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税務ニュース2024年06月14日 損失補償金の消費税上の対価性は(2024年6月17日号・№1031) 地裁、契約上の地位消滅の対価は資産の譲渡等の対価とは言えず

  • 土地建物に係る賃貸借契約の合意解除に伴い、賃借人であった原告が新たに土地の賃借人となる第三者から受領した損失補償金の対価性が争点となった消費税事案で、広島地裁は令和6年1月10日、「資産の譲渡等」の対価に該当するとして更正処分等を行った課税当局の判断を覆し、納税者勝訴の判決(国は控訴せず本判決は確定)。

 本件では、X(原告)が、賃貸人Yから土地建物を賃借(以下「原契約」)し、本件土地建物において30年以上にわたりパチンコ店を営んでいたが、本件土地建物からの撤退を検討するようになり、本件土地建物を引き続きパチンコ店として利用する同業者を探していた。
 こうした中、土地のみの利用を希望するZが現れたため、XはZに対し、各種設備の撤去等に伴い生じる損失の補填を求めた上で、Zとの間で、本件原契約の解約等を条件とし、本件原契約を解除して店舗の撤退等に伴い生じる損失補償金として2億円を支払うことを合意内容とする協定書を締結した。さらにXは、Y及びZとの間で、本件原契約上の地位をZに承継移転した後に、本件原契約を合意解約し、それと同時にYがZに対し事業用定期借地権を設定することを合意する内容の覚書を締結した。
 国は裁判で、2億円は本件覚書に基づき本件原契約上の地位をXからZに移転することに対する対価、すなわち「資産の譲渡等」に対する対価に当たると主張した。これに対し広島地裁は、①本件覚書は、もっぱらXが本件土地建物から撤退した後もZが本件原契約の賃料を継続して支払うという法形式を採ることで、Yが賃料を得られない期間をなくすこと等を目的として締結されたものであり、Zが本件原契約上の地位に基づいて建物の使用収益をすることはおよそ予定されていなかったこと、②本件協定書には、本件原契約の解除・店舗からの撤退に伴い生じる損失補償金として2億円を支払う旨の記載がある一方、本件覚書には2億円の支払いに関する記載はないこと等を理由に、2億円は本件覚書に基づく本件原契約上の地位の移転に対する対価ではなく、本件原契約の解約により同契約上の地位が消滅することに対する対価であって、「資産の譲渡等」に対する対価とは言えないとした。
 広島地裁は、本件原契約上の地位が使用収益を予定するものではなく(2億円の)経済的価値がないことも踏まえ、当事者間で締結された各契約(本件協定書、本件覚書)の内容に照らし、本件金銭は、本件原契約上の地位の移転ではなく、その消滅の対価であると判断したものと言えよう。

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