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解説記事2019年07月01日 【SCOPE】 一定の譲渡制限付株式、有価証券届出書の提出が不要に(2019年7月1日号・№793)

ストック・オプションと同様
一定の譲渡制限付株式、有価証券届出書の提出が不要に

 「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令」(令和元年政令第34号)が6月21日に公布された。今回の改正は譲渡制限付株式を交付する企業が増加していることを踏まえ、一定の条件をクリアすることで、当該譲渡制限付株式の募集又は売り出しについては、ストック・オプションと同様、有価証券届出書の提出を不要とし、臨時報告書の提出事由とするもの。令和元年7月1日から施行される。また、「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」報告書を踏まえ、監査人の異動に関して、臨時報告書へ監査役等の意見の記載や当該異動する監査人の意見をより積極的に記載できるようにするとともに、臨時報告書へ監査人の異動の実質的な理由の記載がなされるよう、企業内容等開示ガイドラインに具体的な交代理由を例示している。こちらに関しては6月21日に施行及び適用されている。

条件は役員等に限定で事業年度経過後3月を超える譲渡制限
 今回の見直しは大きく分けて2つあるが、1点目は株式報酬に係る開示規制の見直しだ。昨今では、経営陣等にインセンティブを付与するための業績連動報酬としての株式報酬の導入が広がっており、労務の対価として一定期間の譲渡を制限した株式(譲渡制限付株式)を交付する企業が増加している。これを踏まえ、①交付対象者が発行会社等の役員等に限られていること、②発行する株式に譲渡についての制限に係る期間(事業年度経過後3月を超える)が設けられていることを条件に、当該譲渡制限付株式の募集又は売出しについては、ストック・オプションと同様、有価証券届出書の提出を不要とし、臨時報告書の提出事由としている。
報酬プランの工夫で要件満たせばOK  5月20日まで意見募集を行っていた改正案からの内容面の変更はないが、株式報酬に係る開示規制の見直しに関してはいくつかのコメントが寄せられている。
 例えば、譲渡制限付株式の場合、その譲渡制限期間は3年間などの確定期間により定まるもの以外にも、取締役等の退任日に譲渡制限が解除されるものがあるという。通常、取締役の任期は1年以上であるため、退任時に譲渡制限が解除されるものも、1年以上の役務提供がなされた上で譲渡制限が解除されることになる。このため、退任時に譲渡制限が解除されるものも、実質的に1年以上の譲渡制限が付されているものとして、有価証券届出書の提出が不要になるのかといった疑義が生じている。
 この点、金融庁によると、譲渡制限期間の終期を確定日としないケースについては、例えば、①終期を「取締役等が交付を受けることとなる日の属する事業年度経過後3月を超えた日の退任日」とする、②「取締役等が交付を受けることとなる日の属する事業年度の経過後3月を超えた日」までに退任した場合には原則として会社が当該譲渡制限付株式を無償取得する旨の条項を定めるなど、報酬プランの設計を工夫することにより要件を満たすことが可能としている。
特定譲渡制限付株式は条件にあらず  また、特定譲渡制限付株式報酬については、将来の役務提供の対価として付与されることが税法上の要件として定められているため、対象となる役務提供期間が明記されることになるが、臨時報告書においても、対象となる役務提供期間を明記する必要があるのかといった質問が寄せられている。
 この点、金融庁は、有価証券届出書の提出が不要となる譲渡制限付株式は、必ずしも所得税法施行令等にいう特定譲渡制限付株式であることを条件としているものではないと指摘。その上で、企業内容等開示ガイドラインによれば、開示府令19条2項2号の2イ(5)の「勧誘の相手方と提出会社との間の取決めの内容」として譲渡制限期間を記載することが求められているとしている。

監査人の異動、10の異動理由を例示
 2点目は、1月22日に公表された「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」報告書を踏まえた見直しだ。監査人の異動に関して、臨時報告書へ監査役等の意見の記載や当該異動する監査人の意見をより積極的に記載できるようにするとともに、臨時報告書へ監査人の異動の実質的な理由の記載がなされるよう、規定を明確化するもの。企業内容等開示ガイドラインでは、監査公認会計士等の異動に至った理由及び経緯には、実質的な異動理由(異動が任期満了時である場合には、当該監査公認会計士等が監査を継続しない理由)及び経緯(期中に退任する場合には、期中であるにもかかわらず退任することとなった経緯)について詳細に記載することとされている。
 実質的な異動理由としては、「監査報酬」「継続監査期間」「会計・監査上の見解相違」など、10項目が例示されることになった(表参照)。また、経緯としては、監査公認会計士等とのやり取りについて詳細に記載することとされている。

【表】実質的な異動理由(例示)
① 連結グループでの監査公認会計士等の統一
② 海外展開のため国際的なネットワークを有する監査公認会計士等へ異動
③ 監査公認会計士等の対応の適時性や人員への不満
④ 監査報酬
⑤ 継続監査期間
⑥ 監査期間中に直面した困難な状況
⑦ 会計・監査上の見解相違
⑧ 会計不祥事の発生
⑨ 企業環境の変化等による監査リスクの高まり
⑩ その他異動理由として重要と考えられるもの

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