資料2001年11月30日 【主要判例】 H13.11.30 東京地方裁判所 平成13年特(わ)第2850号 法人税法違反被告事件
H13.11.30 東京地方裁判所 平成13年特(わ)第2850号 法人税法違反被告事件
主文
被告人株式会社Aを罰金2400万円に,被告人Bを懲役1年2月に処する。
被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社A(以下,「被告会社」という)は,東京都渋谷区(平成9年10月3日以前は東京都目黒区)に本店を置き,衣料品等の輸入販売等を目的とする株式会社,被告人B(以下,「被告人」という)は,被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが,被告人は,被告会社の業務に関し,法人税を免れようと企て
第1 売上金の一部を除外する方法により所得を秘匿した上,平成8年10月1日から平成9年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が1550万7744円であった(別紙1「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成9年12月1日,東京都渋谷区所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が零で,これに対する法人税額が零である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成13年押第1481号の1)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額505万900円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れ
第2 売上金の一部を除外する方法により所得を秘匿した上,平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が2514万3752円であった(別紙2「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成10年11月30日,上記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が497万4759円の欠損で,控除所得税額を控除すると3455円の還付を受けることとなる旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額866万8500円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れ
第3 売上金の一部を除外し,架空経費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上,平成10年10月1日から平成11年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が3億5421万3678円であった(別紙3「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成11年11月30日,上記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が1億1327万9583円で,これに対する法人税額が3831万800円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額1億2143万7100円と上記申告税額の差額8312万6300円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れたものである。
(量刑の理由)
本件は,被告会社の代表取締役である被告人が,同社の業務に関し,売上金の一部を除外するなどしてその所得を秘匿し,虚偽過小の申告をして被告会社の法人税をほ脱したという事案である。
本件にかかるほ脱税額は,3事業年度合計約9600万円余りと高額である上,通算ほ脱率も71%余りと高率であり,結果が重大である。また,本件犯行態様は,被告人において,真実の売上表のほかに虚偽の売上表を作成させて売上の一部を除外し,さらに,平成11年9月期については,これに加えて,卸売上の売掛金の一部を計上せず,また,偽造の領収書を利用したり,取引関係にある広告会社に働きかけ宣伝広告費の架空請求書を発行させるなどして,架空経費を計上したものであって,被告会社の従業員及び取引会社をも巻き込んだ悪質なものである。
被告人は,本件の動機について,被告会社の商品の主な顧客層が流行に敏感な若い女性などであるため,売上が一過性のもので終わる可能性もあって,将来,被告会社の経営が悪化したときに備えて,資金を確保したいと思った旨供述するが,このような動機が犯行を正当化するものでないことは当然である。さらに,本件で留保された現金が,被告人の自宅の購入資金等にも費消されている点は,犯情として芳しくない。
このような動機,態様,結果等の犯情に照らせば,被告人及び被告会社の刑事責任は重いといわなければならない。
しかしながら,他方において,被告会社においては,既に修正申告の上,本件に関する本税,重加算税,延滞税を全額納付していること,新たな税理士等を依頼するなどして,経理体制の改善充実を図っていること,被告人においては,本件を反省し,更生を誓っていること,前科がないこと等被告人及び被告会社のために有利に酌むべき事情も認められる。
そこで,これらの事情を総合考慮した上で,被告会社については,主文の罰金刑に処することとし,被告人については,主文の懲役刑に処するとともに,その執行を猶予して,社会内での更生の機会を与えることとした。
(求刑ー被告会社につき罰金2900万円,被告人につき懲役1年2月)
平成13年11月30日
東京地方裁判所刑事第8部 裁判官 池田 耕平
主文
被告人株式会社Aを罰金2400万円に,被告人Bを懲役1年2月に処する。
被告人Bに対し,この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社A(以下,「被告会社」という)は,東京都渋谷区(平成9年10月3日以前は東京都目黒区)に本店を置き,衣料品等の輸入販売等を目的とする株式会社,被告人B(以下,「被告人」という)は,被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが,被告人は,被告会社の業務に関し,法人税を免れようと企て
第1 売上金の一部を除外する方法により所得を秘匿した上,平成8年10月1日から平成9年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が1550万7744円であった(別紙1「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成9年12月1日,東京都渋谷区所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が零で,これに対する法人税額が零である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成13年押第1481号の1)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額505万900円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れ
第2 売上金の一部を除外する方法により所得を秘匿した上,平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が2514万3752円であった(別紙2「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成10年11月30日,上記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が497万4759円の欠損で,控除所得税額を控除すると3455円の還付を受けることとなる旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額866万8500円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れ
第3 売上金の一部を除外し,架空経費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上,平成10年10月1日から平成11年9月30日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が3億5421万3678円であった(別紙3「修正損益計算書」参照)にもかかわらず,平成11年11月30日,上記所轄渋谷税務署において,同税務署長に対し,同事業年度における所得金額が1億1327万9583円で,これに対する法人税額が3831万800円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し,そのまま法定納期限を徒過させ,もって不正の行為により,同会社の同事業年度における正規の法人税額1億2143万7100円と上記申告税額の差額8312万6300円(別紙4「ほ脱税額計算書」参照)を免れたものである。
(量刑の理由)
本件は,被告会社の代表取締役である被告人が,同社の業務に関し,売上金の一部を除外するなどしてその所得を秘匿し,虚偽過小の申告をして被告会社の法人税をほ脱したという事案である。
本件にかかるほ脱税額は,3事業年度合計約9600万円余りと高額である上,通算ほ脱率も71%余りと高率であり,結果が重大である。また,本件犯行態様は,被告人において,真実の売上表のほかに虚偽の売上表を作成させて売上の一部を除外し,さらに,平成11年9月期については,これに加えて,卸売上の売掛金の一部を計上せず,また,偽造の領収書を利用したり,取引関係にある広告会社に働きかけ宣伝広告費の架空請求書を発行させるなどして,架空経費を計上したものであって,被告会社の従業員及び取引会社をも巻き込んだ悪質なものである。
被告人は,本件の動機について,被告会社の商品の主な顧客層が流行に敏感な若い女性などであるため,売上が一過性のもので終わる可能性もあって,将来,被告会社の経営が悪化したときに備えて,資金を確保したいと思った旨供述するが,このような動機が犯行を正当化するものでないことは当然である。さらに,本件で留保された現金が,被告人の自宅の購入資金等にも費消されている点は,犯情として芳しくない。
このような動機,態様,結果等の犯情に照らせば,被告人及び被告会社の刑事責任は重いといわなければならない。
しかしながら,他方において,被告会社においては,既に修正申告の上,本件に関する本税,重加算税,延滞税を全額納付していること,新たな税理士等を依頼するなどして,経理体制の改善充実を図っていること,被告人においては,本件を反省し,更生を誓っていること,前科がないこと等被告人及び被告会社のために有利に酌むべき事情も認められる。
そこで,これらの事情を総合考慮した上で,被告会社については,主文の罰金刑に処することとし,被告人については,主文の懲役刑に処するとともに,その執行を猶予して,社会内での更生の機会を与えることとした。
(求刑ー被告会社につき罰金2900万円,被告人につき懲役1年2月)
平成13年11月30日
東京地方裁判所刑事第8部 裁判官 池田 耕平
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