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解説記事2021年01月25日 SCOPE バークレイズ銀行、社債利子に係る実質所得者課税巡り訴訟(2021年1月25日号・№867)

社債利子に係る所得の帰属の判断枠組みは
バークレイズ銀行、社債利子に係る実質所得者課税巡り訴訟


 バークレイズ銀行東京支店が発行した社債の利子に係る実質所得者を巡り争われている裁判で、令和3年1月12日に第2回口頭弁論が開かれ双方の主張が出そろった。
 処分行政庁は、当該利子の支払先である日本法人は単なる名義人で、実質的に当該利子に係る収益を享受する者はグループ内のルクセンブルク法人であるとして、源泉所得税の徴収漏れを指摘、納税告知処分等を行った。これに対しバークレイズ銀行(原告)は、ルクセンブルク法人は、本グループ内資金調達取引において導管としての役割を果たすにすぎず、本件利子は原告のロンドン本店に最終的に支払われ、ロンドン本店が、法的実質として本件利子の収益を享受する法的権利を保持していたと主張し、処分の全部の取消しを求めている。

原告、グループ内のBCL社は実質的享受者ではなく“導管“にすぎずと主張

 バークレイズ銀行東京支店は、事業遂行に要する資金を調達するために、ロンドンの本店に対して社債を発行した。ロンドン本店は、東京支店からの本件社債の取得に要する資金を調達するために、本件社債をルクセンブルク法人BCL社に譲渡し、さらにBCL社は、本件社債を日本法人ITS社に譲渡した。東京支店は、ITS社に対して複数回にわたり本件社債に係る利子の支払いを行ったが、本件利子の支払いは、所得税法上、形式上の受領者であるITS社に対して行われたものと取り扱われるか、あるいは、本件利子の最終的な受領者であるロンドン本店に対して行われたものと取り扱われることにより、源泉徴収は不要であると考え行わなかった。
 これに対し、処分行政庁は、BCL社が実質的に本件利子に係る収益を享受していると認められるとして、BCL社が所得税法第12条に規定する実質所得者に該当すると認定した上で、外国法人に対する利子の支払いとして、本件利子についての源泉所得税の納税告知処分等を行った。

利子の最終的支払先はロンドン本店と主張
 原告は、本件社債発行前は、ロンドン本店から東京支店に対して融資取引が行われていたところ、本グループ内資金調達取引は、原告グループ内における財務効率を改善するため、本件利子が、形式上、第三者であり、導管としての機能を果たすにすぎないITS社に対して支払われ、同じく導管としての機能を果たすにすぎないBCL社を介してロンドン本店に最終的に支払われる仕組みとすることを意図して行われたものにすぎず、東京支店がロンドン本店から資金調達を行うという経済的実質には何ら変更が生じていないと主張。
 また、東京支店から本件ITS社口座に本件利子が振り込まれた後、ITS社からBCL社に対して本件利子と同額の担保余剰金額の支払いがなされ、一方で、BCL社からロンドン本店に対して本件利子と同額の本社債・利子返還額の支払いがなされることが契約上の仕組みとして定められていたとして、かかる契約上の仕組みは、法的実質として、ロンドン本店が本件利子の収益を享受する法的権利を保持していたことを明らかにするものであると主張している。
国は契約内容等からロンドン本店の帰属否定
 これに対し国は、「収益を享受する社債の実質的所有者の判断に当たっては、社債及びその利子に関連する契約内容や取引の実態から、①社債及び利子の譲渡(取得)の目的、②社債及び利子の法的な処分権限、③利子の経済的利益の帰属先、④利子の入金口座の管理状況などを検討して、総合的に判断するのが相当である。」とした上で、「①BCL社は、ITS社に対し、担保目的で本件社債及び本件利子を譲渡し、被担保債権が消滅した場合には、ITS社から第三者に優先して、本件社債及び本件利子の返還を受けることを予定しており、ITS社は、本件利子に係る経済的利益を得ることを目的としていなかったこと、②ITS社は、本件譲渡担保契約及び本件質権設定契約において、その処分権限を制限されていた一方、BCL社は、本件ITS社口座から本件社債及び本件利子を移転する権限を有していたこと、③本件利子は本件ITS社口座に入金された後すぐにほぼ同額がBCL社に送金されており、ITS社は、本件利子による経済的利益を享受しておらず、その経済的利益の帰属先はBCL社であること、④ITS社は、本件ITS社口座及び入金された本件利子を管理しておらず、BCL社が管理していた」ことなどから、ITS社は単なる名義人で、BCL社が、本件社債の実質的所有者であると結論づけている。
 また、ロンドン本店についても、上記4点を検討した結果、「①ロンドン本店は、本件ファイナンス契約により資金調達目的で、BCL社に本件社債を売却したこと、②本件ファイナンス契約等において、原告が本件社債及び本件利子に対する処分権限を有する旨の条項はないこと、③本件利子の経済的利益も原告に帰属しないこと、④原告が本件ITS社口座及び本件利子を管理していなかったこと」などから、ロンドン本店への帰属を否定している。
 次回は、4月19日にウェブによる書面準備手続が予定されており、国の主張に対し原告がどのような反論をみせるのか、注目される。

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