税務ニュース2023年08月11日 第2の柱の行政ガイダンス第2弾が公表(2023年8月14日号・№991) 現地QDMTTが一定要件充足ならSH発動、GloBEルールの適用除外

  • OECD、デジタル課税第2の柱に係る行政ガイダンスの第2弾公表。現地のQDMTTが一定要件を満たす場合、セーフハーバー(SH)が発動され、「トップアップ税額を零と見做し、他の法域のGloBEルールの適用を除外する」ことを明示。

 第2の柱(ミニマム課税)の中心である所得合算ルール(IIR)では、法域ごとのトップアップ税額を以下のように計算する。

トップアップ税額=【(15%−当該法域の租税負担割合)×(当該法域のネットGloBE所得−実質ベースの所得控除額)】+追加トップアップ税額−QDMTT

 この算式では、企業は本店所在地国のIIRにおいて、一旦、当該法域に係るトップアップ税額を計算した上で(【 】の部分)、当該法域が現地で導入しているQDMTTの額を控除する。QDMTTはGloBEルールとの整合性が求められる一方、GloBEルールと「同一」である必要はないとされる中(2月公表の行政ガイダンス第1弾)、同じ法域について計算の二度手間が生じ、かつ、日本と現地の計算結果が異なる可能性がある。企業には、事務負担に加え、紛争リスク(例えば、日本の税務当局が、当該法域のQDMTTが過大であるとして、IIRに基づくトップアップ税額の計算上、QDMTTの額の控除を否認)への懸念がある。第1弾ではこの問題への対処の必要性は示唆されたが、第2弾では現地のQDMTT(既に適格が前提)が、①QDMTT会計要件(QDMTTが最終親会社の会計基準又は一定の条件のもと現地の会計基準に基づき計算される)、②一貫性要件(QDMTTの計算が一定の例外を除き、GloBEルールのもとで要求される計算と同じ)、③税務行政要件(QDMTTがモニタリング・プロセスの要求事項に適合)の3要件を満たす場合、SHが発動され、「GloBEルールの下で支払うべきトップアップ税額を零と見做すことで他の法域におけるGloBEルールの適用を除外する」ことが明示された(P.77 パラ4)。つまり、多国籍企業グループは現地のQDMTTの計算を一回だけ行えばよい(親会社所在地国で再度の類似計算不要)。
 この算式なら日本における「控除」という概念がないため、否認等のリスクもなくなる。ただし、各国が導入するQDMTTは、上記②の一貫性要件からすると紛らわしいが、依然「同一」とはされていない。したがって、各現地法令に準拠し、微妙に差異がある各国のQDMTTを計算する手間は要する。R6年改正では第2の柱の残された課題が議論されるが、事務負担軽減の観点から本SHの実現が強く期待される。

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