会計ニュース2023年02月24日 繰延税金例外処理の早急な最終基準化を(2023年2月27日号・№968) グローバル・ミニマム課税導入でIFRS任意適用会社に影響も

  • グローバル・ミニマム課税に関するIASBの公開草案の最終基準化が4月以降になることを踏まえ、ASBJは、IFRS任意適用企業が例外規定の適用ができない可能性を指摘。早急な最終基準化をIASBに要望へ。

 国際会計基準審議会(IASB)は1月9日、IASB公開草案「国際的な税制改革−第2の柱モデルルール(IAS第12号「法人所得税」の修正案)」を公表しているが(3月10日まで意見募集)、同公開草案に対する企業会計基準委員会(ASBJ)のコメントの概要が明らかとなった。
 IASBの公開草案では、IAS第12号の要求事項に対する例外として、第2の柱モデルルールの法人所得税に係る繰延税金資産及び繰延税金負債に関しては、企業は認識することも情報を開示することも要しない旨を提案するとともに、第2の柱モデルルールの法制が制定されてはいるが未発効である期間における開示を提案している。
 OECDのBEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクトにおける行動計画に基づき取りまとめられた第2の柱モデルルールでは、国際的に最低限の実効税率を定めた上で、それを下回る国における最低税率での課税を確保する「グローバル・ミニマム課税」を導入することとされており、日本では、令和5年度税制改正法案に盛り込まれている。しかし、グローバル・ミニマム課税を前提とした税効果会計の適用については、実務上対応が困難であることから、企業会計基準委員会では、2月8日に「グローバル・ミニマム課税に対応する法人税法の改正に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)」を公表し、IASBの公開草案と同様に、当面の間、税効果会計は、グローバル・ミニマム課税の適用を前提としないこととしている。3月中には正式決定される予定だ(本誌966号13頁参照)。
 このほど明らかとなったIASBの公開草案に対する企業会計基準委員会のコメントでは、公開草案の内容について賛同する意見を述べる一方で、IAS第12号の修正の最終基準が公表されるタイミングについて懸念を示している。IASBの公開草案の最終決定時期が4月以降になるため、3月決算が多い日本のIFRS任意適用企業が公開草案で提案されている一時的な例外規定を適用できない可能性があるからだ。企業会計基準委員会では、一時的な例外規定を適用できなくなれば、これらの企業に不必要な負担を強いることになるほか、比較可能性が大きく損なわれるとしている。このため、同委員会では、IASBに対して、開示に先立って一時的な例外規定の導入に焦点を当てて最終基準化すべきとしている。

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