税務ニュース2023年03月03日 サブリース法人の賃貸料に行為計算否認(2023年3月6日号・№969) 審判所、適正賃貸料の計算は転貸方式の場合でも管理委託方式が合理的
節税対策として、納税者が不動産管理会社をサブリース法人として設立し、保有する不動産をサブリース法人に貸すことで不動産賃貸料収入を得るといった方法はよく見受けられるが、その際に問題となるのが賃貸料の適正額である。不相当に高額な賃貸料となれば、税務署が同族会社等の行為計算否認を適用することもあるからだ。本件も、請求人が不動産を貸し付けた同族会社(不動産管理会社)から実際に得ていた賃貸料収入に基づいて所得税等の確定申告をしたところ、原処分庁が同族会社等の行為計算否認(所得税法157条)を適用し、更正処分等が行われたものである。
請求人は、同族会社との間の不動産賃貸借契約(各サブリース契約)は、賃借人である同族会社が不動産を一括して賃借し、これを第三者に転貸する方式(転貸方式)によることから、本件各サブリース契約における適正賃貸料の額は、不動産管理会社に所有不動産の管理のみを委託して管理委託料を支払う方式(管理委託方式)における管理料率を用いて算定すべきではなく、転貸方式を採用する事業者の賃貸料額に基づき算定すべきであるなどと主張した。
審判所は、転貸方式の場合においても、適正賃貸料の計算方法として、管理委託方式を採用する同業者から算定した管理料率に基づき適正な管理委託料の金額を算出し、これを転貸料収入の金額から控除することによって不動産賃貸料の適正額を算定する方法が合理的なものである以上、本件各サブリース契約が転貸方式であることをもって、原処分庁が算出した賃貸料額が適正賃貸料額であるということは否定されないとの見解を示した。
その上で、審判所は、原処分庁が計算した本件各サブリース契約における適正賃貸料額は、適正賃貸料額と本件各サブリース契約による賃貸料額との間にはいずれも3,000万円を超える乖離があって、割合にしても20%以上の乖離があり、その乖離は通常の経済人である独立かつ対等で相互に特殊な関係のない当事者間で行われる行為として不自然、不合理といえるものであると指摘。したがって、本件各サブリース契約における賃貸料を容認した場合には、請求人の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるから、審判所は、原処分庁が同族会社等の行為計算否認規定を適用したことは適法であるとの判断を示した。
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