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税務ニュース2024年01月19日 暗号資産に相続税取得費加算不適用(2024年1月22日号・№1011) 課税当局、譲渡所得の起因となる資産ではないため対象外との見解示す

  • 暗号資産を売却した場合の所得区分は、現時点の取扱いとしては譲渡所得にはなり得ず、また、措置法39条に定める相続税の取得費加算の適用対象となるのは譲渡所得の基因となる資産のみであるため、暗号資産に対して同規定は適用できないことを課税当局への取材で確認。

 周知の通り、個人が暗号資産を売却した場合、売却対価と取得価額の差として計算される利益は、雑所得として課税を受けるのが原則だ。相続によって取得した暗号資産を売却した場合には、被相続人による暗号資産の取得価額を引き継ぐため、売却時の時価と被相続人による取得価額の差額が、相続人において所得税の課税対象とされる。暗号資産を相続すれば、相続人は当然相続税課税の対象にもなるが、この場合の評価額は暗号資産に活発な市場が存在するときは暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格とされ、基本的に相続時の時価で課税を受けることになろう。相続財産を処分することで相続人に生じる所得税課税の負担軽減措置として、相続または遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡した場合に相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算する、相続税の取得費加算の特例がある(措法39)。しかし、同条には、「“譲渡所得に係る”取得費」には、一定の相続税額を加算すると規定されていることから、暗号資産のように売却益が譲渡所得として扱われる余地のない資産については、相続税の取得費加算が適用できないのではないかという懸念が税理士等の間で生じている。
 そこで本誌がこの点について課税当局に取材したところ、「暗号資産を売却した場合の所得区分は、現時点の取扱いとしては、譲渡所得にはなり得ず、措置法39条の特例の適用対象となるのは譲渡所得の基因となる資産のみであることから、取得費加算は適用できない」とのことであり、税理士等の懸念が的中する形となった。
 相続税と所得税(住民税含む)の最高税率を合計すると単純計算では100%を超えるため、相続税の取得費加算が適用されない場合、相続で取得した暗号資産の額次第では非常に重い税負担が生じる可能性がある。
 この問題については、暗号資産の業界団体が昨年の改正要望としても提出していたようだが、令和6年度税制改正大綱には、この点に関する改正は見受けられず、今後の検討事項にもなっていない。暗号資産の相続が発生した場合には、取得後の売却も視野に入れた検討が必要となるだろう。

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