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解説記事2019年09月16日 SCOPE 本税の更正処分取消しでも重加算税が課される理由は?(2019年9月16日号・№803)

行政処分の「無効確認」に高いハードル
本税の更正処分取消しでも重加算税が課される理由は?


 東京地裁民事38部は8月27日、前件訴訟で法人税の更正処分等の取消し判決が確定した原告が、重加算税相当額の還付及び還付加算金の支払いを求めていた事案(重加算税賦課無効確認事案)について、「重加算税賦課決定処分に無効事由は認められない」などと判示し、原告(納税者)の請求を棄却する判決を言い渡した。

納税者は「正義公正の原則」を主張

 重加算税を含む附帯税は、本税についての何らかの納税義務懈怠(違反)によってその附帯税の納税義務が生ずるものであるため、その性質上本税と運命を共にし、本税についての課税処分が取り消されると当然その根拠を失い、納付義務も消滅するものと考えられる。原告は、「更正処分等を取り消す旨の判決(平成29.3.8東京地裁判決)が確定したにもかかわらず、(納付済である)本件賦課決定に係る重加算税が還付されないのは、正義公正の原則に著しく反する。」と主張した。
 更正処分等の取消(以下、前件訴訟)では、更正処分及び青色承認取消処分の取消しのみが求められており、重加算税の賦課決定処分の取消しは請求されていなかった(審査請求では両者とも取消請求の対象となっていた。)。
 前件訴訟では、土地取引が架空のものであると認定した更正処分及び青色承認取消処分は取り消されたが、重加算税が還付されなかったため、原告は、重加算税の無効確認という手段により納付済みの重加算税相当額及び還付加算金の支払いを訴えることになった。
 上記の経緯から、国は「本件においては、誤納金の返還を求める原告において、本件賦課決定処分が無効であることの主張立証責任を負う。」と反論した。
 国は行政処分が無効であるというための特段に高い要件(本税の更正処分が取消されただけでは重加算税賦課決定処分の取消しには該当しない旨)を下記の最高裁の判例を引用して掲げ、納税者の「正義公正の原則」に対抗した。

>最高裁判所の判例(昭和36.3.7第三小法廷判決)
 行政処分が当然無効であるというためには、処分に重大かつ明白な瑕疵がなければならず、ここに重大かつ明白な瑕疵というのは、「処分の要件の存在を肯定する処分庁の認定に重大・明白な瑕疵がある場合」を指すものと解すべきことは、当裁判所の判例である。右判例の趣旨からすれば、瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から、誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものと解すべきである。

更正処分の認定誤りも「外形上、客観的に明白」とはいえず

 本判決における主な判示は次のとおり。
 ①更正処分についての瑕疵(土地取引が架空のものであるとの行政処分庁の認定が誤りであること)は、前件訴訟の審理で初めて明らかになったものといえ、本件賦課決定処分の当初、これらが、外形上、客観的に明白であったということはできない。
 ②仮に本件賦課決定処分に課税要件の根幹について過誤があるとしても、原告らは、異議申立て・審査請求の段階においては、青色申告承認取消処分及び更正処分の取消しと併せて本件賦課決定処分の取消しを求めていたにもかかわらず、あえて青色申告承認取消処分及び更正処分の取消しのみを求め、本件賦課決定処分の取消しの訴えを提起することについて、これを困難とするような事情は何ら認められないのであるから、本件において、上記の例外的な事情があるということはできない。
 ③本件においては、本件賦課決定処分がされた当初から、本件更正処分の瑕疵を理由としてその効力を争うことが可能であり、出訴期間内に本件賦課決定処分の取消しの訴えを提起することについて、これを困難とするような事情は何ら認められないことからすると、最高裁昭和49年判決の事案とは異なるというべきであって、本件において本件賦課決定処分は、更正処分に係る行政上の制裁としてされたという性質を考慮しても、本件各賦課決定処分に係る重加算税の還付を認めなければ、正義公正の原則に著しく反するとまではいえない。

本税の更正処分取消と同一の訴訟なら重加算税も還付された可能性大

 前件訴訟で架空取引が疑われた事情(下記参照)にもよるが、前件訴訟で重加算税の賦課決定処分の取消を求めていれば、重加算税は難なく還付されていたと想定される。本件訴訟が無効確認という訴訟類型となったことで納税者に「行政処分の無効立証」という高いハードルが課され、附帯税の附随性がこのハードルに跳ね返されたといえよう。

>土地取引が架空のものと疑われる事情(前件訴訟の判示より)
① 本件各土地は証書作成後も所有権移転登記がない。
② 土地を取得したとして不動産取得税の申告及び納付がない。
③ 通常、売買に先行して行われるべき根抵当権の解除や金融機関への通知等がない。
④ 証書上の売主を所有者として新たな根抵当権を設定している。
⑤ 架空の借入金及び貸付金を利用した売買代金の清算を行うという処理をしている。
⑥ 取引に係る固定資産売却損の計上は、原告らの債務免除益又は受贈益に対応されたもので、相続税対策の結果生じた法人税の課税を免れるために行われたものと推認される。
⑦ 土地の使用状況から、土地を売却する必要性が認められず、売主が固定資産税を納付し続けたり、所有者として土地賃貸借契約を締結している。
⑧ 取引の各証書の特約事項に、税金対策を念頭にした特殊な記載がある。

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