税務ニュース2021年11月12日 賃上税制の税賠件数、消費税届出の次に(2021年11月15日号・№906) 令和4年改正で懸念される制度の複雑化、企業は賞与の扱い等に関心
11月8日、内閣官房は「新しい資本主義実現会議(第2回)」を開催し、岸田内閣が打ち出す経済対策について議論したが、当日の資料「緊急提言(案)~未来を切り拓く「新しい資本主義」とその起動に向けて~」には令和4年度税制改正の目玉となる賃上げ税制も盛り込まれている(本誌904号10頁参照)。資料の中で示された賃上げ税制の三つの要件は下記の通りとなっている。
① 新規雇用者ではなく、継続雇用者の一人当たり給与の増加を要件とすること
② 非正規雇用を含めて全雇用者の給与総額の増加を対象とすること
③ 賃上げに積極的な企業に対する税額控除の率を引き上げること
本誌取材によると、この3つの要件は、①②の2つがベースとなり、③の「賃上げに積極的」とは、①における「継続雇用者の一人当たり給与」の増加率が非常に高いことを指している模様。すなわち、「継続雇用者の一人当たり給与」の増加率が非常に高い場合には、税額控除率が上乗せされることになる。
ただし、「賃上げに積極的」の具体的な定義や、「継続雇用者の一人当たり給与」の増加率をどのように確認するのかなど、制度の詳細はまだ固まっていない。企業からは「一人当たり給与」が賞与込みなのかどうかにも高い関心が集まっている。賞与であれば、業績に応じた調整が容易になるからだ。
賃上げ税制(所得拡大促進税制)の適用失念による税理士賠償事件の発生件数は、消費税届出書の提出失念に次ぐ2位となっているが、要件の複雑化は適用失念にとどまらない新たなミスを誘発しかねない。令和4年度税制改正では、過去最高益を更新するなどにより既に賃上げ実施済のところが少なくない大企業向け賃上げ税制(42頁参照)よりも、賃金の減少傾向が続く中小企業向けの同税制に主眼が置かれているだけに、税理士にとってはシンプルで使いやすい制度設計が望まれるところだ。
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