税務ニュース2006年04月10日 課税庁、国際的租税回避訴訟に懸命な対応(2006年4月10日号・№158) 一条工務店事件では、上告を断念
課税庁、国際的租税回避訴訟に懸命な対応
一条工務店事件では、上告を断念
納税者と課税庁が課税所得の海外逃避を巡り、税務訴訟の場で熾烈な戦いを見せている。匿名組合契約による国際的租税回避スキームと位置付けられた日本ガイダント訴訟では、一審敗訴した課税庁側が膨大な量の控訴趣意書を提出し、控訴審での逆転に意気込みを示している。一方、シンガポールの関連会社へのロイヤリティの支払が争点となった一条工務店事件では、契約の実態を認定する控訴審の判断が示されたことから、課税庁は最高裁への上告を断念した。
国際課税訴訟で課税庁が苦戦
本誌先週号(No.157)でお伝えした海外の関連会社へのロイヤリティの支払が争点となった一条工務店事件では、課税庁側が上告を断念したことが明らかとなった。また、第一審で課税処分が取り消された日本ガイダント訴訟(本誌No.142に解説)では、課税庁側が、大学教授の鑑定意見書を含む膨大な控訴理由書を提出したため、控訴審の第1回口頭弁論の開始が大幅に遅れ、第一審判決から6月以上経過した4月中旬以降に開催される見込みとなっている。
いずれの事件も我が国の課税権が侵食され、当該相手国における課税の実態にも不透明感が残るものの、契約関係が整備されていることから、裁判所は、契約書等に表れた契約の実態を認定して、課税庁の主張を斥けてきた。
ガイダント控訴審の争点は匿名組合の実態
昨年9月30日に納税者が一審勝訴した日本ガイダント訴訟では、課税庁は民法上の任意組合契約であると主張し、納税者は商法上の匿名組合契約であると主張していた。東京地裁は、外形上(契約書上)の匿名組合と異なる事実はないとして、課税庁の主張を斥けた。
控訴審では、課税庁はこれまでの主張に加えて、「本件組合は匿名組合契約か任意契約組合契約か」という問題ではなく、本件組合は、匿名組合員が営業者の経営判断に影響力を行使することができる業務執行参加型の(かつ財産参加型の)非典型的匿名組合契約であり、親会社等の影響力の行使をも考慮にすれば、日本に存在する恒久的施設(PE)の認定のあり方に誤りがあると追加主張している。
さらに、匿名組合といってもその内容・実態は様々であり、それは、匿名組合契約が本来民法上の典型的な組合と比較することによって導かれたものであり、対立するものというよりもその実質を判断すべきものと主張している。
第一審が採用した「処分証書の法理」に課税庁側の「実質課税」の論理が控訴審でどのように判断されることになるか、極めて注目すべき構造の争いとなっている。
一条工務店事件では、上告を断念
納税者と課税庁が課税所得の海外逃避を巡り、税務訴訟の場で熾烈な戦いを見せている。匿名組合契約による国際的租税回避スキームと位置付けられた日本ガイダント訴訟では、一審敗訴した課税庁側が膨大な量の控訴趣意書を提出し、控訴審での逆転に意気込みを示している。一方、シンガポールの関連会社へのロイヤリティの支払が争点となった一条工務店事件では、契約の実態を認定する控訴審の判断が示されたことから、課税庁は最高裁への上告を断念した。
国際課税訴訟で課税庁が苦戦
本誌先週号(No.157)でお伝えした海外の関連会社へのロイヤリティの支払が争点となった一条工務店事件では、課税庁側が上告を断念したことが明らかとなった。また、第一審で課税処分が取り消された日本ガイダント訴訟(本誌No.142に解説)では、課税庁側が、大学教授の鑑定意見書を含む膨大な控訴理由書を提出したため、控訴審の第1回口頭弁論の開始が大幅に遅れ、第一審判決から6月以上経過した4月中旬以降に開催される見込みとなっている。
いずれの事件も我が国の課税権が侵食され、当該相手国における課税の実態にも不透明感が残るものの、契約関係が整備されていることから、裁判所は、契約書等に表れた契約の実態を認定して、課税庁の主張を斥けてきた。
ガイダント控訴審の争点は匿名組合の実態
昨年9月30日に納税者が一審勝訴した日本ガイダント訴訟では、課税庁は民法上の任意組合契約であると主張し、納税者は商法上の匿名組合契約であると主張していた。東京地裁は、外形上(契約書上)の匿名組合と異なる事実はないとして、課税庁の主張を斥けた。
控訴審では、課税庁はこれまでの主張に加えて、「本件組合は匿名組合契約か任意契約組合契約か」という問題ではなく、本件組合は、匿名組合員が営業者の経営判断に影響力を行使することができる業務執行参加型の(かつ財産参加型の)非典型的匿名組合契約であり、親会社等の影響力の行使をも考慮にすれば、日本に存在する恒久的施設(PE)の認定のあり方に誤りがあると追加主張している。
さらに、匿名組合といってもその内容・実態は様々であり、それは、匿名組合契約が本来民法上の典型的な組合と比較することによって導かれたものであり、対立するものというよりもその実質を判断すべきものと主張している。
第一審が採用した「処分証書の法理」に課税庁側の「実質課税」の論理が控訴審でどのように判断されることになるか、極めて注目すべき構造の争いとなっている。
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