税務ニュース2021年06月11日 電磁的方法では居住者証明書の原本不要(2021年6月14日号・№886) 租税条約届出書の添付書類、電磁的提供で取得し紙ベースで提出も可能
日本と租税条約を締結している国の非居住者又は外国法人(非居住者等)が支払を受ける国内源泉所得に対する課税の免除等を受けようとするときは、租税条約に関する届出書等及び添付書類をその国内源泉所得の源泉徴収義務者を経由して税務署長に提出することが求められるが、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以後の提出について、一定の要件を満たす場合には、書面による提出に代えて電磁的方法による提供ができることとなった(本誌861号)。
この改正については、5月19日に「租税条約に関する届出書等の電磁的提供に関するFAQ」が国税庁HPで公表されたところだが、実務家らからは具体的な運用に関してさらなる疑問の声が寄せられている。
FAQによれば、非居住者等は、電子メールを利用する方法や、CD、DVD等の磁気媒体等に記録して交付する方法により源泉徴収義務者等に電磁的提供をすることができ(FAQ問7)、源泉徴収義務者は税務署長に対し、イメージデータ(PDF形式)などの電磁的記録をe-Taxを利用して送信することができる。源泉徴収義務者等は、非居住者等から書面により提出された条約届出書等をスキャナにより読み取る方法等によりPDFを作成することも可能だ(問10)。
逆に、非居住者等から源泉徴収義務者等への提供は電磁的方法で、源泉徴収義務者等から税務署長への提出は電磁的提供ではなく従来の紙ベースによる提出とすることも、実務上は可能ということになる。
これに対し、実務家らの間では、このケースでも紙ベースでの提出である以上、添付書類である居住者証明書については原本の提出が必要なのではないかという声が一部聞かれる。しかし、本誌が当局に取材したところ、当該ケースにおいても電子メールで受領したPDFを印刷して提出できることが確認された。
なお、居住者証明書の取得については、コロナ禍により取得が困難である状況に鑑み、当面の対応として、源泉徴収義務者等が非居住者等の居住者証明書の写し(おおむね1年以内に発行されたもの)を提出する方法などが認められているが、今回「恒久的措置」により、居住者証明書の原本添付という事務負担が軽減されたことは実務家にとって朗報といえるだろう。税務手続きのオンライン化は、非居住者等の海外とのやり取りの部分において、より大きな省力化をもたらすことになると思われる。
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