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コラム2019年10月14日 SCOPE 会社法改正に伴う税制の見直しの方向(2019年10月14日号・№807)

会社法改正案が臨時国会に提出へ
会社法改正に伴う税制の見直しの方向


 今年2月に取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱」を踏まえ、政府は「会社法の一部を改正する法律案」及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を今臨時国会に提出する方針だ。今回の会社法改正では、株主総会資料の電子提供制度を導入するほか、社外取締役を上場会社等に対して1人以上義務付けることなどが主な内容となっているが、株式交付制度の創設や、取締役報酬として発行する株式無償発行など、税制上の手当てが必要な見直し項目も見受けられる。経済産業省などでは、会社法改正法案が国会で成立することを見越して令和2年度税制改正要望において会社法改正に伴う所要の措置を求めている。本稿では、会社法改正に伴い論点となる税制上の見直しの方向性についてお伝えする。

株式交付、譲渡損益課税の繰り延べ導入を議論

 今回の会社法改正では、株式交付制度が創設される運びだ。現行制度では、対象会社を完全子会社にすることを想定していない場合には株式交換制度を利用できない。また、買収会社は、対象会社の株式を現物出資財産として募集をする必要があるが、検査役調査を要したり、財産価額填補責任を負う可能性があったりすることが制度利用の障害になっているとの指摘がある。このため、株式交換制度と同様、会社法199条1項の募集によらず、株式会社が他の株式会社を子会社とするため、自社の株式を他の株式会社の株主に交付することができる制度を創設する。これが株式交付制度である。すでに産業競争力強化法では会社法上の特例としてTOBや相対取引による買収が可能になっている。会社法でも自社株による対価M&Aが可能になる。
 産業競争力強化法上の特別事業再編計画の認定を受けた株式対価M&Aについては、買収される対象会社の株式の譲渡損益課税の繰延べが講じられている。会社法上も株式交付制度が可能となることに伴い、同様の税制措置が講じられる方向だ(本誌802号8頁、804号10頁参照)。

取締役への株式の無償発行でも損金算入へ

 また、パフォーマンスシェア(PS)やリストリクティッドストック(RS)など、株式報酬等に関する株主総会の決議事項が見直される。
 現状、株式会社が株式報酬を取締役に付与しようとする場合には、会社法上、募集株式を無償で発行することができないと解されているため、会社は、取締役に対して一旦金銭又は金銭債権を報酬として付与するとともに、当該取締役を引受人として募集株式を発行し、引受人である取締役が報酬として付与された金銭を払込み又は金銭債権を現物出資として給付する形をとる必要があるとされている。
 しかし、今回の会社法改正では、上場会社は定款又は株主総会の決議により無償で株式を報酬として取締役に交付できるようになる。現行の税務上の取扱いでは、直接株式で報酬を支払う仕組みがないため、このようなケースであっても損金算入できるよう税制上の整備をすることが想定されている。

法務省、取締役報酬として株式を無償発行する場合の会計処理をASBJに依頼へ
 法務省は、取締役の報酬等として株式を無償発行する場合の会計処理に関して、企業会計基準委員会(ASBJ)に検討するよう依頼することとしている(本誌780号40頁参照)。
 会社法制部会での検討段階では、取締役の報酬等として株式の無償発行がされた場合の資本金及び資本準備金の合計額については株主となる取締役が提供した役務の対価の額(報酬費用として計上する額)とすることで特に異論はなかった模様。また、株式報酬の会社処理としては、ストック・オプション会計基準を参考に、取締役から提供を受ける役務をその提供に応じて費用計上するとともに、費用に対応する額を資本金又は資本準備金として計上。各会計期間における費用計上額は、交付された株式の公正な評価額のうち、合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額として算定することになるのではないかとの方向性を示している。
 しかし、法務省は、最終的には企業会計基準委員会での検討が必要との認識を持っており、改正後の会社法の施行日までに会計基準等が開発されることになりそうだ。

D&O保険の会社法要件、通達等で明確化
 役員等賠償責任保険(D&O保険)契約に関する規定が整備される。役員等賠償責任保険契約では、株主代表訴訟担保特約部分の保険料についても、会社が負担することができることとされ、役員が個人で保険料を負担することなく保険契約を締結することができるようになっていることを踏まえた対応。今回の見直しでは、会社法上、役員等賠償責任保険契約の内容を決定するには株主総会決議、取締役会設置会社の場合は取締役会決議によらなければならないとする。
 なお、税務上は、①取締役会の承認、②社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会(報酬委員会等)の同意又は社外取締役全員の同意の取得の2つの条件を満たした場合には、役員への給与課税を不要とする取扱いが認められている。これは経済産業省からの照会を踏まえ、国税庁が「新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて(情報)」として公表したもの。法令マターではないが、会社法が改正されることになれば、会社法上の要件が通達等に明記されることになりそうだ。
支店の所在地の登記が廃止に
 そのほか、会社の支店の所在地における登記が廃止される予定だ。現在はインターネットにより、登記情報提供サービスで会社法人等番号(商業登記法7条)を利用して会社の本店を探索することも可能になっていることを踏まえ廃止されるもの。当然のことながら、支店の登記における登録免許税の規定は削除されることになろう。

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