税務ニュース2007年08月27日 アスベスト埋設汚染は固定資産税評価額の減価要因とはならず(2007年8月27日号・№224) 除去費用が求償できる場合には「補正(評価減)不要」と判示
アスベスト埋設汚染は固定資産税評価額の減価要因とはならず
除去費用が求償できる場合には「補正(評価減)不要」と判示
佐賀地裁民事部(神山隆一裁判長)は7月27日、多量のアスベストスラッジが埋設されている土地の所有者が、当該土地の固定資産税評価額の減額を求めていた事案に対し、「本件アスベストを除去することにより当該土地を原状に復することができるものであるから、本件アスベストの存在を理由に所要の補正をしない取扱いをすることも許されるものというべく、本件土地について、『所要の補正』を行わなかったことについて、違法があるということはできない。」などと判示して、原告(土地所有者)の請求を棄却する判決を言い渡した。
事案の概要 原告は、本件土地には多量のアスベストスラッジが埋設され、その処分に多額の費用を要し、本件土地の価格は大幅に低下しているにもかかわらず、固定資産課税台帳に登録された本件土地の価格は、その点が考慮されていないなどと主張した。
本件は、原告が鳥栖市固定資産評価審査委員会に対し、本件土地の価格についての棄却決定は違法であるとして、その取消しを求めた事案である。
裁判所の判断 神山裁判長は、「アスベストは不溶性の物質であって、土地の構成要素である土壌を汚染するものではなく、そのため土壌汚染対策法の対象ともなっていない。また、本件アスベストは、前所有者により人為的に廃棄されたものであって、これを除去することにより本件土地を原状に復することができるものであって、本件土地自体に内在する原因によって、本件土地の区画、形質に著しい変化があったものということはできない。また、アスベストスラッジの廃棄されている土地の事例は希有であって、類似する他の土地に比準することが容易ではなく、価格変動要因を数量的に比準できるような定型的な態様のものであるということもできない。これらの点に鑑みれば、本件土地について、本件アスベストの存在が、『特別の事情』に当たるということはできない。」・「固定資産評価基準における所要の補正は、評価に当たり、課税対象不動産の個別の状況を一定程度考慮しようとするものであるが、その究極の目的は、不動産鑑定評価基準などと異なり、固定資産税の公平な賦課徴収にあることは明らかであるから、不動産鑑定評価基準においては減価するべきものとされている場合であっても、少なくとも、不動産減価の要因が外的人為的なもので、その原因行為者の責任追及を行うことにより原状回復が論理的に可能な場合は、これを理由に『所要の補正』をしない取扱いをすることも許されるものと解するのが相当である。」などと判示して、原告の請求を斥けた。
除去費用が求償できる場合には「補正(評価減)不要」と判示
佐賀地裁民事部(神山隆一裁判長)は7月27日、多量のアスベストスラッジが埋設されている土地の所有者が、当該土地の固定資産税評価額の減額を求めていた事案に対し、「本件アスベストを除去することにより当該土地を原状に復することができるものであるから、本件アスベストの存在を理由に所要の補正をしない取扱いをすることも許されるものというべく、本件土地について、『所要の補正』を行わなかったことについて、違法があるということはできない。」などと判示して、原告(土地所有者)の請求を棄却する判決を言い渡した。
事案の概要 原告は、本件土地には多量のアスベストスラッジが埋設され、その処分に多額の費用を要し、本件土地の価格は大幅に低下しているにもかかわらず、固定資産課税台帳に登録された本件土地の価格は、その点が考慮されていないなどと主張した。
本件は、原告が鳥栖市固定資産評価審査委員会に対し、本件土地の価格についての棄却決定は違法であるとして、その取消しを求めた事案である。
裁判所の判断 神山裁判長は、「アスベストは不溶性の物質であって、土地の構成要素である土壌を汚染するものではなく、そのため土壌汚染対策法の対象ともなっていない。また、本件アスベストは、前所有者により人為的に廃棄されたものであって、これを除去することにより本件土地を原状に復することができるものであって、本件土地自体に内在する原因によって、本件土地の区画、形質に著しい変化があったものということはできない。また、アスベストスラッジの廃棄されている土地の事例は希有であって、類似する他の土地に比準することが容易ではなく、価格変動要因を数量的に比準できるような定型的な態様のものであるということもできない。これらの点に鑑みれば、本件土地について、本件アスベストの存在が、『特別の事情』に当たるということはできない。」・「固定資産評価基準における所要の補正は、評価に当たり、課税対象不動産の個別の状況を一定程度考慮しようとするものであるが、その究極の目的は、不動産鑑定評価基準などと異なり、固定資産税の公平な賦課徴収にあることは明らかであるから、不動産鑑定評価基準においては減価するべきものとされている場合であっても、少なくとも、不動産減価の要因が外的人為的なもので、その原因行為者の責任追及を行うことにより原状回復が論理的に可能な場合は、これを理由に『所要の補正』をしない取扱いをすることも許されるものと解するのが相当である。」などと判示して、原告の請求を斥けた。
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