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解説記事2023年03月27日 ニュース特集 事業承継税制の特例措置、計画提出は令和6年3月末まで(2023年3月27日号・№972)

ニュース特集
残り1年で計画の提出なければ適用できず
事業承継税制の特例措置、計画提出は令和6年3月末まで


 平成30年度税制改正で10年間の期間限定措置として導入された法人版事業承継税制の特例措置だが、「特例承継計画」の提出期限まで残りおよそ1年となっている。特例措置の適用期限は令和9年12月31日までだが、適用の前提として令和6年3月31日までに「特例承継計画」を作成し、都道府県に提出することが条件となっているからだ。特例措置は、一般措置とは異なり、対象株数の上限を撤廃し、納税猶予割合を100%とするなど、大きなメリットがある。
 しかし、特例承継計画が提出期限内に提出されていなければ、その後、事業承継税制を適用しようと考えたとしても、特例措置に関しては適用することができない。逆に特例承継計画を提出したからといって必ずしも事業承継を行う必要はない。少しでも事業承継を行う可能性があれば、令和6年3月31日までに「特例承継計画」を提出するかどうかの検討はしておくべきだろう。

計画提出も事業承継を実施するかどうかは事業者の任意

 平成30年度税制改正では、事業承継税制を抜本的に拡充する特例制度が措置されている。特例措置は、一般措置に比べ、対象となる株式を全株式とし、納税猶予割合を100%にするほか、雇用確保要件の緩和などが行われている(図表1参照)。雇用確保要件については、一般措置では5年間で平均8割以上の雇用を維持しなければならず、事業承継税制の適用を受ける上でネックとなっていたが、特例措置では雇用確保要件が未達成でも納税猶予の継続が可能となる(ただし、未達成の理由が経営悪化等の場合は認定経営革新等支援機関の指導及び助言が必要)。

罰則もなくとりあえず計画提出という選択も
 一般措置に比べて大きなメリットのある事業承継税制の特例措置だが、適用期限は平成30年(2018年)1月1日から令和9年(2027年)12月31日までの10年間と限られている。特に留意しておかなければならないのは、特例措置の適用を受けるには「特例承継計画」を作成し、都道府県に提出することが条件になっていることだ。
 この特例承継計画の提出期限が令和6年(2024年)3月31日までと残りわずか1年に迫っている。
 特例承継計画を提出していなければ、その後に事業承継税制の特例措置の適用を受けようとしてもできず、この場合は一般措置のみ適用することができる。逆に特例承継計画を提出したとしても必ずしも事業承継を行う必要はなく、罰則等も設けられていない。
 このため、現時点で事業承継を考えていなくてもとりあえず特例承継計画を提出しておくという選択肢も十分に考えられる。

特例承継計画提出期限後の後継者の変更も可能

 特例承継計画には、後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継時までの経営見通しや承継後5年間の事業計画等を記載し、その内容について、税理士や公認会計士などの認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受ける必要がある。
 この特例承継計画には、後継者の氏名を記載することが必須となっている。社内・社外に関係なく最大3人まで記載することができるが、名前のない人は事業承継税制の特例措置の対象にはならない。このため、現時点で後継者が決まっていない場合には計画の提出を躊躇する向きもあろう。
 しかし、再び認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けることが必要にはなるものの、変更申請書を提出することで後継者やその人数を変更することができる。事業計画の大幅な変更などについても同様だ。
 なお、この変更申請書の提出は、特例承継計画の提出期限後である令和6年(2024年)4月1日以降であっても可能となっている。

個人版事業承継税制の計画提出期限も令和6年3月31日まで

 これまで法人版事業承継税制について説明をしてきたが、平成31年度(令和元年度)税制改正で創設された個人版事業承継税制の計画の提出期限についても同様だ(図表2参照)。

 個人版事業承継税制は、10年間の期間限定措置として導入されたもので、認定相続人が平成31年(2019年)1月1日から令和10年(2028年)12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産(土地、建物、機械・器具備品などの減価償却資産)を取得し事業を継続していく場合には、認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対する相続税の納税を猶予するものである。
 ただし、同税制を適用する場合には、平成31年(2019年)4月1日より令和6年(2024年)3月31日までの5年以内に「個人事業承継計画」を作成し、都道府県に提出することが条件となっており(計画の作成には認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けることが必要)、やはり残された期間はおよそ1年となっている。
 法人版事業承継税制と同様、個人事業承継計画を提出したからといって必ずしも事業承継をしなければならないわけではなく、罰則等もない。したがって、少しでも事業承継の可能性があれば提出期限内までに計画を提出することを検討すべきだろう。
後継者の変更は可能
 仮に後継者を変更することになったとしても、計画の提出期限後である令和6年(2024年)4月1日以降に変更申請書を提出し、再度都道府県知事の確認を受けることができる。この点も法人版事業承継税制(特例措置)と同じである。

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