会社法ニュース2023年12月22日 役員報酬への円安の影響の反映が論点に(2023年12月25日号・№1008) 年次報酬等からは除外する一方、長期インセンティブからは除外せず
一時の極端な円安はピークアウトしつつあるとはいえ、依然として円安が続いている。継続的な円安に伴い考慮しなければならないのが、役員報酬への影響だ。具体的には、インセンティブ報酬の評価指標において為替の影響を除外すべきかどうかが論点となる。上場企業であれば報酬委員会(任意のものを含む)の審議事項となろう。
インセンティブ報酬には、短期インセンティブ(年次賞与など)と長期インセンティブ(株式報酬など)等があるが、このうち基本的に為替の影響を除外すべきなのは短期インセンティブだ。その理由として、短期的な著しい為替変動による業績の好不調は経営陣への帰責性が低いと考えられることが挙げられる。
一方、長期的な為替変動は、特にグローバル事業をハンドリングする経営陣にとって対処すべきリスクの一つであることから、長期インセンティブの評価指標からは除外しないのが、欧米の多国籍企業等も採用している一般的なプラクティスとなっている。
各社の有価証券報告書をリサーチすると、例えばオリンパスは2023年3月期の有価証券報告書で、年次賞与の評価に際し、当期の業績予想に使用した為替レートを適用した「為替調整」を売上に対して実施していることを明らかにしている。また、日本たばこは2022年12月期の有価証券報告書で、年次賞与の評価は「為替一定Core revenue」や「為替一定調整後営業利益」を指標としており、期中の為替の影響を除外して評価していることが分かる。
最近は外国人の取締役を選任するケースも増えているが(2022年には日経225の27%、TOPIX100の41%が外国人取締役を選任)、業務執行側の外国人取締役の報酬は一般的に現地通貨ベースで支給されることが多いため、問題とはなりにくい。これに対し、社外取締役の報酬は、外国人社外取締役を含め全員一律で同額としているケースも多く、ドルベースでは報酬額が大幅に目減りしている。外国人社外取締役については、①就任時レートで固定、②為替変動による目減り分を補てんする、などの対応が求められよう。
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