税務ニュース2024年05月17日 税務調査で急速に進むAIの活用(2024年5月20日号・№1027) 財産債務調書等について課税当局の把握情報と差異があれば調査対象に
周知の通り、令和4年度税制改正では、その年の12月31日時点における財産の状況に関する財産債務調書及び国外財産調書(以下、合わせて「調書」という)の提出期限が、提出義務者等の事務負担軽減のため、「令和5年分以後」の調書より、「その年の翌年の3月15日まで」から「その年の翌年の6月30日まで」へと延長されたところだ。
令和5年分以後の調書では、提出期限の延長に加え、「提出義務者」の範囲も見直され、令和5年分の退職所得を除く各種所得の金額の合計額が2,000万円を超える者で、かつ、①令和5年12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産(例:有価証券、未決済信用取引)を有する者のほか、②同日において、価額の合計額が10億円以上の財産を有する者が新たに提出義務者に加えられている。また、提出期限後に調書が提出された場合の宥恕措置も見直され、「令和6年1月1日以後」に提出される調書から、その財産債務に係る所得税又は財産に対する相続税についての調査通知前に提出されたものである場合に限り宥恕措置が適用することとされた。
最近の税務調査では、AIを活用しながら収集した様々なデータを分析することにより、申告漏れの可能性が高い納税者を判定するなど、課税・徴収事務の効率化・高度化が進む。申告漏れの可能性が高い納税者を判定するため、申告内容やこれまでの調査事績はもちろん、法定資料、課税当局が独自に収集した情報のほか、民間の情報機関からの情報収集、海外との租税条約等に基づく情報交換、CRSに基づく非居住者の金融口座情報の自動的情報交換などが行われ、提出された財産債務調書や国外財産調書の情報も税務当局のデータベースに蓄積されている。収集したデータは納税者ごとに情報管理が行われ、BA(Business Analytics)ツールなどを用いた分析結果を、申告漏れの可能性が高い納税者の判定に活用している。したがって、財産債務調書や国外財産調書の内容と税務当局が把握している情報に大きな差異があると調査対象に選定されかねない。税理士としては、少なくとも調書の内容は正確に記入することが必須となろう。
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