会計ニュース2020年10月16日 回収可能性判断は通算グループ全体で(2020年10月19日号・№854) 繰延税金資産の回収可能性判断の企業の分類も連結納税制度と同様
企業会計基準委員会(ASBJ)では、現在、グループ通算制度を適用する場合の税効果会計に関する検討を行っているが、連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断単位が論点の1つとなっている。
連結納税制度においては連結納税の範囲に含まれる企業集団が1つの納税主体となることを踏まえ、連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断については、連結納税の範囲に含まれる企業集団を一体として回収可能性を判断することとされている。一方、グループ通算制度では、企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行うこととされているが、欠損金や繰越欠損金を他の法人に配分することによって損益通算や欠損金の通算がなされることから、①連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断について、各通算法人を単位として繰延税金資産の回収可能性を判断した上で、各法人の個別財務諸表において計上した繰延税金資産の金額の合計値を連結財務諸表上の繰延税金資産の金額とする案、②連結グループ全体を1つの単位として繰延税金資産の回収可能性を判断し、連結財務諸表上の繰延税金資産を計上する案の2つが考えられるとしている。
この点、繰延税金資産の回収可能性の判断を行うにあたっては、将来の税金負担額が軽減されるかどうかを検討することになるが、連結財務諸表においては、グループ全体で税金負担額が軽減されるかどうかを検討することになる。これには、損益通算や欠損金の通算により欠損金や繰越欠損金が通算グループ内の他の法人に配分される点を考慮することが含まれると考えられるため、グループ通算制度における繰延税金資産の回収可能性の判断は、連結納税制度における扱いと同様に、通算グループ全体で行う方向となっている。
また、繰延税金資産の回収可能性の判断における企業の分類についても連結納税制度と同様の取扱いとする方向となっている。連結財務諸表上、通算グループ全体を1つの納税主体とみなして「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」における分類を行い、繰延税金資産の回収可能性の判断を行うことが考えられるとしている。また、欠損金に特定欠損金が含まれている場合の繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっても、通算グループ全体の所得見積額と各通算法人の個別所得見積額の両方を考慮し、それぞれの所得の見積単位における分類に応じた判断を行うことになる。
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