会計ニュース2022年07月29日 ステーブルコインの会計処理検討を提言(2022年8月1日号・№941) 基準諮問会議、金融商品会計をベースに実務対応報告の開発ニーズあり
最近では、法定通貨と価値を連動させたステーブルコインを用いた取引が海外で増加しており、将来的に幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性がある。また、国際的に利用者保護やマネロン上の課題が指摘されていること等を踏まえ、今年の通常国会では、「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、令和4年6月10日に公布されている(施行は公布から1年以内)。改正資金決済法では、広く送金・決済手段として用いられるステーブルコインの取引を行う事業者について必要な規律を導入することとされている。ステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの及びこれに準ずる性質を有するものについては、「電子決済手段」と定義し、これを取り扱う電子決済手段等取引業者について登録制を導入し、必要な規制の整備が行われる。
金融庁では、電子決済手段については価格の安定した電子的な決裁手段である点で、預金や電子マネーと類似するものの、新たに法律上定義される財産的価値であり、今後、送金・決済手段として利用が広がっていくことが想定されていることから、改正資金決済法の施行までに会計上の取扱いを整備することが必要であるとしている。
この点、企業会計基準委員会(ASBJ)の事務局では、国際的にステーブルコインを用いた取引が増加傾向にあり、日本においても、改正資金決済法の施行後において、取引が広がった場合、広範な影響が生じる可能性があるなどとし、実務対応報告の開発のニーズがあると分析。また、会計処理に関しては、金融商品会計基準をベースに検討することができるとしている。
財務会計基準機構(FASF)の基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)では事務局の分析を踏まえ、企業会計基準委員会に新規テーマとして「資金決済法上の『電子決済手段』の発行・保有等に係る会計上の取扱い」を検討するよう、提言を行う方針を決めている。
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