税務ニュース2022年09月16日 インボイス経過措置適用時の雑損計算は(2022年9月19日号・№947) 売上側の消費税に積上げ計算適用なら請求書単位での計算必須
インボイス制度開始後、税抜経理を行う法人が免税事業者からの仕入に経過措置を適用する場合、税務上仮払消費税とすべき金額は、経過措置適用により仕入税額控除の対象となる部分のみとされ、原則論としては、例えば費用が110、消費税率10%、経過措置割合80%だとすれば、8のみを仮払消費税とし、102が仕入の取引対価となる。会計ソフトが経過措置に対応していない等の理由から、期中に免税事業者からの仕入れにも通常の10%(又は軽減税率8%)で仮払消費税を計上する場合、経過措置対象外となる部分を決算時に雑損失等の科目で帳簿に計上し、その金額が適正でない場合は申告調整が必要だ。この雑損失の計算について、「個々の取引ごとに計上するのは手間なので、経過措置対象取引を期末に集計し、この合計金額を割り戻すことにより経過措置の対象外となる雑損失を一括計算すれば問題ない」と考えている実務家が少なくない。しかし、本誌が課税当局に取材したところ、「消費税申告において仕入税額控除額を割戻し計算で算出している場合は雑損失の計算も合計額をベースに割戻し計算を行うということで差し支えないが、積上げ計算によっている場合には請求書単位での計算が必要となり、合計額をベースとした割戻し計算は認められない」とのことだ。経過措置対象取引について合計金額をベースに雑損失を計算する方法は、割戻し計算を適用する場合と同様のアプローチだが、インボイス制度Q&A問101では、経過措置対象取引も、通常の仕入税額控除に採用する計算方法と同一の方法で仕入税額控除の計算が必要と解説されている。消費税側におけるこの取扱いの結果、法人税の課税所得計算上、仮払消費税のうち経過措置対象外として雑損失等で損金に算入すべき金額も、課税当局の回答通りの方法での計算が必要ということだ。
インボイス制度開始後、売上側の消費税について積上げ計算を適用する場合、仕入側も積上げ計算が強制される(消費税法施行令46条)。端数処理の問題ではあるが、少額取引を大量に行う小売業のように、その方が課税上有利であるため売上側の消費税に積上げ計算を適用する場合は、注意が必要となる。
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