資料2023年10月09日 重要資料 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(抄)(2023年10月9日号・№998)

(編注:国税庁が令和5年10月2日に更新したQ&Aのうち、追加したQ&Aを掲載)

重要資料
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(抄)


(小売店を経営する新設法人における登録の通知を受けるまでの間の適格簡易請求書の交付方法)

問37 当社は、当期に新設した法人で、小売店(コンビニエンスストア)を経営しています。課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受ける旨を記載した申請書を当該課税期間の末日までに提出し、課税期間の初日から登録を受けたのですが、登録通知が届くまでの間、登録番号の記載をしていないレシートを交付していた場合、登録通知書が届いた後、どのように適格簡易請求書を交付すればよいですか。【令和5年10月追加】

【答】
 新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、当該課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日において登録を受けたものとみなされます(消令70の4、消規26の4、基通1−4−7、1−4−8)。
 この場合、登録日(課税期間の初日)から適格請求書等を交付する義務は生じますが、通知を受けるまでの間、適格請求書等を交付することはできませんので、売手は、例えば次のように対応することが考えられます。
・事前に適格請求書等の交付が遅れる旨を取引先に伝え、通知後に適格請求書等を交付する。
・取引先に対して、通知を受けるまでは、登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めて適格請求書等を交付し直す。
・取引先に対して、通知を受けるまでは、登録番号のない請求書等を交付し、その請求書等との関連性を明らかにした上で、適格請求書等に不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする。
 他方、ご質問のように小売業等の不特定かつ多数の者に対して事業を行う場合には、上記の事後交付等の対応が困難な場合があると考えられます。そのため、小売店等を営む事業者が、不特定かつ多数の方に登録番号のないレシート等を交付している場合、事前に、インボイスの交付が遅れる旨を事業者のホームページや店頭にてお知らせした上で、例えば次のように対応することが考えられます。
・当該事業者(売手)のホームページ等において、「弊社の登録番号は『T1234…』となります。令和6年■月1日(課税期間の初日)から令和6年●月●日(通知を受けた日)までの間のレシート等をお持ちの方で仕入税額控除を行う方におきましては、当ページを印刷するなどの方法により、レシートと併せて保存してください」と掲示する。
・買手側から電話等を受け、その際に登録番号をお知らせし、買手側においてその登録番号の記録とレシート等とを組み合わせてインボイスとして保存してもらう(これにより、買手は仕入税額控除を受けることができます。)。
 なお、こうした取扱いは、登録日から登録番号の通知が届いた日までにおける、経過的な取扱いとなります。したがって、お手元に登録番号の通知が届き、登録番号を記載した適格簡易請求書を交付できるようになった日以降は、記載事項を満たしたインボイスを交付していただく必要がありますので、ご注意ください。
(参考)新たに設立された法人等の登録時期の特例については、問11《新たに設立された法人等の登録時期の特例》をご覧ください。

 登録番号のない請求書等を受領した事業者(買手)においては、申告期限後に記載事項を満たす適格請求書等を受領する又は登録番号のお知らせを受けることとなった場合であっても、事前に売手が適格請求書発行事業者の登録を受ける旨を確認できたときは、登録番号のない請求書等に記載された金額を基礎として、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。この場合には、事後的に交付された適格請求書等や登録番号の通知を保存することが必要となります。
 なお、事後的に適格請求書等の交付等を受けることができなかった場合には、仕入税額控除を行った翌課税期間において、本来の控除税額との差額を調整することとして差し支えありません。
(参考)基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者は、1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくとも帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能とされています(少額特例)。そのため、この少額特例の適用対象となる買手においては、こうした課税仕入れについて上記のような対応は必要ありません。

(任意組合等に係る事業の適格請求書交付に当たっての各種届出書の提出方法)

問51 当団体は、任意組合等に係る事業として適格請求書の交付を考えていますが、組合員の一人が新たに事業を開始した者であるため(事業を開始した日の属する課税期間に当たるため)、その組合員が当該課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を当該課税期間の末日までに提出することで、当該課税期間の初日から登録を受けたものとみなされる事業者である場合、登録申請書を提出していることを確認の上、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」の当該事業者の登録番号欄を空欄で提出し、当該組合員に係る登録通知書が届き次第、登録番号を別途提出することとしてよいでしょうか。
  また、組合員の加入・離脱が頻繁に行われることが予定されるところ、「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」は組合員の加入・離脱の都度提出しなければならないのでしょうか。【令和5年10月追加】

【答】
 任意組合等が事業として行う課税資産の譲渡等については、その組合員の全てが適格請求書発行事業者であり、業務執行組合員が、その旨を記載した「任意組合等の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」(以下「任意組合等の届出書」といいます。)を納税地を所轄する税務署長に提出した場合に限り、適格請求書を交付することができます(消法57の6、消令70の14①②)。
 そのため、適格請求書発行事業者でない事業者が任意組合等の組合員となる場合、当該事業者が適格請求書発行事業者としての登録を受けるまでは、任意組合等の届出書は提出できないこととなります。
 しかしながら、当該適格請求書発行事業者でない事業者が、新たに事業を開始した者であるため(事業を開始した日の属する課税期間に当たるため)、当該課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を当該課税期間の末日までに提出することで、当該課税期間の初日から登録を受けたものとみなされる事業者である場合(消令70の4、消規26の4一)において、当該登録申請書を提出し、課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けることが見込まれる場合には、任意組合等の届出書における当該組合員の登録番号欄に「後日提出予定」などの記載を行った上で提出し、当該組合員に対して適格請求書発行事業者の登録通知があった後、速やかに任意組合等の届出書(次葉)等により、当該組合員の登録番号を提出することとして差し支えありません(注)。
 また、任意組合等の届出書に記載した事項に変更があったときは、その旨を記載した「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書」(以下「任意組合等の変更届出書」といいます。)に、任意組合等に係る組合契約の契約書その他これに類する書類の写しを添付し、速やかに納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります(消令70の14③)。
 任意組合等の変更届出書は、原則として、適格請求書発行事業者である組合員の加入や離脱など、変更があった都度速やかに提出することが求められますが、そうした変更が頻繁に行われるなど、速やかな提出が困難である場合には、当該任意組合等に係る一定の期間(以下「計算期間」といいます。)の末日までに、その計算期間内に生じた変更事項をまとめた一覧を添付の上、任意組合等の変更届出書を提出することで差し支えありません。
(注)仮に当該組合員が登録拒否要件(消法57の2⑤)に該当し、適格請求書発行事業者の登録を受けられなかった場合には、それまで適格請求書を交付した任意組合等の事業に係る課税資産の譲渡等について、改めて適格請求書ではない書類を交付する等の対応を行う必要がありますのでご留意ください。

(ごみ袋等に係る適格請求書の交付方法)

問53 当社は、小売業(スーパーマーケット)を営む事業者です。当社が商品として扱う自治体の指定ごみ袋や粗大ごみの処理券等については、条例等の内容に応じて、課税や非課税、不課税など課税関係が異なります。こうした課税関係の中、顧客に対してどのように適格請求書を交付すればよいですか。【令和5年10月追加】

【答】
 小売店等が商品として扱う各自治体の指定ごみ袋や粗大ごみの処理券等(以下「ごみ袋等」といいます。)の販売については、各自治体が定める条例等の内容に応じて、各自治体から仕入れたごみ袋等自体の譲渡として課税取引となる場合のほか、物品切手の譲渡として非課税取引となる場合、受託販売(一時的な代金の預かり)として課税対象外(不課税取引)となる場合など様々ですので、こうした態様や課税関係に応じて、適格請求書等を交付する等の対応を検討いただく必要があります。
 この点、ごみ袋等の販売により収受する金銭は、各自治体におけるごみ処理という役務の提供(課税資産の譲渡等)の対価(ごみ処理手数料)を各自治体に代わって収受するという側面を有するものであるため、その販売が非課税取引や不課税取引(以下「非課税取引等」といいます。)となるものであっても、媒介者交付特例を活用し、顧客に対して、小売店等の名称や登録番号を記載した適格請求書等の交付を行うこととしても差し支えありません(消令70の12①)。
 なお、媒介者交付特例に係る適格請求書等の写しの交付については、小売店等から各自治体に対して交付している納入通知書等に代えることも認められます。
 また、ごみ袋等については、一般的に条例等に基づいてその税込販売価額が定められているものと考えられるため、小売店等においては、税込価額で記載するごみ袋等と、税抜価額で記載するその他の商品を併せて一の適格簡易請求書に記載する場合に、「税込販売価額」を税抜化せず、「税込販売価額」を合計した金額及び「税率の異なるごとの税抜価額」を合計した金額を表示し、それぞれを基礎として消費税額等を算出し、算出したそれぞれの金額について端数処理をして記載することとしても差し支えありません(消令70の10、基通1.8.15)。
(注)ごみ袋等の販売が非課税取引等となる場合に、媒介者交付特例を活用し適格請求書等の交付を行ったとしても、小売店等において課税資産の譲渡等として取り扱う必要はありません。また、小売店等において、媒介者交付特例を活用せず、ごみ袋等の本来的な課税関係に基づき、非課税取引等として領収書等の交付を行うことを妨げるものではありません。
(参考)媒介者交付特例については問48《媒介者交付特例》を、税抜価額と税込価額が混在する場合の消費税額等の端数処理の方法については、問59《税抜価額と税込価額が混在する場合》をご覧ください。

 小売店等からごみ袋等を購入した事業者が、その購入したごみ袋等のうち、自ら引換給付(ごみ処理という役務の提供)を受けるものにつき、継続してそのごみ袋等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとする場合には、各自治体の条例等の内容にかかわらず、小売店等から交付を受けた媒介者交付特例に係る適格請求書等及び一定の事項を記載した帳簿の保存により、仕入税額控除の適用を受けることが可能です。

(高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法)

問103 当社では高速道路を頻繁に利用するのですが、高速道路利用について、いわゆるETCシステムを利用し、後日、クレジットカードにより料金を精算しています。この場合、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書の保存により仕入税額控除を行うことはできますか。【令和5年10月追加】

【答】
 クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付するクレジットカード利用明細書は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成及び交付する書類ではなく、また、課税資産の譲渡等の内容や適用税率など、適格請求書の記載事項も満たしませんので、一般的に、適格請求書には該当しません。
 そのため、高速道路の利用について、有料道路自動料金収受システム(ETCシステム)により料金を支払い、ETCクレジットカード(クレジットカード会社がETCシステムの利用のために交付するカードをいい、高速道路会社が発行するETCコーポレートカード及びETCパーソナルカードを除きます。)で精算を行った場合に、支払った料金に係る仕入税額控除の適用を受けるには、原則、高速道路会社が運営するホームページ(ETC利用照会サービス)から通行料金確定後、適格簡易請求書の記載事項に係る電磁的記録(以下「利用証明書」といいます。)をダウンロードし、それを保存する必要があります。
 他方、高速道路の利用が多頻度にわたるなどの事情により、全ての高速道路の利用に係る利用証明書の保存が困難なときは、クレジットカード会社から受領するクレジットカード利用明細書(個々の高速道路の利用に係る内容が判明するものに限ります。また、取引年月日や取引の内容、課税資産の譲渡等に係る対価の額が分かる利用明細データ等を含みます。)と、利用した高速道路会社及び地方道路公社など(以下「高速道路会社等」といいます。)の任意の一取引(複数の高速道路会社等の利用がある場合、高速道路会社等ごとに任意の一取引)に係る利用証明書をダウンロードし、併せて保存することで、仕入税額控除を行って差し支えありません。
(注)1 利用証明書については、クレジットカード利用明細書の受領ごとに(毎月)取得・保存する必要はなく、高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことを前提に、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引に係る適格簡易請求書の記載事項を満たした利用証明書を一回のみ取得・保存することで差し支えありません。また、例えば、A高速道路会社からB高速道路会社を経由してC高速道路会社の料金所で降りた際、C高速道路会社がまとめて利用証明書を発行している場合には、C高速道路会社の利用証明書を保存することになります。
   2 空港と内陸部を結ぶ連絡橋の通行料金(空港連絡橋利用税)など、消費税の課税対象とならない金額がある場合、その金額は仕入税額控除の対象外となりますのでご留意ください。

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