴルフ場の優先・割引利用といった役務提供を受ける資格を維持するために受領するものであり、月ごとに完了する役務提供の対価として受領するものではないものと考えられます。
 また、このような年会費に係る税率については、会員から年会費の支払を受けるべきことが
確定した時の税率が適用されます。
 したがって、照会の年会費については、旧税率(8%)が適用されます。
<解説>  返還義務のないゴルフ場の年会費などは、法人税法上も権利が確定した時点で収益計上することとされている。よって、事業者が31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに請求し、収益計上した対価については、たとえ31年施行日以後の期間に対応する部分が含まれていたとしても、旧税率(8%)を適用することとなる。

(31年施行日以後のプラン変更による追加料金に係る適用税率)
問12 31年施行日(平成31年10月1日)以後の航空料金につき26年施行日(平成26年4月1日)から31年施行日の前日(平成31年9月30日)までの間に領収している場合、旅客運賃等の税率等に関する経過措置が適用されますが、31年施行日以後にアップグレードの申出があり、追加で料金を請求する場合には、その追加料金にも旅客運賃等の税率等に関する経過措置が適用されますか。また、ダウングレードの申出により、料金の一部を返還する場合にはどうなりますか。

【答】  事業者が、旅客運賃、映画・演劇を催す場所等への入場料金を26年施行日から31年施行日の前日までの間に領収している場合において、当該対価の領収に係る課税資産の譲渡等が31年施行日以後に行われるときは、当該課税資産の譲渡等については旧税率(8%)が適用されます(改正法附則5①、16①)。
 照会のアップグレードしたことにより追加で請求する料金については、「26年施行日から31年施行日の前日までの間に領収」しているものではありませんので、旅客運賃等の税率等に関する経過措置の適用はありません。
 また、ダウングレードを行い、料金の一部を返金する場合には、当該航空料金は、その全額について領収していることから、その全額に旅客運賃等の税率等に関する経過措置が適用されます。
 なお、アップグレード等が新たな旅客運送契約の締結となる場合には、31年施行日の前日までの間に領収している金額も含めてその全額に対して、この経過措置は適用されず新税率(10%)が適用されることとなります。
<解説>  次に掲げる料金のうち、31年施行日前に領収したものについては、31年施行日以後に課税資産の譲渡等が行われる場合であっても旧税率が適用される。
(1)対象となる料金 ① 汽車、電車、タクシー、船舶、航空機に係る旅客運賃(料金)
② 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ、見せ物を不特定多数の者に見せ、または聴かせる場所への入場料金
③ 競馬場、競輪場、小型自動車競走場、モーターボート競走場への入場料金
④ 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設または場所でこれらに類するものへの入場料金
(2)支払者の取扱い  交通費などの上記(1)に掲げる料金は、支払時に必要経費または損金に計上することとなるのであるから、これらの料金を支払う事業者は、支出ベースでの記帳をすることにより、仕入控除税額の計算における特段の注意は必要ない。ただし、決算日にまたがる航空運賃などについて、前払費用として処理をした場合には、適用税率の取扱いについて注意する必要がある。

〔具体例〕
 9月決算法人が、平成31年9月30日において10月2日分の国内航空料金を支払い、前払費用として処理した場合には、平成32年9月決算期において旅費交通費に振り替えたこの国内航空運賃の適用税率は8%になる(経過措置の対象とならない旅費交通費の適用税率は10%になる)。
※ 航空会社が9月決算のケースでは、受領した航空運賃は平成31年9月期において前受収益として負債に計上し、平成32年9月期において役務収益として売上高に振替処理をすることになる(適用税率8%)。


(貸ビルオーナーがテナントから受け取る電気料金の取扱い)
問16 当社は、平成30年4月から所有しているビルの一部をテナントに貸していますが、ビル全体の電気については当社が電力会社と契約していることから、毎月テナントからテナント使用分の電気料金を受け取り、受け取った電気料金を当社の収入として計上しています(電力会社への支払は当社の費用として計上しています。)。当該テナント使用分の電気料金について、31年施行日(平成31年10月1日)から平成31年10月31日までの間に確定するものは、電気料金等の税率等に関する経過措置の適用対象となりますか。

【答】  電気料金等の税率等に関する経過措置の適用要件とされる「継続的に供給し、又は提供することを約する契約」とは、電気等の供給を不特定多数の者に対して行う契約をいうこととされています(31年経過措置通達5)。
 照会の貸ビルのオーナーが自己の所有するビルのテナントに限って、電気等の供給を行う事業者から購入した電気等を販売する取引は、不特定多数の者に対して行う電気等の供給契約ではないことから、電気料金等の税率等に関する経過措置は適用されません。
<解説>  【答】にあるように、当社がテナントから収入する31年施行日以後の電気代は10%課税されるのに対し、当社が電力会社に支払う電気代については、計算期間が31年施行日にまたがっているものは経過措置により8%課税されることになる。売上げと仕入れの適用税率は必ずしも一致させる必要はないし、また、一致するものでもない。

(工事の請負等の税率等に関する経過措置が適用される建設工事の値増金の取扱い)
問22 工事の請負等の税率等に関する経過措置が適用される建設工事について、値増金(資材等の値上り等に応じて授受する一定の金銭)が発生した場合の取扱いはどうなりますか。

【答】  値増金は、建設工事の対価の一部を構成するものであり、工事代金が増額されたこととなるため、増額部分については、工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用はありません。なお、この場合の増額部分については、建設工事の目的物の引渡しの時の税率が適用されることとなります。
(注)工事進行基準を採用している場合の増額部分に係る対価の適用税率は、資産の譲渡等を行ったものとした時(工事進行基準を適用する課税期間の末日)の税率となります。
<解説> (1)工事代金の増額(値増金)  31年指定日前に工事の請負契約を締結した後で、追加工事の注文や資材の値上がりなどを理由として値増金を別途収受することがある。本体工事の請負契約を31年指定日前に締結した場合であっても、この値増金の取決めが31年指定日以後に行われた場合には、この部分については経過措置の適用はなく、新税率で課税されることになる。この場合の値増金の売上計上時期は、目的物の引渡し以前に確定した場合には、その引渡しの日、引渡し後に確定した場合には、その確定した日を合む課税期間における消費税の課税標準となる(経過措置通達14)。

(2)工事代金の減額  当初の契約に基づく工事の一部を削減したような場合であっても、契約自体が取り消しになったわけではない。よって、当初の契約が31年指定日前になされたものであれば、経過措置の適用は認められることになる(経過措置Q&A【基本的な考え方編】問25)。


(結婚式等の注文を受ける場合の経過措置の適用関係)
問23 結婚式・披露宴に係る契約を31年指定日の前日(平成31年3月31日)までに締結し、31年施行日(平成31年10月1日)以後に結婚式等を行う場合、当該結婚式等について、工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用はありますか。
 また、出席者の人数等が不確定のため、60名までのパック料金とし、1名追加ごとに料理代として2万円追加となる契約となっており、31年指定日(平成31年4月1日)以後に次のような事由が生じた場合についても、工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用はありますか。
 ① 出席人数が10名増加し、費用が20万円増加した場合
 ② パック料金に含まれる衣装代について、ランクを上げて追加料金が発生した場合(ランクアップ料金が、契約書上明記されている)
 ③ パック料金に含まれている飲み物の料金を超えたため、追加料金が発生する場合(一定量を超えた場合は、1本当たりの追加料金が契約書上明記されている)

【答】  工事の請負等の税率等に関する経過措置の対象となる工事(製造)の請負に類する契約とは、「請負、委任その他の請負に類する契約」であり、かつ、「役務の全部の完了が一括して行われるもの」とされていることから、一般的に、結婚式・披露宴の注文を受けて行う役務の提供に係る契約は、当該経過措置が適用される「その他の請負に類する契約」に該当するものと考えられます。
 したがって、26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日の前日までの間に契約が締結され、31年施行日以後に結婚式等を行う場合、工事の請負等の税率等に関する経過措置が適用されます。
 なお、あらかじめ参加人数やプラン内容に応じたパック料金が定められている結婚式等について、パック料金を超過した部分がある場合は、当該超過した部分に対して経過措置の適用はありませんので、照会における①から③の事由が生じた場合には、いずれの場合においても、パック料金を超過した部分には、経過措置が適用されません。
参考  冠婚葬祭などのサービス提供のうち、指定日の前日までに締結した下記の要件を満たす契約で、施行日以後に冠婚葬祭のための施設の提供が行われるものについては旧税率で課税することとしている。
 ただし、指定日以後に対価の額の変更が行われた場合は経過措置の適用はない。
-要件- ① 指定日の前日までに締結した下記②~⑤の要件を満たす契約であること。
 ※ 指定役務の提供契約については、実務上、消費税導入時又は税率を5%に引き上げた時の経過措置が適用されることも想定される。下表を参考に契約時期ごとの適用税率を確認されたい。

② 契約に係る料金が定められていること。
③ 事情の変更その他の理由により料金の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
④ 契約の性質上役務提供の時期をあらかじめ定めることができないものであること。
⑤ 割賦販売法第2条第5項(定義)に規定する前払式特定取引に係る契約のうち、指定役務の提供に係るものであること。
(注)「指定役務の提供」とは、冠婚葬祭のための施設の提供その他の便宜の提供等に係る役務の提供をいい、資産の購入を前提にその代金を積み立てることとしているものはこれに該当しない(経過措置通達20)。

(歯の矯正治療やインプラント治療)
問24 歯の矯正治療及びインプラント治療について、31年指定日の前日(平成31年3月31日)までに申込みを受けた場合には、工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用はありますか。
   なお、治療代については、31年施行日(平成31年10月1日)前までに代金を一括受領(患者が治療を止めた場合であっても返還しない)し、継続して受領した日の売上げとして計上しています。

【答】  一般的な歯の矯正治療やインプラント治療は、「役務の全部の完了が一括して行われるもの」に該当しないことから、工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用はありません。なお、矯正治療代やインプラント治療代は、申込時に一括して受領する場合があり、契約において受領した治療代について返還しない旨を定めている場合があります。このような契約において、継続して受領した時の収益に計上している場合には、収益を計上した時の税率を適用して差し支えありません。
 したがって、照会の場合、31年施行日前までに治療代を一括受領しており、受領した対価について返還することがなく収益として確定しているものとのことですので、経理処理上も継続的に対価を受領したときに収益に計上している場合は、収益に計上した時の税率(8%)を適用して差し支えありません。
<解説>  役務の提供に係る資産の譲渡等の時期は、原則としてその役務提供の完了日とされている(消基通9-1-11)。
 ただし、歯の矯正治療やインプラント治療は、矯正やインプラントの装着を最終目標とするものの、治療が継続して行われるものであることから所得税や法人税においても治療が終了した時に収入金額や収益の額を認識することはできないものと思われる。また、【答】にもあるように工事の請負等の税率等に関する経過措置の適用もない。
 歯科医院においては、医療ミスでもない限り、通常は治療を中途で中断しても収入した治療費を患者に返金することはない。よって、事業者が31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに受領した対価を受領した時点で収入金額(収益の額)に計上している場合には、所得税や法人税との整合性を図る観点からも、旧税率(8%)を適用して差し支えないこととするものである。

(メンテナンス料を含むコピー機のリース料)
問26 当社の行うコピー機のリース取引(オペレーティング・リース)については、リース料にメンテナンスに係る料金を含む月額料金で契約しています。
   契約期間は5年間でその期間中、料金の改定ができないこととなっており、26年指定日(平成25年10月1日)から31年指定日の前日(平成31年3月31日)までに契約を締結し、31年施行日(平成31年10月1日)前から引き続き貸し付けることとなります。この場合に、資産の貸付けの税率等に関する経過措置が適用されますか。

【答】  メンテナンスを賃貸人の責任として行っており、リース料の算定にその費用を織り込んだ上でリース料を算出している場合は、月額料金の全額について資産の貸付けの税率等に関する経過措置が適用されます。
 なお、顧客の選択により、リース契約とは別の契約により付加されるメンテナンス料については、資産の貸付けの税率等に関する経過措置は適用されません。

(「協議により同意があった場合に対価を変更することができる」旨の定め)
問30 資産の貸付けの税率等に関する経過措置の要件に、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」とありますが、契約書等に「賃貸人は賃借人と協議の上、もしくは、賃借人の同意が得られた場合に変更できる」と定めている場合、この要件に該当しますか。

【答】  資産の貸付けの税率等に関する経過措置の適用要件の1つとして、「対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」とされています(改正法附則5④二、16①)。
 照会の場合には、賃借人の同意を得られることを条件としていても、事業者が対価の変更を求めることができる旨の定めがあることとなり、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」の要件に該当しないこととなります。
<解説>  オペレーティングリースや不動産の賃貸借契約については、次の①~④のいずれにも該当する契約であることが経過措置の要件とされている(経過措置Q&A【基本的な考え方編】問28)。
① 指定日の前日までに締結した契約であること
② 施行日前から施行日以後引き続き資産の貸付けを行っていること
③ 貸付期間と貸付期間中の対価の額が契約で定められていること
④ 事情の変更その他の理由により対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
 したがって、指定日以後に貸付けの対価の額の変更が行われた場合には経過措置は適用されないことになるので、変更後の資産の貸付対価のうち、施行日以後のリース料は新税率で課税されることになる。
 通常のリースについて経過措置を適用するためには、「対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと」という要件があるが、ここにいう「対価の額」とは税抜きのいわゆる本体価額を指すものである。したがって、リース契約で「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の規定があったとしても、契約に基づく新税率を適用しない限りは経過措置の対象とすることができる。
 つまり、契約に基づき新税率を適用した場合には、これにより対価の額の変更が行われたこ
とになり、当然に経過措置は適用されないことになるのである(経過措置通達17)。
 また、建物の賃貸借については借地借家法が適用され、契約内容にかかわらず、事情変更があった場合には賃料の変更請求をすることができることとされているが、これはあくまでも借地借家法の規定である。したがって、建物の賃料を増減することができる旨の定めが賃貸借契約書に明記されていない限りは、その契約は経過措置の適用要件に該当することになる(経過措置通達18)。
 また、賃貸人が修繕義務を履行しない等、正当な理由により対価を変更した場合には、「対価の変更が行われた場合」としては扱わず、他の要件を満たす限り、経過措置の対象とすることができる(経過措置通達19)。

(インターネット通販に係る経過措置の適用関係)
問33 当社は、31年指定日(平成31年4月1日)より前からインターネット通販により、電化製品等を販売しています。当該電化製品等の販売価格等の販売条件については、31年指定日から31年施行日の前日(平成31年9月30日)まで変更しないこととしていましたが、平成31年8月に数日間セールを実施し、当該期間に販売する電化製品等を一律200円引きすることとしました。
   この場合、31年施行日(平成31年10月1日)前までに申し込まれたものについて、通信販売等の税率等に関する経過措置の規定が適用されますか。
   また、当社では、電化製品等を販売する際に、電化製品等の対価とは別に送料を受領しています。当該送料についても、通信販売等の税率等に関する経過措置が適用されますか。

【答】  通信販売(不特定かつ多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品の販売をいい、予約販売に係る書籍等の税率等に関する経過措置に規定する契約に係る販売を除きます。)の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に商品を販売するときは、その商品の販売については旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5③)。
 照会の場合、31年指定日からセール開始日の前日までの間の申込みについては、当該申込時の販売条件に従って31年施行日以後に商品の販売をする場合、通信販売等の税率等に関する経過措置が適用されます。この場合、31年指定日前に販売条件を提示していること及び提示した販売条件に従って商品の販売が行われたことについて、書類等で明らかにしておく必要があります。
 また、平成31年8月に数日間セールを行っていますので、当該セール以後においては、新たに販売条件を提示したこととなり、セール終了日以後において、販売条件を当該セール前に戻したとしても、セール開始日以後の商品の販売については、通信販売等の税率等に関する経過措置は適用されません。
 なお、商品の販売に係る対価とは別に受領する送料について、31年指定日前に当該送料に係る条件を提示し、商品の販売の申込時において当該条件に従って送料が確定する場合には、商品の販売と同様に通信販売等の税率等に関する経過措置が適用されます。
<解説>  次の①及び②の要件を満たす方法により商品を販売する事業者が、指定日の前日までに販売条件を提示し、または提示する準備を完了し、施行日前に申込みを受けた場合には、その提示した条件に従って商品を販売する場合に限り、施行日以後の譲渡であっても旧税率で課税することとしている。
① 指定日の前日までに販売条件を提示し、または提示する準備を完了した通信販売であること
② 施行日前に申込みを受けること
※「通信販売」とは、不特定かつ多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けてその提示した条件に従って行う商品の販売をいう。ただし、予約販売は通信販売の定義からは除かれている。
 したがって、指定日以後に販売条件を提示(変更)する通信販売については経過措置の適用はないことに注意する必要がある。
(注)軽減税率が適用される取引についてはこの経過措置は適用できない(軽減通達23)。

(販売価格が変動しうることを示している場合)
問34 当社のインターネット通販では、予約商品について、申込みから発売の間で商品の価格が下落した場合には、申込時の価格ではなく、下落時の最低価格で販売することとしており、このように販売価格が変更されることがあることについては、当社の運営するインターネットサイトで示しております。
   この場合、通信販売等の税率等に関する経過措置が適用されますか。

【答】  通信販売(不特定かつ多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品の販売をいい、予約販売に係る書籍等の税率等に関する経過措置に規定する契約に係る販売を除きます。)の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日(平成31年4月1日)前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日(平成31年10月1日)前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に商品を販売するときは、その商品の販売について旧税率(8%)が適用されます(改正令附則5③)。
 照会の場合、予約商品に係る販売価格は、申込時に示された価格から変更される場合があるものであり、参考価格が示されていたにすぎず、実際に販売する時の価格を示していないことから、通信販売等の税率等に関する経過措置の適用要件である「指定日前に販売価格その他の条件を提示し、施行日前に申込みを受けて当該提示した条件に従って施行日以後に商品を販売するとき」には該当せず、この経過措置の適用はありません。
 なお、結果として31年指定日前にインターネットサイトで掲載していた販売価格と譲渡時の販売価格が一致したとしても、変更する可能性のある販売価格を示している以上、この経過措置の適用はありません。

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