税務ニュース2021年07月16日 業務関連費を巡り税理士に損害賠償請求(2021年7月19日号・№891) 東京地裁、税理士による業務関連性の適切な指導と説明があったと判断
本件は、原告である医師が被告の税理士との間で税務申告等を業務内容とする委任契約を締結したが、税理士業務に過誤があったため、税務調査で過少申告加算税及び重加算税を賦課されるなどして損害を被ったとして、委任契約の債務不履行に基づく損害賠償として約1,300万円の請求を行ったものである。税務調査では、約507万円にのぼる加算税の賦課決定がなされており、重加算税が賦課された理由として、原告が家事上の経費と認められる高級婦人服等の購入に係る支払いにつき、支払先である百貨店の協力を得て10万円前後の小口の支払いとなるよう領収書を複数枚に分割し、一部の領収書については発行日を改ざんするなどして、あたかも複数の品物を別々に購入したかのように装い、必要経費に該当するか否かを疑われにくくするという仮装又は隠蔽をしたことが挙げられていた。
原告は、被告は業務関連性のない支出を必要経費として計上しないよう指導することなく、また、原告が提出した領収書等に記載されている支出の業務関連性の有無の判断を適切に行わず、漫然と業務関連性のない支出を必要経費に計上したと主張した。
裁判所は、①原告は、毎年、税務申告期限の直前になって大量の領収書等を被告に提出していたこと、②被告は、毎年、業務関連性の認められない支出を必要経費として計上しない申告書等を作成したが、原告はその税額を承諾せず、前年と同様の税額にするように述べ、また提出した領収書はいずれも必要経費であると述べたこと、③時間のなかった被告は、毎年、税務署から業務関連性の説明が求められたら、原告において説明するよう指示していたことなどからすると原告の主張する債務不履行があったということはできないとした。
また、原告は、被告は領収書分割行為につき認識していたにもかかわらず、是正するよう適切に指導しなかったと主張したが、裁判所は、領収書は1回の支出分を複数に分割して作成されているだけでなく、発行日まで改ざんされていて、あたかも複数の品物を別々に購入したように装われていたことが認められると指摘。その上で、被告は、領収書が改ざんされて作成されたものと見抜くことは困難であるとした。
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