税務ニュース2024年09月06日 審判所、CFC税制に係る更正処分取消し(2024年9月9日号・№1042) オランダ財団の法人税法上の「信託」該当性を肯定
請求人(内国法人)は米国に本店を有する法人(米国法人)の全株式を取得した。当該取得時点で、米国法人はケイマン諸島に本店を有する外国法人(ケイマン法人1)の全株式を保有し、ケイマン法人1は、オランダの法律に準拠して設立された「財団(Stichting)」(オランダ財団)を介して、ケイマン諸島に本店を有する別の外国法人(ケイマン法人2)の全株式を保有していた。請求人は、オランダ法に基づく法律関係は受益者等課税信託について規定する法人税法12条1項の「信託」に該当することから、ケイマン法人1はケイマン法人2の株式を保有しているとみなされるとの前提で連結確定申告を行い、CFC税制の適用上、特定外国関係会社に該当するケイマン法人1の基準所得金額の計算において、ケイマン法人1がオランダ財団を介してケイマン法人2から受領した配当を控除(措令39の115①四)した。これに対し課税当局は、オランダ法に基づく法律関係は信託に該当せず、ケイマン法人1はケイマン法人2の株式を保有していないため、配当の控除は不可とし更正処分等を行った。
審判所は、法人税法上の信託は信託法上の信託と同義であり、外国の私法により決定された法律関係がこれに該当するには、①一定の財産が存在して当該財産が受託者となる特定の者に帰属し、②特定の者が達成すべき目的(専ら特定の者の利益目的を除く)が定められ、③特定の者が、②の目的に従い当該財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成に必要な行為をする義務を負うとの定めがあること、と同等の法律関係が信託法第3条各号に掲げる方法によって生じたことを要するとした。その上で、オランダ財団の設立、オランダ財団へのケイマン法人2の株式の拠出に対する「depositary receipts」(DR)の発行、当該株式の管理の受託等に関する契約書等を検討、①ケイマン法人2の株式が受託者となるオランダ財団に帰属し、②オランダ財団の目的として、ケイマン法人2の株式を保有し管理するためにその所有権を取得して議決権等を行使し、配当金等を受け取ってDRの保有者に引き渡すこと等が定められ、③オランダ財団が、②の目的に従いケイマン法人2の株式の管理・処分その他の必要な行為をする義務の定めがあり、これらの法律関係は信託法上の信託契約に相当する契約を締結する方法によって生じたと認定、法人税法上の信託に該当するとした。
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