税務ニュース2024年10月11日 越境ECへの消費税が無申告や免税に(2024年10月14日号・№1047) 早ければ令和7年改正で適正な消費税課税に向けた対応を検討へ
消費税の課税が適切に行われていないとみられる第1のケースが、国外事業者が、プラットフォーマーであるECサイト事業者が管理する国内倉庫に商品を一旦納めた上で、当該商品がECサイトを通じて販売される場合だ。こうした商品の販売は「国内に所在する資産の販売」であり、消費税の課税対象となるが、国外事業者が申告義務を負っていることを認識しておらず、無申告となっているという現状がある。第2のケースは、国外事業者が自社サイトもしくはプラットフォーマーなどを通じ、海外から商品を直送する場合である。この場合、消費者が「輸入者」という扱いとなり、実務上は通関業者が関税及び輸入消費税を税関に申告することになる。もっとも、少額貨物(課税価格1万円以下)については、関税定率法上、「関税を免除する」と規定されており、同法14条18号を援用した輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律13条1項1号では「消費税を免税する」こととされている。しかしながら、同じ課税価格が1万円以下の商品であっても、国内事業者が発送する商品に係る消費税は免税対象とはならないため、国外事業者と国内事業者の間で不均衡が生じている。
こうした中、税務当局は、これらの越境ECサイトへの適正な課税を確保するため、令和7年度税制改正も視野に、法改正を含む対応を検討していることが本誌取材で判明した。令和6年度税制改正では、国外事業者が、デジタルプラットフォームを介して行うアプリ配信や電子書籍・音楽の配信などの消費者向け電気通信利用役務の提供のうち、特定のプラットフォーム事業者を介して当該役務の提供の対価を収受するものについては、当該特定プラットフォーム事業者が当該役務の提供を行ったものとみなして消費税の申告・納税を行うこととされた。今回も、一定の規模などの要件を満たしたプラットフォーマーに同様の仕組みの導入が検討される可能性がある。
近年は、日本で長期間事業を展開してきたAmazon.com以外にも、SHEIN(シーイン)やTemu(テム)など中国系の越境ECも国内での利用者を増やしている。今後、これらの越境ECの取扱量がさらに増加した場合、国内事業者が競争上不利となり、また、課税できない輸入消費税が相当な額となる恐れがある。取扱量がこれ以上増加する前に漏れなく課税する仕組みを構築することが急務と言えそうだ。
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