税務ニュース2023年04月21日 借入暗号資産、改正前負債側評価は任意(2023年4月24日号・№976) 令和5年4月1日までは経過措置により時価評価も容認
本誌No.967号掲載の「借入暗号資産、現行法上の負債側評価は」で既報の通り、国税庁が令和5年1月20日に公表した「法人が保有する暗号資産に係る期末時価評価の取扱いについて(情報)」の問6には、借入れた暗号資産の返還義務としての負債を時価評価すべきか否かについての言及はなく、同問の「参考」として、令和5年度税制改正で見直しが行われる旨が記載されている。この改正とは「暗号資産交換業者から借り入れた場合について規定している法人税法61条7項の取扱いを暗号資産交換業者以外の者から借り入れた場合にも広げる」との趣旨であることも既報の通りであり、項が一つ繰り下がって法人税法61条8項として公布されている。
3月決算法人の申告を控え、借入暗号資産に関する負債側時価評価の要否に関する令和5年改正前の取扱いを確認したいとの声が実務家から聞かれる中、本誌が改めて課税当局に取材したところ、「経過措置により、令和5年4月1日前終了事業年度であっても、みなし決済損益額を収益又は損失として経理しているときは、改正後の規定を適用してよい」とのことだ。
課税当局の見解は、令和5年改正法の附則12条4項を根拠としている。この附則を要約すれば、暗号資産交換業者以外からの借入の全てについて施行日前にみなし決済損益を計上していたのであれば、それを認めるということになる。そして、みなし決済損益を認識するということは、返還義務としての負債を時価評価した状態に等しくなる。
上記附則内にいう「施行日」は、「令和5年4月1日」と考えることになる(附則1条4号)。課税当局の見解のように、令和5年4月1日前であっても、みなし決済損益額を収益又は損失として経理しているときは改正後の規定を「適用してよい」ということは、逆にいえば、当該経理をしていなければ時価評価は不要となる。つまり、令和5年改正施行日前は、負債側について時価評価をしてもしなくてもどちらでもよい、ということだ。実務家にとっては朗報といえるだろう。
本記事につきましては、暗号資産に関する改正の施行日を「令和6年4月1日」としておりましたが、これを「令和5年4月1日」に訂正させていただきます。これは、附則1条4号は、法人税法61条を含む同号列挙の規定を除き、令和6年4月1日施行とされているためです。お詫びして訂正させていただきます。
なお、本記事は、令和5年4月27日付けで訂正後のものを掲載しております。
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