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税務ニュース2021年05月28日 遺産分割内容は税理士の業務に該当せず(2021年5月31日号・№884) 遺産分割協議の無効求める裁判で税理士法人にも損害賠償請求

  • 相続人の1人が遺産分割協議の無効を求めるとともに、これに付随して遺産分協議書を作成した税理士法人に対して損害賠償が請求された事件(令和2年12月3日)。
  • 遺産分割協議書の内容を判断することが弁護士ではない税理士法人の業務として求められているとする法的な根拠を見いだすことはできず。原告の請求を棄却。

 本件は、法定相続人である原告(被告である兄の弟)が同じく法定相続人である被告らに対し、遺産分割協議は原告の錯誤によるものであると主張し、遺産分割協議が無効であるとの確認を求めるとともに、相続税の申告を行った税理士法人(被告)に対し、遺産分割協議に当たって、原告に対する説明義務違反の不法行為が成立するとして50万円の損害賠償などを求めた裁判である。また、原告は予備的請求として税理士法人に対し1,000万円の損害賠償などを請求した。
 原告は、被告から相続税の申告につき相談を受けた税理士法人には、原告に対して遺産分割協議書への署名捺印に当たっては借用証のないもの、支払の事実につき通帳等で確認が取れていないもの及び寄与分の内容につき「相続に関する専門家」としての説明義務があると主張。また、1億円以上の資産を有する被相続人の不動産に相続人の家族が居住しているときには水道光熱費や固定資産税の負担について確認した上で、相続人が被相続人に対して金銭を交付していたとしてもこれが借入金ではなく最低限の家賃と評価され得ることの説明義務があるが、税理士法人は原告に対し、何ら説明義務を果たしておらず、このことは不法行為を構成するなどと主張した。一方、税理士法人は、当事者の相続人に対して遺産分割の事実を説明する義務を負うとする根拠は不明であるとした。
 東京地裁(岡田紀彦裁判官)は、認定した事実から遺産分割協議に係る原告の意思表示が錯誤によるものとは認められず、遺産分割協議は無効であるということはできないとした上で、税理士法人が被告(原告の兄夫婦)から提出された資料等に基づき遺産分割協議書を作成したとしても、その記載に係る債務ないし寄与分の有無や法的な評価につき判断することが弁護士ではない税理士法人の業務ないし職責として求められているとする法的な根拠を見いだすことはできないと指摘。東京地裁はそのような事柄につき税理士法人が原告に対して説明すべき義務があるとはいい難いとし、原告の税理士法人に対する不法行為に基づく損害賠償請求は理由がないとした。

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