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解説記事2022年12月12日 解説 電子提供制度の利用開始に向けた株主総会招集通知等の経団連ひな型の改訂(2022年12月12日号・№958)

解説
電子提供制度の利用開始に向けた株主総会招集通知等の経団連ひな型の改訂
 一般社団法人 日本経済団体連合会 経済基盤本部 髙橋友樹


 2019年12月の会社法改正に伴い、既存の株式会社で2023年3月以降に開催される株主総会において株主総会資料の電子提供制度が始まることから、経団連は11月1日に「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(以下「ひな型」という。)の一部を改訂した。本稿では改訂のポイントを解説する。改訂ひな型の全体および新旧対照表は、経団連ウェブサイトにて公開している(https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/094.html)。

1.改訂ひな型の想定企業と適用時期

 本ひな型は、株主総会参考書類等につき電子提供措置(会社法第325条の2)をとる会社(以下「電子提供措置実施会社」という。)、かつ、会計参与を設置していない会社を念頭において作成している。
 適用時期は、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日(2022年9月1日)から6ヶ月を超える日である2023年3月1日以後を開催日とする株主総会からである(「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号)第10条第3項)(脚注1)。

2.招集通知

(1)基本的なルール
 電子提供措置実施会社においては、招集通知に、(イ)株主総会の日時、(ロ)株主総会の場所、(ハ)株主総会の目的事項、(ニ)議決権行使書面を利用することができる場合にはその旨、(ホ)電子投票を利用することができる場合にはその旨、(ヘ)電子提供措置をとっている場合にはその旨と電子提供措置に係るURLなど閲覧・記録に必要な事項、及び(ト)金融庁の開示用電子情報処理組織(以下「EDINET」という。)による例外(後述(3))を用いている場合にはその旨とその閲覧に必要な事項を記載しなければならない(会社法第325条の4第2項、第298条第1項各号、会社法施行規則第95条の3)。
 なお、場所の定めのない株主総会(いわゆるバーチャルオンリー株主総会)を実施する場合については、「産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令」(令和3年法務省・経済産業省令第1号)第4条に従った記載が必要となる(脚注2)。また、いわゆるハイブリッド型バーチャル株主総会を実施する場合における招集通知の記載事項については、経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(2020年2月26日)を参照されたい。
(2)東証上場会社情報サービスの利用
 電子提供措置実施会社は、電子提供措置をとる媒体である自社のウェブサイトへのアクセスに障害等が発生する可能性を考慮し、電子提供措置をとる場合、自社のウェブサイトに加え、株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)の投資者向け公衆縦覧用サイトである東証上場会社情報サービスを補助的に利用することが可能である(脚注3)。この場合、たとえ自社のウェブサイトへのアクセスに障害等が発生したとしても、株主が東証の投資者向け公衆縦覧用サイトにおいて電子提供措置事項の提供を受けることができる限りは、電子提供措置が中断したものとは評価されない。
 東証の投資者向け公衆縦覧用サイトを利用する場合、電子提供措置に係るURLなど閲覧・記録に必要な事項(前述(1)(ヘ))として、電子提供措置をとっている自社のウェブサイトの該当ページのURLに加え、東証の投資者向け公衆縦覧用サイトのトップページ(検索ページ)のアドレス(脚注4)を記載することとなる。
 ただし、会社法上、株主が電子提供措置をとっているウェブページに到達するために必要な情報を招集通知に記載することが必要とされている(会社法第325条の4第2項第3号、会社法施行規則第95条の3第1項第1号)。その方法としては、電子提供措置をとっているウェブページのURLを記載する方法に限られず、例えば、会社のウェブサイトのトップページ等のURLを記載し、当該トップページから目的のウェブページに到達するための方法を併記することなどもできる(脚注5)。
(3)EDINETによる例外
 金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社(いわゆる有報提出会社)が、電子提供措置開始日までに電子提供措置事項(定時株主総会に係るものに限り、議決権行使書面に記載すべき事項を除く)を記載した有価証券報告書(添付書類及びこれらの訂正報告書を含む。)の提出の手続をEDINETを使用して行う場合には、当該電子提供措置事項に係る情報については、電子提供措置は不要となる(会社法第325条の3第3項)。

3.議決権行使書面

 電子提供措置実施会社においては、議決権行使書面の内容である情報については、電子提供措置の対象であり、株主に対して直接、当該情報を記載した書面の交付又は提供をする必要はない(会社法第325条の3第1項第2号)。ただし、議決権行使書面に記載すべき事項に係る情報については、電子提供措置実施会社が招集通知とともに議決権行使書面を株主に対して交付すれば電子提供措置の実施は不要となる(会社法第325条の3第2項)。
 各株主への議決権行使書面の記載事項には、株主の氏名、名称や議決権数などの情報が含まれているため、議決権行使書面を電子提供措置の対象とする場合、各株主の氏名や議決権数などについても電子提供措置をとらなければならなくなる。そこで、本ひな型においては、引き続き、招集通知とともに議決権行使書面を株主に対して交付することを想定した内容としている。

4.その他の株主総会資料

(1)基本的なルール
 電子提供措置実施会社においては、以下の書類の内容である情報(電子提供措置事項)については、電子提供措置をとることにより、株主に対して直接、当該情報を記載した書面の交付又は提供する必要はない(会社法第325条の4第3項)。
① 株主総会参考書類
② 議決権行使書面
③ 計算書類及び事業報告並びにこれらについての監査報告及び会計監査報告
④ 連結計算書類並びにこれについての監査報告及び会計監査報告
(2)書面交付請求制度
 株主が、会社に対して書面交付請求(会社法第325条の5第1項)を行った場合、電子提供措置事項記載書面に(1)①〜④の各書類の内容である情報を記載して交付しなければならない(会社法第325条の5第2項)。もっとも、電子提供措置実施会社は、定款の定めを設けることにより、に掲げる事項を除く事項について、電子提供措置事項記載書面への記載を省略することができる(会社法第325条の5第3項、会社法施行規則第95条の4第1項第2号イ)。

 なお、2022年10月7日〜11月7日の間、会社法施行規則等の一部を改正する省令案について意見募集が行われた。同案では、のうち下線の項目も、電子提供措置事項記載書面に記載することを要しないこととしている。同省令の改正規定は、公布の日から施行される予定である。
(3)株主総会参考書類等の記載事項の修正方法
 電子提供措置実施会社においては、電子提供措置事項を修正する場合、修正した旨及び修正前の事項に係る情報について電子提供措置をとる必要がある(会社法第325条の3第1項第7号)。そのため、株主からの書面交付請求に応じて交付する電子提供措置事項記載書面にも、修正した旨及び修正前の事項に係る情報を記載する必要がある。
 ただし、従来より、招集通知発出後に株主総会参考書類並びに事業報告、計算書類及び連結計算書類の記載事項について修正すべき事情が生じた場合に備えて、修正後の事項を株主に周知させる方法を招集通知と併せて通知することが認められており(会社法施行規則第65条第3項、第133条第6項、会社計算規則第133条第7項、第134条第7項)、電子提供措置をとる場合についても、引き続き同様の方法をとることが認められている。このように、修正後の事項を株主に周知させる方法をウェブサイトに掲載する方法と定め、株主総会の招集通知と併せて通知していたときであって、当該方法によって修正をするときは、別途、書面交付請求をした株主に対して交付する電子提供措置事項記載書面には、電子提供措置事項を修正した旨及び修正前の事項を記載する必要はない。この場合、例えばウェブサイトに掲載することによって周知することとしたときは、その旨とウェブサイトのアドレスを通知することになる。記載場所としては、招集通知の末尾が考えられる。

脚注
1 施行の日(2022年9月1日)より後に上場するなどして振替株式を発行することとなった会社については、経過措置は適用されないため、施行の日以後を開催日とする株主総会の招集通知から適用する。
2 同省令は電子提供措置制度の施行に伴い、「産業競争力強化法に基づく場所の定めのない株主総会に関する省令の一部を改正する省令」(令和4年法務省・経済産業省令第2号)による改正がなされている。
3 東証「株主総会資料の電子提供措置における東証ウェブサイトの利用について」(2022年8月8日付通知)
4 https://www2.jpx.co.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do?Show=Show
5 法務省「会社法の改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について」(2020年11月24日)54頁

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