税務ニュース2022年09月30日 エクスプローラーは検索要件充足不可も(2022年10月3日号・№948) 電帳法対応 記録項目単独なら検索可能も、課税当局は正確性に懐疑的
周知の通り、電子帳簿保存法(電帳法)7条に規定する電子取引の保存を怠った場合には青色申告取消しの対象となり得るため、あらゆる企業で対応が必須となる。同7条では「検索機能の確保」、すなわち①日付・金額・取引先(以下「記録項目」)を検索条件として設定できること、②範囲検索、③And検索の3つの機能を備えることが原則とされる。ただし、「ダウンロードの求めに応じる場合」には、範囲検索とAnd検索機能は不要とされる(電帳法施行規則4条①)。この点、「記録項目の単独検索であれば、PCに標準的に備わっているファイルのエクスプローラー機能で足りるのではないか」と考える実務家は少なくない。確かに、同機能を使用してフォルダから検索したい記録項目を含むファイルを検索・表示できるのであれば、電帳法通達4−9に規定されている検索機能の要件に合致しているようにも見える。そして、ダウンロードの求めに応じるとの前提の下、エクスプローラー機能で日付・金額・取引先の各項目を単独で検索できるのであれば、同通達4−12にいう「システム上検索機能を有している場合」に該当するとともに、同通達上、それがない場合に必要とされる「ファイル名に記録項目を入力」や、エクセル等で「索引簿等を別途作成」するという膨大な手間がかかる作業は不要とも考えられる。
しかし、本誌が課税当局に取材したところ、「ダウンロードの求めに応じる場合には記録項目である日付・金額・取引先が検索できればよいが、エクスプローラー機能でこれらの項目を正確に検索・表示ができないのであれば、検索機能要件を満たしていないことになる」と、エクスプローラー機能をもって電帳法上の検索要件を満たすことに懐疑的なコメントが聞かれた。その背景には、エクスプローラー機能では、金額として検索したい数値(例えば10や100)を検索したとしても、ページ数など金額以外の要素である数値まで含めて表示されてしまうため、それでは検索項目“のみ”を正確に検索できるとは言い難いという考え方があるとみられる。
結論として、電帳法に対応したアプリケーションを利用するか、手間を覚悟でファイル名の変更やエクセル索引簿を作成するのが安全と言えそうだ。
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