税務ニュース2018年08月13日 低利益企業の高額役員報酬は許されるか(2018年8月13日号・№751) 投資家を意識した制度設計が必須に
低利益企業の高額役員報酬は許されるか
投資家を意識した制度設計が必須に
平成28年度、29年度税制改正では、譲渡制限付株式報酬の税制上の取扱いの明確化が図られ、業績連動給与(旧利益連動給与)の算定基礎となる指標に株価等が追加されるなど、インセンティブ型報酬の導入促進に向け税制面でも環境整備が行われた。これを受け、譲渡制限付株式報酬や業績連動給与を導入する企業は増えているが、一方で、平成30年6月の株主総会では、ROEが2%台と低利益水準の企業の譲渡制付株式報酬付与議案に多くの機関投資家が反対票を投じるという事例も発生している。その背景には、議決権行使行使結果の個別開示義務化を受け、機関投資家が投資先企業の役員報酬制度設計を厳しく検証するようになってきているということがある。
こうした中、利益水準に比して高額の役員報酬を支払っているにもかかわらず、投資家の賛成を得ている企業もある。同社の役員報酬制度の最大の特徴と言えるのが、固定報酬よりもインセンティブ型報酬業の方が圧倒的に大きいという点だ。また、役員報酬算定上の根拠となるKPIも投資家に好まれるものを意識的に採用している。通常、役員は自らのインセンティブとなりやすい売上等を役員報酬算定上のKPIとしたがる傾向があるが、投資家にとって理想的なKPIは株価や最終利益である当期純利益であり、両者の間には隔たりがある。しかし同社では、株式報酬として導入しているパフォーマンスシェア・ユニット(一定の業績評価期間を経た後に、目標業績や株価等の達成度に応じてユニット(単位)数を上下させ、そのユニット数に応じた株式を付与するタイプの株式報酬。業績連動給与として損金算入可)については、中期経営計画の指標がダイレクトに反映される設計としている。また、賞与は当期純利益のみにより決定する仕組みとなっている上、法人税法上の業績連動給与が求める開示要件も満たすことで損金算入し、キャッシュが無駄に流出しないように配慮している。
同社の役員報酬制度はかなり極端な例と言えるが、利益水準がそれほど大きくない企業が高額の役員報酬を支給するには、投資家目線の制度設計は必須と言えよう。
投資家を意識した制度設計が必須に
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こうした中、利益水準に比して高額の役員報酬を支払っているにもかかわらず、投資家の賛成を得ている企業もある。同社の役員報酬制度の最大の特徴と言えるのが、固定報酬よりもインセンティブ型報酬業の方が圧倒的に大きいという点だ。また、役員報酬算定上の根拠となるKPIも投資家に好まれるものを意識的に採用している。通常、役員は自らのインセンティブとなりやすい売上等を役員報酬算定上のKPIとしたがる傾向があるが、投資家にとって理想的なKPIは株価や最終利益である当期純利益であり、両者の間には隔たりがある。しかし同社では、株式報酬として導入しているパフォーマンスシェア・ユニット(一定の業績評価期間を経た後に、目標業績や株価等の達成度に応じてユニット(単位)数を上下させ、そのユニット数に応じた株式を付与するタイプの株式報酬。業績連動給与として損金算入可)については、中期経営計画の指標がダイレクトに反映される設計としている。また、賞与は当期純利益のみにより決定する仕組みとなっている上、法人税法上の業績連動給与が求める開示要件も満たすことで損金算入し、キャッシュが無駄に流出しないように配慮している。
同社の役員報酬制度はかなり極端な例と言えるが、利益水準がそれほど大きくない企業が高額の役員報酬を支給するには、投資家目線の制度設計は必須と言えよう。
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