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税務ニュース2024年09月27日 無予告現況調査の体制、調査対象、実例(2024年9月30日号・№1045) ランチタイム終了後の飲食店に無予告着手した事例も

  • 納税者等にとって対応が難しいと言われているのが「無予告現況調査」だ。本稿では、無予告現況調査を行う税務署側の体制、人材、調査対象の選定方法、無予告現況調査を受けた事例等をレポートする。

 何の前触れもなく調査官が本店や自宅等に臨場してくる無予告現況調査の対象は、国税局の資料調査課及び統括国税実査官が選定候補から落とした法人や、外部からの情報及び活用効果が高いと想定される取引資料等から選定される。現金商売を営む法人のみが対象と思われがちだが、それ以外の法人も対象とされている。
 無予告現況調査を行う部門は、税務署の法人課税部門では特別管理部門(特調)、繁華街担当部門(繁華)、特別調査情報官、特別国税調査官(総合調査担当)等が挙げられる。東京国税局管内だと、特別管理部門は約20署、繁華街担当部門は8署ほどに設置され、特別調査情報官は8署ほど、総合調査担当特官は8署ほどに配置されている。無予告現況調査は、国税局の資料調査課等ほどの人数をかけず、多くても6.8人、少なければ2.4人程度で着手するが、担当職員は税務署内でも豊富な調査経験を持つか、国税局の査察部や課税部の資料調査課等の経験者となっている。
 無予告現況調査で問われるのは売上管理の方法だ。これには、現金残での売上計上、レジでの売上計上、会計伝票での売上計上があるが、営業日毎に正しく締め、突然の調査に備える必要がある。ある事案では、ランチタイム終了後の飲食店に無予告着手したところ、ランチタイム時の会計伝票を破棄しており、ランチタイムの売上を少なく計上していた。調査官が代表者に会計伝票の所在を尋ねたところ「ゴミ箱に捨てた」との説明を受けたため、ゴミ箱に捨てられた会計伝票と売上計上額を確認したところ、開差が認められた。別の事案では、特定の従業員に対し、その従業員がレジ打ちする時だけ売上を除外するように指示していた。また、ランチタイムの価格が同一のため、会計伝票もなく、現金残で売上計上している飲食店があり、何回か来店客の人数を把握してから調査に着手したところ、毎日の売上計上の際に一定の来店客数を除いて売上計上している事案であった。
 書き入れ時に売上を除外する料理飲食店は、多少の売上を除いても税務署には分かるまいと考えている節がある。しかし、税務署は現金決済の多い接待交際費や会議費に計上されている領収書等から情報を収集して蓄積し、調査着手時に活用している。たった1枚の領収書から多額の不正所得が把握されることもあるだけに要注意だ。

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