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解説記事2019年11月04日 第2特集 収益認識における注記事項が明らかに(2019年11月4日号・№810)

第二特集
ASBJ、改正収益認識会計基準案を公表
収益認識における注記事項が明らかに


 企業会計基準委員会(ASBJ)は10月30日、「収益認識に関する会計基準(案)」を公表した(1月10日まで意見募集)。収益認識に関する表示及び注記事項を定めるもの。公開草案では、表示に関しては売上高、売上収益、営業収益等として表示することを提案。注記事項については、重要な会計方針として「企業の主要な事業における主な履行義務の内容」「企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)」を記載することを求めている。また、収益に関する注記として、①当期の収益の分解情報、②収益を理解するための基礎となる情報、③当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報――を注記することとしている。適用は、2021年4月1日以後開始する事業年度等の期首からとし、早期適用も認めている(詳細は今号40頁参照)。

売上高や売上収益、営業収益等で表示

 収益認識の表示及び注記事項に関しては、企業会計基準委員会が2018年に公表した収益認識会計基準の強制適用時(2021年4月1日以後開始する事業年度から)までに検討することとされていたものだ。
 まず、収益認識の表示に関しては、(1)収益の表示科目、(2)収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)の区分表示の要否、(3)契約資産と債権の区分表示の要否について検討することとされていた。
 具体的に、(1)の収益の表示科目については、企業の実態に応じて、例えば、売上高、売上収益、営業収益等として表示することを提案している(本誌800号参照)。「売上高」の表示についてもこれまでどおり使用することができる。また、(2)の顧客との契約に重要な金融要素が含まれる場合、顧客との契約から生じる収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)は、損益計算書において区分して表示することとしている。
 (3)の契約資産と顧客との契約から生じた債権の区分表示又は注記の要否に関しては、2018年会計基準では、契約資産と債権を貸借対照表において区分表示せず、かつ、それぞれの残高を注記しないことができることとしていたが、公開草案では、当該記載を削除するとしている。その結果、契約資産と顧客との契約から生じた債権については貸借対照表に区分して表示するか、貸借対照表に区分して表示しない場合は、それぞれの残高を注記することに変更している。
 また、2018年会計基準では、契約資産、契約負債又は顧客との契約から生じた債権を企業の実態に応じて、適切な科目をもって貸借対照表に表示するとしているが、公開草案では、契約資産の例示として「契約資産」「工事未収入金」等、契約負債の例示として「契約負債」「前受金」等、契約負債又は顧客との契約から生じた債権の例示として「売掛金」「営業債権」等が挙げられている。

「履行義務の内容」や「収益を認識する通常の時点」は重要な会計方針

 注記事項に関しては、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の開示目的及び重要性の定めを設けることとし、開示目的を達成するために必要な注記事項の開示の要否を、企業の実態にあわせて企業自身で判断するものとしている。
 具体的に重要な会計方針の注記では、顧客との契約から生じる収益に関して、(1)企業の主要な事業における主な履行義務の内容、(2)企業が当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)を記載することとしている。
 ただし、これら以外にも、後述する「収益を理解するための基礎となる情報」として記載することとした内容のうち、重要な会計方針に含まれると判断した内容については、重要な会計方針として注記することとしている。

注記のチェックリストにあらず

 収益に関する注記を行うにあたっては、「顧客との契約から生じる収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を企業が注記すること」との開示目的を達成するために、(1)当期の収益の分解情報、(2)収益を理解するための基礎となる情報、(3)当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報――を記載することを求めている。これらの項目は、IFRS第15号を参考として具体的な注記事項を定めているが、IFRS第15号の注記事項の取扱いと同じく、最低限の注記のチェックリストとして用いられることを意図したものではないとしており、必要な注記を検討するにあたっては、開示目的に照らして重要性を考慮するべきであり、重要性のない情報の開示は要しない旨を明確化している。
セグメントの売上高との関係を
 まず、(1)の当期の収益の分解情報では、当期に認識した顧客との契約から生じる収益について、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づく区分に分解した情報の注記を求めることとしている。また、企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用している場合、収益の分解情報と、企業会計基準第17号に従って、各報告セグメントについて開示する売上高等との間の関係を財務諸表利用者が理解できるようにするための十分な情報を注記することとしている。
契約及び履行義務に関する情報などを注記
 (2)では、顧客との契約が財務諸表に表示されている項目及び他の注記事項とどのように関連しているのかを示す基礎となる情報として、①契約及び履行義務に関する情報、②取引価格の算定に関する情報、③履行義務への配分額の算定に関する情報、④履行義務の充足時点に関する情報、⑤本会計基準改正の適用における重要な判断――の注記を求めている。
財務諸表作成者に一定の配慮
 (3)の当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報としては、①契約資産及び契約負債の残高等、②残存履行義務に配分した取引価格を注記することとしている。ただし、これらの注記については、財務諸表作成者から事務負担に対する懸念が寄せられたことから一定の事務負担の軽減を図っている。①契約資産及び契約負債の残高等に関しては、当期中の契約資産及び契約負債の残高の重要な変動がある場合にはその内容について記載することとした。また、IFRS第15号では、当該記載には定性的情報と定量的情報を含めなければならないとされているが、公開草案では、当該記載には必ずしも定量的情報を含める必要はないものとしている。②の残存履行義務に配分した取引価格の注記については、例えば、IFRS第15号と同様、当初の予想期間が1年以内の契約の一部である履行義務については、残存履行義務に配分した取引の注記に含めないことを容認している。
個別の会計基準ではなく開示目的で注記
 従来の実務では、注記事項は個別の会計基準で定める個々の注記事項の区分に従って記載することが多いが、収益認識に関する注記をするにあたっては、注記事項の構成に従って注記を記載する必要はなく、開示目的に照らして、企業の収益及びキャッシュ・フローを理解するために適切であると考えられる方法で注記を記載することとしている。
 また、収益認識に関する注記として記載することとした内容について、重要な会計方針として注記している場合には、収益認識に関する注記として記載することを要しないこととしている。
個別財務諸表、分解情報等は不要に
 そのほか、連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表においては、収益認識に関する注記の定めにかかわらず、前述した「当期の収益の分解情報」及び「当期及び翌期以降の収益の金額を理解するための情報」を注記することを要しないこととされた(本誌808号参照)。「収益を理解するための基礎となる情報」の注記を記載するにあたっては、連結財務諸表における記載を参照することができることとしている。
 また、四半期連結財務諸表及び四半期個別財務諸表においては、当期に認識した顧客との契約から生じる収益について、収益の分解情報の注記を要求することとしている。

工事損失引当金の注記を規定へ
 企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に関する注記事項については、収益認識会計基準が適用される時に廃止されることとなる。このため公開草案では、工事契約会計基準に定める①当期の工事損失引当金繰入額、②同一の工事契約に関する棚卸資産と工事損失引当金がともに計上されることとなる場合、棚卸資産と工事損失引当金の相殺の有無と関連する影響額――の注記について、収益認識会計基準に引き継ぐこととしている。

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