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解説記事2019年04月29日 【SCOPE】 上場子会社の独立社外取締役、元親会社在籍者以外から選任を(2019年4月29日号・№785)

GGS実務指針案が明らかに
上場子会社の独立社外取締役、元親会社在籍者以外から選任を

 経済産業省のCGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)が検討している「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(案)の概要が明らかとなった。上場子会社については一般株主との間の利益相反リスクについて特にその調整が問題になると指摘。上場子会社の独立社外取締役については、10年以内に親会社に所属していた者を選任しないことを検討するべきなどとしている。また、取締役会における独立社外取締役の比率については、3分の1以上や過半数を目指すことが基本であるとした。

親会社と上場子会社の一般株主の間に利益相反リスク
 政府が公表した「未来投資戦略2018─『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革─」(平成30年6月15日閣議決定)では、「グループガバナンスの在り方に関する実務指針を来年春頃を目途に策定する」との記載が盛り込まれており、これを受け、経済産業省のCGS研究会は「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」を策定している。
上場子会社は全体の17.2%  このほど明らかになった実務指針案では、特に上場子会社に関するガバナンスの在り方について明記している。日本の上場子会社数は減少傾向にはあるものの、2018年時点で東証上場企業のうち628社(上場企業の17.2%)であり、このうち親会社が上場企業である上場子会社は311社(同8.5%)にのぼっている。
 この上場子会社だが、実務指針案では、支配株主である親会社と上場子会社の一般株主の間に利益相反リスクがあることを指摘。典型的な場面として、直接取引や一部事業部門の譲渡等、完全子会社化などが実施される場合には、親会社と上場子会社の一般株主の間に利益相反関係が生じ、その取引条件(対価等)の設定によっては、一般株主の利益が害されるため(図表参照)、上場子会社における実効的なガバナンス体制の構築を通じ、一般株主の利益に十分配慮した対応を行うことが求められるとしている。

親会社は情報開示を通じた説明責任を  親会社については、当面、上場子会社として維持する場合には①当該子会社を上場子会社として維持することの合理的理由、②上場子会社のガバナンス体制の実効性確保について取締役会で審議し、投資家などに対して情報開示を通じて十分な説明責任を果たすことが求められるとした。①では、上場子会社の一般株主利益に配慮しなければならないことに伴う制約やコストと比較して、自社グループにとって当該子会社の上場を維持することのベネフィットが上回っていることについて具体的に説明することになる。
10年以内に親会社に在籍していた者はNO  上場子会社については一般株主との間の利益相反リスクがあることを踏まえ、上場子会社としての独立性を担保するための実効的なガバナンス体制を構築するべきとしている。
 例えば、独立社外取締役の独立性については、東証の独立性基準において、会社法上の社外性の要件(会社法2条15号)に加え、最近まで親会社・兄弟会社の取締役等であった者などを除外するとされてきたが、上場子会社における独立社外取締役については、一般株主からの利益保護という重要な役割を果たし、一般株主や資本市場から十分な信頼が得られる必要があるため、少なくとも10年以内に親会社に所属していた者は独立社外取締役として選任しないこととすることを検討すべきであるとした。
親会社から独立した立場で選任  親会社は、上場子会社の独立社外取締役の選任について、親会社から独立した立場で一般株主の利益保護に配慮しつつ、上場子会社の企業価値向上に貢献できるかという観点から指名・選任が行われるべきとした。
 また、支配株主として取締役の選解任権限の行使に当たっては、上場子会社におけるガバナンスの確保の観点から適切な選任がなされるよう、十分に配慮することが求められるとしている。この点、利益相反取引におけるマジョリティ・オブ・マイノリティー条件の考え方を踏まえ、例えば、独立社外取締役の選任議案に関するマジョリティ・オブ・マイノリティーの対応状況(一般株主の過半数の賛同を得て選任されたかどうか)について情報開示を行い、一般株主からの信任について透明化を図ることも有効であるとしている。
独立社外取締役の比率を3分の1以上に  そのほか、利益相反リスクに対応するため、実効的なガバナンスの仕組みを構築すべきであるとし、取締役会における独立社外取締役の比率を3分の1以上あるいは過半数にまで高めることを目指すことが基本であるとしている。

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