税務ニュース2009年04月13日 過去に税務上自己否認した評価損についても損金算入の途開く(2009年4月13日号・№302) 国税庁、上場有価証券の評価損に関するQ&Aを公表
過去に税務上自己否認した評価損についても損金算入の途開く
国税庁、上場有価証券の評価損に関するQ&Aを公表
昨年末からの株価急落を受け、多くの企業が会計上、上場有価証券の減損処理を迫られているが、国税庁は4月3日、上場有価証券の評価損の損金算入に関する取扱いを明確化するQ&Aを公表した(今号30頁参照)。Q&Aでは、株価の回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準を尊重するほか、過去に税務上自己否認した評価損についても損金算入の対象となり得ることなどを明らかにしている(本誌300号7頁参照)。
翌事業年度に株価上昇でも是正不要 税務上、上場有価証券の評価損の計上については、法人税基本通達9-1-7により、「当該事業年度の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その回復が見込まれないこと」という条件が課されているが、「近い将来その回復が見込まれない」という表現が曖昧であることから、否認を恐れ、税務上の評価損計上を回避してきた法人は少なくない。
今回公表されたQ&Aでは、この点に関し、以下の点を明確にしている。
まず、「近い将来回復が見込まれない」ことについて、法人が採用する合理的な判断基準は、税務上も尊重されるとした。もっとも、法人が独自にこの株価の回復可能性に係る合理的な判断を行うことは困難であることから、①証券アナリストなど専門性を有する第三者により、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されている場合や、②監査対象の法人においては、財務諸表の監査を経ている場合には、合理的な判断基準と認められる。
さらに、一度計上された評価損は、翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があったとしても、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はないことを明記している。
また、前事業年度において自己否認した評価損につき、当事業年度において損金算入の途を開いている点も注目される。この場合、①前事業年度において株価が帳簿価額の50%相当額を下回るとして会計上「減損処理」を行い、さらに②当事業年度末においても依然として帳簿価額の50%相当額を下回っていることが条件となる。
そして、当事業年度において損金算入できるのは、あくまで当事業年度末の「帳簿価額と株価との差額」が限度となる。例えば、帳簿価額を100、前事業年度の減損処理後の帳簿価額を40、当事業年度末の株価を45とすると、損金算入対象額は「55(=100-45)」となる。逆に、当事業年度末の株価が35まで下落した場合には、前事業年度において減損処理を行った「60」を損金算入できることになる。
国税庁、上場有価証券の評価損に関するQ&Aを公表
昨年末からの株価急落を受け、多くの企業が会計上、上場有価証券の減損処理を迫られているが、国税庁は4月3日、上場有価証券の評価損の損金算入に関する取扱いを明確化するQ&Aを公表した(今号30頁参照)。Q&Aでは、株価の回復可能性がないことについて法人が用いた合理的な判断基準を尊重するほか、過去に税務上自己否認した評価損についても損金算入の対象となり得ることなどを明らかにしている(本誌300号7頁参照)。
翌事業年度に株価上昇でも是正不要 税務上、上場有価証券の評価損の計上については、法人税基本通達9-1-7により、「当該事業年度の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その回復が見込まれないこと」という条件が課されているが、「近い将来その回復が見込まれない」という表現が曖昧であることから、否認を恐れ、税務上の評価損計上を回避してきた法人は少なくない。
今回公表されたQ&Aでは、この点に関し、以下の点を明確にしている。
まず、「近い将来回復が見込まれない」ことについて、法人が採用する合理的な判断基準は、税務上も尊重されるとした。もっとも、法人が独自にこの株価の回復可能性に係る合理的な判断を行うことは困難であることから、①証券アナリストなど専門性を有する第三者により、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されている場合や、②監査対象の法人においては、財務諸表の監査を経ている場合には、合理的な判断基準と認められる。
さらに、一度計上された評価損は、翌事業年度で株価が上昇した場合など翌事業年度以降に状況の変化があったとしても、当事業年度に評価損として損金算入した処理を遡って是正する必要はないことを明記している。
また、前事業年度において自己否認した評価損につき、当事業年度において損金算入の途を開いている点も注目される。この場合、①前事業年度において株価が帳簿価額の50%相当額を下回るとして会計上「減損処理」を行い、さらに②当事業年度末においても依然として帳簿価額の50%相当額を下回っていることが条件となる。
そして、当事業年度において損金算入できるのは、あくまで当事業年度末の「帳簿価額と株価との差額」が限度となる。例えば、帳簿価額を100、前事業年度の減損処理後の帳簿価額を40、当事業年度末の株価を45とすると、損金算入対象額は「55(=100-45)」となる。逆に、当事業年度末の株価が35まで下落した場合には、前事業年度において減損処理を行った「60」を損金算入できることになる。
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