税務ニュース2024年02月02日 住宅購入で受けた修繕積立金は一時所得(2024年2月5日号・№1013) 審判所、売主による修繕積立金負担は1回限りの偶発的なもの
マンションなどの住宅購入の際の値下げ交渉では、売買価格を減額する代わりに、家具等のサービスや商品券を交付することにより値引の対応をすることがあるようだ。商品券が交付されたケースでは、審判所は経済的利益が生じているが、原処分庁が主張する雑所得ではなく、一時所得であるとして原処分の全部を取り消した裁決事例があるが(本誌998号12頁参照)、本件で紹介する裁決事例は、マンション購入者が負担すべき修繕積立金を売主が負担したケースである。
請求人は、マンションの専有部分(本件物件)に係る売買契約書と同時に作成された覚書の内容は、売買契約書と一体のものとして本件物件の売買を内容に含む契約を構成しており、覚書に基づき請求人が負担すべき修繕積立金を売主の負担としたことは売買代金と対価関係又は実質的にこれと同視できる関係にあり、無償によりこれを受けたものではないことから、「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」(所法36条①)は生じていないなどと主張し、雑所得として更正処分等を行った原処分の全部の取消しを求めていた。
審判所は、売買契約及び覚書の合意に至る交渉の経緯や売買契約書及び覚書の内容からすれば、売買契約の目的物は本件物件のみであり、本件物件に加えて修繕積立金の費用負担をも対象とした上で、代金を支払う旨の合意をしたとはいえないと指摘。したがって、請求人には、費用負担に係る経済的価値の流入があったというべきであり、「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」が生じているとした。
その上で審判所は、本件経済的利益は物件の購入において当然にその発生が予定されていたものではなく、請求人及び売主の交渉の結果、1回限りのものとして、偶発的に生じたというべきものであり、また、修繕積立金の負担が、何らかの具体的な役務行為又は抽象的若しくは一般的な役務行為に密接に関連してされたものとも認められないことから、本件経済的利益は一時所得に該当するとの判断を示し、原処分の全部を取り消した。
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