会社法ニュース2022年11月18日 取締役会等は「具体的な」検討内容開示(2022年11月21日号・№955) 規程丸写しの横行踏まえ、DWG報告の「主な検討事項」から変更

  • 11月7日に公表の改正開示府令案、取締役会や各種委員会等の活動状況に関する部分で、DWG報告よりも厳しい記述求める。具体的には、「主な検討事項」から「具体的な検討内容」に開示内容を変更。
  • ただし、「具体的な」と言っても、機密事項の開示までは不要。開示の対象範囲拡大も意図されていない模様。

 11月7日に公表された改正開示府令案では、サステナビリティ関連の開示内容が注目される一方、コーポレートガバナンスに関する開示における取締役会等の活動状況についての記載事項を巡り、多くの企業から疑問が寄せられている。改正開示府令案は、金融庁のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)が6月に公表した報告書をベースにしているが、取締役会等の活動状況の開示について、DWG報告では「主な検討事項」とされていた部分が、改正開示府令案では「具体的な検討内容」に変更され、より詳細な開示が求められているからだ(監査役及び監査役会等の活動状況についても同様)。
 本誌取材によると、この改正の背景には、現状、各会議体等の活動状況として、各会議体等の規程をそのまま引用したような開示が横行しているということがある。例えば、取締役会の活動状況であれば、「取締役会規程の決議事項について決議した」として、取締役会規程の決議事項がそのまま掲載されているケースもある。このような開示は投資家にとっては全く無意味なものと言わざるを得ず、金融庁も問題視していたようだ。
 そこで、改正開示府令案では、DWG報告の「主な検討事項」より一段レベルの高い「具体的な検討内容」の開示が求められることになったわけだが、「具体的な」とはどこまでの内容が想定されているのか、その射程について多くの企業から疑問の声が挙がっている。
 結論から言えば、「具体的な」と言っても、企業の機密事項の開示まで求められているわけではない。取締役会における投資に関する決議を例にとれば、「〇〇国における投資案件について決議した」といった程度の記述であればよく、例えば投資金額など、競合他社に知られると支障があるような情報までの開示は必要ない。また、この見直しにより、開示の対象範囲を広げることも意図されていないようだ。すなわち、DWG報告に明記された「主な検討事項」について、従来よりも「具体的」に記載すれば足りることになる。

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