税務ニュース2022年11月04日 国税庁、高額・連年無申告等に問題意識(2022年11月7日号・№953) 政府税調、B勘屋など仮装隠蔽行為に加担した第三者に罰則を求める声
政府税制調査会に設置された「納税環境整備に関する専門家会合」が10月28日に開催されたが、議題の1つとなったのが現行制度では対応しきれない税務調査で見受けられる悪質な事例だ。国税庁が実際の事例に基づき問題点を説明した。
例えば、高額な所得を得ていながら無申告としていた事例や、長年にわたり無申告となっていた事例だ。高額の利益を得ていたとしても、あるいは売上がありながら長年の間無申告であったとしても、申告時における仮装隠蔽行為や意図的に申告をしないことを外部からもうかがい得る特段の行動がなければ重加算税の対象とはならず、通常の無申告加算税の対象となるだけである。国税庁は、積極的な仮装隠蔽行為がなかったとしても、他の納税者との公平性の観点から問題視している。専門家会合の議論でも、無申告加算税に税率を加重するなどの措置が必要との意見が相次いでいる。
また、確定申告後に仮装隠蔽が行われた事例についても問題提起が行われている。重加算税の賦課要件は、「その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」とされており、更正の請求は「納税申告書」に該当しない。このため、架空の領収書により更正の請求をしたとしても重加算税の対象にはならず、通常の過少申告加算税が対象となるのみである。この点、専門家会合でも、重加算税の対象とすべきとの意見が出されている。また、この事例は、更正の請求に架空の領収書等が添付されていたものだが、領収書等は模造されたものであったため、いわゆるB勘屋(偽の領収書等を販売する事業者)など、仮装隠蔽に加担する第三者に対する新たな罰則等を求める意見が相次いでいる。
そのほか、調査拒否や、正当な理由なく調査時に資料の提示・提出を拒否又は遅延するような事例に対しても大きな問題意識を国税庁では持っている。調査拒否では、反面調査を行うことになるが、多大な事務量を投じても取引の全容を解明することは難しく、仮装隠蔽行為の有無も確認できないことが多いという。これらの事例については、令和5年度税制改正以降で何らかの措置が講じられることになりそうだ。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.