税務ニュース2024年06月07日 相殺による源泉税求償時の対象債務は(2024年6月10日号・№1030) いずれの債務と相殺すべきかは「相手方との取り決め次第」

  • 調査により追徴を受けた源泉税額の求償を求める方法として求償先への債務と相殺することが認められているが、いずれの債務と相殺すべきかは「相手方との取り決め次第」である旨、課税当局への取材で確認。

 企業に対して源泉税調査が行われる場合、源泉徴収漏れを指摘される項目は多岐にわたるが、その一つに国際間取引に関する租税条約の適用誤りがある。とりわけ、日本の子会社から海外の親会社に配当を支払う「親子間配当」については、日本側での源泉徴収を免除するという規定が多くの租税条約に盛り込まれているが、免除を受けるための要件は個別の租税条約により様々で、場合によっては取扱いが複雑になる。そのため、ただ資本関係があるという事実のみで源泉税が免除されるという判断を下すと、租税条約上定められている他の要件を満たしていないことが税務調査において発覚し、源泉徴収をせずに支払った配当金について、源泉徴収漏れとされる結果を招くことがある。たとえば、最終親会社がA国で上場している企業グループに属する「B国所在の中間持株会社」に対して日本子会社が配当を支払ったケースで、日本とB国の間の租税条約では最終親会社の上場国がA国の場合は配当金の源泉税免除の要件には該当しないにもかかわらず、源泉徴収をせず配当を支払ったため、税務調査において追徴を受けるというケースがあるようだ。徴収漏れを指摘され追加納付した源泉税については、特に親子間であれば配当を受領した親会社に対して、所法222条に基づき求償を求めるのが一般的だろう。同条では求償方法として、源泉税相当額の返金を求める以外に、求償を求める者に「支払うべき金額から控除する」方法、つまり債務との相殺も可能とされている。ただ、同条に規定する「支払うべき金額」について、税理士等の間では、例えば配当金に対する追徴源泉税の相殺による求償を行う場合、親会社に対する買掛金等、配当金以外の債務と相殺することは可能なのか、あるいはその逆に、親会社に対する買掛金等の債務がある場合であっても、次回の配当支払時に発生する債務との相殺を行うことが認められるのか、との疑問が生じている。
 そこでこの点について本誌が課税当局に取材したところ、「親会社への買掛金等、配当金以外の債務から控除する方法」、「買掛金等とは相殺せず次回の配当金支払時にまとめて控除する方法」のいずれも認められることが確認された。要するに、「相手方との取り決め次第」ということになる。

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