税務ニュース2024年09月13日 容積率低減の固定資産評価への影響は(2024年9月16日号・№1043) 東京都固定資産評価審査委員会が評価額を減額修正
八重洲二丁目北区の再開発では、隣接街区や周辺エリアと調和した景観を形成する目的で、施行区域の一部(本件土地)の容積率を、従前の900%から400%に制限することとなった。このように都市計画において高度利用を前提としない地域の容積率を低減する手法は「ダウンゾーニング」と呼ばれる。こうした容積率の制限は土地価格の減価要因となり得るが、本件土地について、減価をいかに土地の固定資産評価に反映するかが争われ、東京都固定資産評価審査委員会は令和元年9月6日、審査申出の一部に理由があると認め、本件土地の固定資産評価を減額修正していたことが本誌取材により判明した。
東京都中央都税事務所は、上記容積率の低減を受け、本件土地の正面路線(本件街路)に路線価を付したが、隣接する標準宅地(本件標準宅地)の正面路線である主要な街路の基準容積率が900%であるのに対し、本件土地の基準容積率が400%であるため、土地価格比準表における中央区の高度商業地区の比準表に基づき、格差率マイナス20%を適用し、本件街路の路線価を算出した。これに対し審査委員会は、まず本件標準宅地周辺は価格形成要因の中でも容積率が土地価格に与える影響が特に大きい地域であるところ、本件土地については、高度商業地区の中でも利便性や繁華性が優る幹線道路沿いに所在し、その地域性から収益性が重視されるにもかかわらず、地上4、5階程度の建物が標準的使用となるまでの容積率制限がされた稀有な事例であると指摘した。その上で、このような特殊性を考慮すると、本件土地と本件標準宅地に代表される同一状況類似地区の近隣土地とは価格形成要因が大きく異なるため、本件土地に沿接する本件街路のみの状況類似地区として区分することが妥当と判断、本件街路を主要な街路、本件土地を標準宅地として固定資産鑑定評価により本件街路の路線価を新たに算出し、本件土地の固定資産評価を減額修正した。
特例容積率の限度指定(余剰容積率の移転)の固定資産評価への影響が問題となった事案で、標準宅地に係る鑑定評価において特例容積率の限度指定が考慮されていない場合、鑑定評価を経ずに土地価格比準表で容積率の格差を調整することは許されないとした裁判例もある(東京地判令和5年8月31日)。行政上の規制の固定資産評価への反映を争う事例は今後も増加しそうだ。
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