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会社法ニュース2008年11月03日 発行登録制度・目論見書制度の見直し、具体的論点が明らかに(2008年11月3日号・№281) ディスクロージャーWGの今年度初会合が開催される

発行登録制度・目論見書制度の見直し、具体的論点が明らかに
ディスクロージャーWGの今年度初会合が開催される

融審議会金融分科会第一部会のもとに設置された「ディスクロージャー・ワーキング・グループ」(以下「ディスクロージャーWG」という)が10月22日、今年度初めてとなる会合を開催した。

ディスクロージャーWGの設置と検討課題  今秋10月15日に再開された第一部会の検討テーマは、格付会社に係る規制の枠組み、金融商品取引所と商品取引所の相互乗入れ、開示制度の見直しの3つ。このうち、開示制度の見直しに関しては、ディスクロジャーWG(座長:岩原紳作東京大学大学院法学政治学研究科教授)において、(1)発行登録制度、(2)有価証券の売出しの概念、(3)目論見書制度を具体的な検討課題とし、実務的な検討を進めるものとされていた(本誌280号40頁参照)。
 10月22日のディスクロージャーWGでは、上記(1)・(3)に関する検討から開始。各制度の見直しに関し、事務局から具体的な論点が紹介されたほか、WGメンバーである実務家を中心に現行制度に関する現状説明がなされ、また意見が表明された。

発行登録制度における利用適格要件  発行登録制度は、発行登録書を提出することにより有価証券届出書を提出せずに有価証券の募集または売出しを可能とする制度で、さらに、簡易な発行登録追補書類を提出することにより直ちに売付けが可能となるなど、市場の状況に合わせた機動的な資金調達に資するもの。参照方式による有価証券届出書の提出が認められる者に限って利用することができるが、その利用適格要件は、「1年間継続して有価証券報告書を提出している」とする継続開示要件(金融商品取引法5条4項1号、企業内容等の開示に関する内閣府令9条の4第2項)を充たすこととともに、おおむね次の周知性要件(同法5条4項2号)のうち、上場企業または店頭登録企業の場合、いずれかを充たすこととされている(開示府令9条の4第5項1号・2号)。
<上場・店頭登録企業が充たすべきいずれかの周知性要件>
・発行済株券の年当たり売買金額、発行済株券の年平均時価総額がともに100億円以上であること
・発行済株券の年平均時価総額が250億円以上であること
・社債券について2つの指定格付機関によりA格相当以上の格付を取得していること(1つは既発行の社債券であること)
・法令により優先弁済を受ける権利を保証されている社債券の発行実績があること

格付要件の見直し、一大論点に  発行登録制度の見直しにおいては、このような(ア)利用適格要件の見直しに加え、(イ)SPCによる発行登録制度の導入、(ウ)発行登録に際してのプログラム・アマウント方式の採用、(エ)(ウ)に加えて公募・私募一括方式の採用が論点である。
 (ア)については、

① 発行登録制度の利用適格要件(有価証券届出書の参照方式)として継続開示要件に加えて周知性要件は必要か
② 開示書類に係るEDINET提出の義務付け等に鑑みると、発行登録制度の利用適格要件としての周知性要件は不要ではないか
③ 現行制度の周知性要件として、発行済株券の上場時価総額等の基準を充たすことにより当該会社が発行する社債につき発行登録を利用することができることについてどう考えるか
④ 発行登録制度の利用要件から格付要件は廃止される。この場合、特に非上場会社については発行登録制度を利用できなくなるため、代替要件としてはどのような要件が妥当か

がさらに具体的な論点となっている。
 上記④の論点は、サブプライムローン問題に端を発し、格付会社のあり方が見直されるなか(280号41頁参照)、国際的にも公的な規制等において格付会社の格付を利用しないとする申合せが行われたことを受けての対応。たとえば米国においては、参照方式の利用適格要件としての取引要件の1つである「“投資適格”格付の非転換型証券の新規発行売出し」について、格付基準を撤廃する改正案「過去3年間における非転換型証券の発行総額が10億ドル以上である場合」が提示されているという。
 わが国の場合、当日のWG席上示されたのは「過去の社債発行実績、発行残高を基準とする」「資本金要件を設ける」「たとえば3年間などの一定期間において会計監査人による適正意見が付された有価証券報告書を提出している場合、周知性要件を不要とする」などの案であった。
 当日の会合におけるメンバーらの意見は、座長により「実務の観点からは周知性要件自体は必要であり、どのように修正すべきかが大勢を占める」旨、総括されている。

目論見書制度見直しの論点  目論見書制度については、(ア)目論見書の現状の評価、改善点、(イ)記載事項の見直し、(ウ)交付方法の見直しなどが論点。投資信託証券の交付目論見書を中心に「内容が多すぎる」「専門用語が多すぎる」「重要な箇所がわからない」といった問題点はメンバー間の共通認識となっており、簡素化の方向での見直し自体には一定のコンセンサスが得られている模様である。

① 投信の交付目論見書をどのような工夫により簡素化するか
② 交付目論見書を簡素化した場合、請求目論見書の記載内容をどうするか
③ 電子交付の促進を図るには何を改善するか
④ 運用報告書はどう改善するか

が具体的な論点となるが、①につき記載事項をどのように絞り込むか、比較可能性の観点からは作成者による任意性をどの程度許容するかが、まず争点となろう。

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