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相続・遺言2026年07月15日 成年後見制度は『補助』へ一本化!
保管証書遺言を新設! 法令ダイジェスト 民法等の一部を改正する法律(令和8年6月24日法律45号)

概 要

 高齢化の進展、単身高齢者世帯の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、成年後見及び遺言の制度を国民がより利用しやすいものとする等の観点から、後見及び保佐の制度の廃止並びに補助の制度の適用範囲の拡大、事理を弁識する能力を欠く常況にある者についての補助の制度の特例の創設、任意後見契約と補助の制度との関係の見直し等を行うとともに、電磁的記録等をもって作成する保管証書遺言の創設等の措置を講ずることとされました。

施 行

 公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日(一部の規定を除く。)

成年後見制度の見直し

1) 後見開始の審判及び保佐開始の審判の廃止等
後見開始の審判及び保佐開始の審判を廃止し、これらに関する規定を削除等することとされました。
2) 補助開始の審判の対象の拡大、特定補助人に係る審判の創設、終了事由の見直し等
〈1〉 精神上の理由により事理弁識能力が不十分である者の全てについて、補助開始の審判をすることができるものとし、補助開始の審判の請求権者に公正証書によって本人の指定した者を加えることとされました。
〈2〉 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、請求により、法定の重要な財産上の行為のうち家庭裁判所が定めるものについて補助人の同意を要する旨の審判をし、又は特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をするものとされました。
〈3〉 家庭裁判所は、補助開始の審判を受けた者が精神上の理由により事理弁識能力を欠く常況にある者であり、必要があると認めるときは、請求により、その者のため特定補助人を付する旨の審判をし、本人がした法定の重要な財産上の行為を取り消すことができるものとされました。特定補助人は、取消権の行使等をする権限を有するものとされました。
〈4〉 家庭裁判所は、必要がなくなったと認めるときは、請求により、補助の制度に係る各審判を取り消すことができるものとされました。
3) 補助人の解任事由の新設、補助人の義務に関する見直し等
〈1〉 家庭裁判所は、本人の利益のため特に必要があるときは、補助人を解任することができるものとされました。
〈2〉 補助人は、補助の事務を行うに当たり、適切な方法により本人の意向を把握し、その意向を尊重しなければならないこととされました。
〈3〉 家庭裁判所は、補助人の報酬を定める際に、補助の事務の内容等を考慮するものとされました。
〈4〉 補助人は、毎年1回一定の時期に、本人の状況等について家庭裁判所に報告しなければならないものとし、審判の要件がなくなったときは、家庭裁判所が職権で当該審判を取り消すことができるものとされました。
〈5〉 補助人は、本人が死亡した場合に、家庭裁判所の許可を得て、その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結及び相続財産の保存に必要な行為をすることができるものとされました。
4) 意思表示の受領の特別代理人の創設
家庭裁判所は、意思表示の相手方が精神上の理由により事理弁識能力を欠く常況にある者である場合において、その者のために意思表示を受ける者がないときは、請求により、意思表示を受領する特別代理人の選任をすることができるものとされました。

任意後見制度等の見直し

1) 任意後見開始の審判の創設等
〈1〉 任意後見契約とは、任意後見開始の審判がされた時からその効力が生ずる定めがあるものをいうものとされました。
〈2〉 家庭裁判所は、精神上の理由により本人の事理弁識能力が不十分な状況にあるときは、請求により、任意後見開始の審判をするものとし、任意後見開始の審判の請求権者に、公正証書によって本人の指定した者を加えることとされました。
〈3〉 家庭裁判所は、明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任しないことができるものとされました。
2) 任意後見契約の効力の発生順序に係る合意の創設
他の任意後見契約の受任者が欠けるに至るまでは、任意後見開始の審判をすることができない旨の合意をすることができるものとされました。
3) 任意後見人と補助人との併存の許容
本人が補助開始の審判等を受けたときは任意後見契約が終了する等の規定を削除することとされました。

遺言制度の見直し

1) 保管証書遺言の創設
普通の方式の遺言として、保管証書遺言を創設することとされました。保管証書遺言は、遺言の全文が記載又は記録された証書に遺言者が署名等を行い、遺言書保管官の前で遺言の全文を口述するなどして法律の定めに基づき保管しなければ、その効力を生じないものとされました。
2) 特別の方式の遺言における新たな方式の追加
死亡の危急に迫った者の遺言、船舶遭難者の遺言について、新たな方式を追加することとされました。
3) 遺言における押印要件並びに証人及び立会人の欠格事由の見直し
〈1〉 自筆証書遺言、秘密証書遺言及び特別の方式の遺言における遺言者、証人及び立会人の押印要件を廃止することとされました。
〈2〉 遺言の証人及び立会人となることができない者に、受遺者(推定相続人を除く。)の被用者等を加えることとされました。

その他

1) 後見登記等に関する法律の一部改正
家庭裁判所から登記所に対して登記手数料を納付する規定を見直し、当該登記手数料を補助開始の審判等の申立ての手数料とみなすものとし、申立人が申立て時に登記手数料相当額を家庭裁判所に納付するものとされました。
2) 家事事件手続法の一部改正
〈1〉 家庭裁判所が特定補助人を付する処分の審判をするには、当該審判を受ける者となるべき者の精神状況について医師2人以上の意見を聴き、明らかに必要がないと認める場合を除いて鑑定をしなければならないものとされました。
〈2〉 家庭裁判所は、補助の制度に係る各審判をする場合には、市町村長その他適当な者に対し、本人の心身の状態や生活状況等に関する意見を求めることができるものとされました。
3) 法務局における遺言書の保管等に関する法律の一部改正
〈1〉 新たに創設される保管証書遺言について、法務局における遺言書の保管及び情報の管理等に係る規定が新設されました。
〈2〉 自筆証書遺言書も含め、出頭又は書類の提出を要することなく遺言書の保管の申請等を行うことを可能とすることとされました。
以 上
新日本法規出版株式会社
(2026年6月)

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