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会社法ニュース2022年09月09日 ダイレクトリスティング普及促進へ(2022年9月12日号・№946) 有価証券届出書の提出義務化やグロース市場の公募要件のあり方検討

  • 東証が「ダイレクトリスティング」の実務上の留意点を整理する方針。有価証券届出書の提出義務化も。
  • グロース市場におけるダイレクトリスティングのあり方も検討。現状、上場時の「500単位以上の公募の実施」との形式要件がネック。

 証券取引所に上場する手段としてはIPO(新規株式上場)が真っ先に思い浮かぶが、未上場企業がIPOせずに証券取引所に上場する方法が「ダイレクトリスティング(直接上場)」だ。米国では、有力ベンチャー企業がダイレクトリスティングを利用してニューヨーク証券取引所等に上場している。日本でもダイレクトリスティングは可能だが、東証で実施した企業は杏林製薬(1999年4月上場)のみにとどまっている。
 米国ではベンチャー企業に対する資金供給が潤沢なため、上場前であっても資金調達のニーズはないが株主に取引機会を与えたいという企業がダイレクトリスティングを利用して上場することが多い。日本は状況が異なるとはいえ、資金調達を伴わないことから、既存株主にとっては新株発行による希薄化を避けられるといった利点もあるダイレクトリスティングが日本でも広がれば、ベンチャー企業やCVCの出口戦略の選択肢がIPOやM&A以外にも広がることになる。
 こうした中、東証は8月24日に公表した「IPO等に関する見直しの方針について」において、ダイレクトリスティングを「当取引所で実施する場合の実務上の留意点に関して、IPOとの相違点を踏まえつつ整理を行う」との方針を示している。論点は大きく分けて2つある。1つは投資家保護である。現状、ダイレクトリスティングの際には有価証券届出書の提出義務が課されていない。そもそも有価証券届出書の提出義務は1億円以上の募集・売出しを前提としているため、募集・売出しを実施しないダイレクトリスティングでは当該義務を課しようがないからだ。有価証券届出書に虚偽記載があれば課徴金の対象になり、罰則も適用されるが、有価証券届出書を提出する必要がない企業にはそのようなエンフォースメントがない。また、主幹事証券会社による引受審査も不要となる。
 もう1つの論点は、東証グロース市場の上場時の形式要件だ。グロース市場では上場時の形式要件として「500単位以上の公募の実施」が求められるためダイレクトリスティングを使えない。米国のように知名度の高い大型のスタートアップ企業がダイレクトリスティングを利用して上場するという状況を日本でも実現するためには、この形式要件についても検討が必須となろう。

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