税務ニュース2019年05月27日 業績連動給与に係る開示は“別枠”も(2019年5月27日号・№788) 改正開示府令が求める役員報酬開示と損金算入のための開示にギャップ
業績連動給与に係る開示は“別枠”も
改正開示府令が求める役員報酬開示と損金算入のための開示にギャップ
業績連動給与の支給割合を高める企業が急増する中、今年1月末に公布・施行された改正開示府令では、2019年3月決算の有価証券報告書から、業績連動報酬に係る開示の充実も求めている。例えば「業績連動報酬とそれ以外の報酬等の支払割合の決定方針を定めているときは、その方針の内容」「当該業績連動報酬に係る指標」「当該指標を選択した理由」「当該業績連動報酬の額の決定方法」「最近事業年度における当該業績連動報酬に係る指標の目標、実績」など開示項目は多岐に渡っており、企業側からはどこまで詳細な開示が必要なのか懸念する声が上がっていた。これに対し金融庁は、「業績連動報酬の決定方法を十分に説明可能な場合には、すべての要素を網羅的に記載することを求めるものではない」旨の考え方を示している(パブコメに対する金融庁の考え方 No.57参照)。
一方、法人税法上、業績連動給与を損金算入するためには、業務執行役員ごとに「業績連動給与の算定の基礎となる業績連動指標」「限度としている確定した額又は確定した数」「客観的な算定方法の内容」等を有価証券報告書で開示する必要がある(法基通9-2-19)。このため、法人税法が(損金算入要件として)求める開示と改正開示府令が求める開示に、その精緻さや分量の点で乖離が生じる可能性がある。投資家が求めているのはあくまでKPIと報酬額の連動が明確な「分かり易い開示」であり、その点からすれば、法人税法上の開示は過剰となる面があることは否定できない。特に企業が複数種の業績連動報酬を支給しており、そのうち業績連動給与として損金算入の対象になり得るのは1種類だけといった場合、各業績連動給与間でも開示量等にアンバランスが生じる恐れがある。
こうした問題をクリアするためには、有価証券報告書上、改正開示府令に対応した開示と損金算入のための開示を分けるといった工夫が考えられる。例えば、投資家向けの改正開示府令に対応した情報を上部に記載し、“別枠”で損金算入要件を満たすための情報を下部に記載すれば、投資家にとっての分かり易さを確保しながら損金算入要件も充足することが可能となろう。
改正開示府令が求める役員報酬開示と損金算入のための開示にギャップ
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一方、法人税法上、業績連動給与を損金算入するためには、業務執行役員ごとに「業績連動給与の算定の基礎となる業績連動指標」「限度としている確定した額又は確定した数」「客観的な算定方法の内容」等を有価証券報告書で開示する必要がある(法基通9-2-19)。このため、法人税法が(損金算入要件として)求める開示と改正開示府令が求める開示に、その精緻さや分量の点で乖離が生じる可能性がある。投資家が求めているのはあくまでKPIと報酬額の連動が明確な「分かり易い開示」であり、その点からすれば、法人税法上の開示は過剰となる面があることは否定できない。特に企業が複数種の業績連動報酬を支給しており、そのうち業績連動給与として損金算入の対象になり得るのは1種類だけといった場合、各業績連動給与間でも開示量等にアンバランスが生じる恐れがある。
こうした問題をクリアするためには、有価証券報告書上、改正開示府令に対応した開示と損金算入のための開示を分けるといった工夫が考えられる。例えば、投資家向けの改正開示府令に対応した情報を上部に記載し、“別枠”で損金算入要件を満たすための情報を下部に記載すれば、投資家にとっての分かり易さを確保しながら損金算入要件も充足することが可能となろう。
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