会社法ニュース2021年06月04日 中核人材の多様性確保、ボードの責務は(2021年6月7日号・№885) CGコード上は責務に関する記述消滅も、「主導的な取組みと監督」は必須
「中核人材の多様性の確保」に関する開示を伴う新設の補充原則2-4①への取締役会の関与、具体的には「取締役会による主導的な取組みの促進と監督」の必要性の有無について企業から疑問の声が上がっている。これは、同原則がCGコードのうち「第4章 取締役会等の責務」ではなく、「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の中に規定されたためだ。
同原則の“原型”は昨年12月18日のフォローアップ会議で示された意見書(5)「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保」の中で示されており、そこでは、中核人材の多様性の確保には「取締役会」が主導的にその取組みを促進し監督するという“取締役会の責務”に明確に言及していた。このため、中核人材の多様性の確保に関する改訂原則はCGコードの「第4章 取締役会等の責務」に規定されるものとみられていた。しかし、同原則は「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」に規定されたうえ、その内容も開示に絞り込まれ、意見書(5)に明記されていた取締役会の責務に関する記述は消滅している。
しかし、改訂CGコードの前文に相当する金融庁から公表された「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」には、「取締役会が、主導的にその取組みを促進し監督することが期待される」という意見書(5)と全く同じ記述がある(2.企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保)。
また、補充原則2-4①が開示を求める「中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標」の設定には経営マターである予算が絡み、「人材育成方針」の決定や「社内環境整備」にも経営(取締役会)の関与が欠かせないのは明らかだ。要するに、改訂CGコード本体に取締役会に関する記述が入らなかったと言っても、実質的にはフォローアップ会議意見書(5)から何も変わっていないということである。補充原則2-4①をコンプライするには、取締役会が「主導的にその取組みと監督」に努めることが前提となろう。
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