会計ニュース2022年01月07日 電子記録移転権利の会計の論点整理判明(2022年1月10日号・№913) ASBJ、発生及び消滅の認識の時期は「約定日」
企業会計基準委員会は基準諮問会議の提言を受け、電子記録移転有価証券表示権利等の実務対応報告を開発する方向で検討していたが、現時点では電子記録移転有価証券表示権利等の取引が拡大していないことから論点整理を公表することとしている。
まず、電子記録移転有価証券表示権利等の保有者における発生及び消滅の認識の時期については、金融商品会計基準の原則とは異なる取扱いを定める方向となっている。具体的には、「約定日」に認識することを提案。電子記録移転有価証券表示権利等の取引は、市場で売買される有価証券と同様に、証券会社等が扱うことが想定されていることから、「約定日」は多くの場合、実務的に把握可能と考えられ、取引関係者にとって受け入れやすい認識規準であるとしている。なお、「約定日」が必ずしも明確でない場合には、「約定日」に相当するタイミングと考えられる「売買の合意が成立した時点」において、電子記録移転有価証券表示権利等の発生及び消滅を認識することが考えられるとしている。
また、金融商品会計基準等においては、金融商品取引法に定義する有価証券に該当しても、一部の信託受益権は有価証券として取り扱わないこととされている(金融商品実務指針8項及び58項)。このため、金融商品会計基準等上の有価証券として取り扱われない一部の信託受益権について、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する場合の保有の会計処理をどのように定めるかが論点になっている。この点、電子記録移転有価証券表示権利等の権利の内容は、金融商品取引法上の既存のみなし有価証券と同一であると考えられることから、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する信託受益権を保有する場合の会計処理についても、金融商品実務指針及び実務対応報告第23号「信託の会計処理に関する実務上の取扱い」によることが適当としている。
電子記録移転有価証券表示権利等を発行又は保有する場合の開示の定めは、現行の有価証券及び信託受益権の開示に関する定めに従うとしている。発生及び消滅の認識に関する会計方針については、重要性の乏しいものを除き、重要な会計方針として注記がなされることになるため、特に追加の定めを置く必要はないとしている。
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