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税務ニュース2022年06月10日 銀行等の渉外記録への反面調査一般化も(2022年6月13日号・№934) 「内部限りの資料」といった理由では閲覧を拒否することは困難

  • 不動産の相続税評価を巡る総則6項適用事案の上告棄却及び上告不受理をきっかけに、金融機関の内部書面を反面調査で入手するという調査手法が一般化する可能性も。

 本誌933号でお伝えした通り、最高裁は令和4年4月19日、相続開始の約2か月前に一棟マンションを物件価格の約3/4に相当する15億円の借入れにより購入したところ、国税当局が総則6項を適用、鑑定評価額に基づき相続税の更正処分等を行ったことから訴訟に発展していた事案について納税者の上告棄却及び上告不受理を決定したが、事実審である原審での勝敗を大きく左右することとなったのが、国が提出した本件節税スキームを提案した銀行の顧客訪問録である「乙41号証」だ。
 銀行側も当然リスクを認識していたものと思われ、本誌取材によると、国税当局から渉外履歴の帳票出力及び出力帳票の交付を再三求められたにもかかわらず、「閲覧には応じるが交付はできない」との回答に終始したことが確認されている。銀行側はその理由として、①パソコンに保存されている渉外履歴は銀行内部限りの資料であること、②渉外履歴の入力及び記載方法は銀行として統一性がないことから、その記載内容は渉外担当者の主観によるところが大きいこと、③パソコンに保存されている渉外履歴は行内扱いとして、税務調査での閲覧、交付の対象となっていないこと、を挙げた。
 これを受け、調査官は帳票を出力・交付させることを断念、交渉履歴の内容を“手書き”で書き写すことによって作成されたのが乙41号証だ(ちなみに、調査官は、「書き写した内容がパソコン上に入力されている交渉履歴と相違ない」との回答を得るための質問応答記録書を作成の上、銀行側に署名、押印を求めたが、銀行は署名、押印ともに拒否)。
 ボリュームのある渉外履歴を手書きで書き写すということ自体に調査官の執念を感じるところだが、こうして作成された乙41号証が本訴で国側が勝訴する決定的な要因となったことは、今後の税務調査においても大きな意味を持つことになろう。本件は税務調査の成功事例として国税内部で共有されることが予想される。そして、本件と同様に、金融機関の内部文書を反面調査で入手するという調査手法が積極的に取り入れられる可能性がある。
 本訴の通り、「銀行内部限りの資料」といった理由では閲覧まで拒否することは難しいだけに、銀行側の業務フローにも影響を与える可能性がありそうだ。

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